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2005-09-21(Wed)

俺の癌は脾臓がお好き

9月21日(水)
夕べは売店で買ってきた「がんサポート」という雑誌を読んでから寝る。ただ就寝中、夜勤で見回りの看護婦さんが件のドアを乱暴に開閉する人で、誰かは知らぬがそのつど目が覚めて悶々、熟睡できぬまま朝になる。6時過ぎに採血とか朝のバイタルの「ガチャンガチャン」音が響き、それが落ち着いてからようやく7時半過ぎまでちょっとだけ寝られた。
朝食の後はネットを見たり、BSでMLB。NYY−BAL。その後眠気が来たので横になるが、どこかの部屋で「バーン!」と乱暴にドアを閉める音が時々して、そのつど心臓がドキッとしてはうとうと気分が絶たれる。病院でどうとかいう問題ではなく、日常でもあんな音を立ててドアを閉めるようではキチ●イだから、たぶん病室の窓を開けており、ドアを開閉すると風でああいう閉まり方をするのだろうと思う。んが、騒音は騒音、迷惑には違いない。
結局起きてしまいウンコをしていると、ノックの音。研修医のSクン(♂)の声。ありゃりゃと思うがしょうがない。ちょっとして今度は女の人の声、これは同じく研修医のSさん(♀)だ。昨日は回診の時風呂入ってたし今日はウンコ(笑)、間が悪いなあ…と思いつつ出てベッドに座ったところで、Sクンが来る。続いてSさん。Sクンは俺をいつものように触診し、変わりなし・引き続きこのまま様子を見ましょう、ということ。外来で様子を見て行き、例えば脾臓が大きくなりすぎたとか、癌細胞が暴れだしたとかで治療を開始するようになった場合でも、診断が確定している方がいいに決まっているから、とにかく今は時間をかけてでもきっちりと診断をする意味で調べましょうということ。俺ももちろんその方がいいので、お願いしますという。
その後昼飯を完食してお茶を飲もうとしていると、12時半ころ主治医のS先生とMDr.、研修医3人が来る。S先生は俺を触診して、やはり「変わりないですね」とのこと。MDr.は「ここから先は、おそらく十人医師がいたら十通りの治療方針に分かれると思いますよ。このまま経過を見る、脾臓を摘出する、脾臓に放射線をあてる、化学療法を行う、化学療法から移植まで一気にやってしまう…とか医師によって変わるでしょうね」と言う。ただ医師団としては脾臓がこのまま大きくなり血液のデータが悪くなったりしない限りは、退院して外来で採血をしつつ様子を見ていく、ということで一致しているということだ。MDr.は脾臓が大きいことがやはり気になると言い、S先生も脾臓さえこれで大きくなかったら何の問題もないとさえ言えるんですが、ということ。脾臓は普通胃の左奥にあり肋骨内に収まっているものなのに、下腹部まで張り出してきているということは、他の臓器を圧迫しているということもあるが、守られていない状態でもある。なので、ぶつけたり強く叩いたりとかはしない方がいいですよ、と言われる。病気と判明する以前、飯を食い終わった後に、脾臓が腫れているとは知らず、よく腹を「ポン!」と腹を叩いて「あー苦しい」とかやってたが、あれはあんまりやらない方がいいみたいだ。
ううむ、脾臓か。この脾臓の腫脹、「脾機能亢進」のせいで血球の減少つまり白血球や赤血球、血小板などが総じて減っていると思われ、このことが今の俺には一番の問題だ。ほかの症状としてはリンパ節が複数箇所でころころ腫れたりはしているが、巨大腫瘍にはなっていないし、急激に成長もしていない。それどころか時々小さくなったりもしている。だから、脾臓の腫脹が最も顕著な症状かつ問題であり、次の治療の目安になるのはコレじゃなかろうかと。摘出するにしても、ある程度手術に堪えうるだけの血小板数がないとそもそも開腹を出来ないので、そこら辺の兼ね合いもある。なので放射線という選択肢もあるそうだ。たまたま昨日読んだ「がんサポート」(昨日の記事参照ください)には特集として「放射線治療を第一選択に」という記事が掲載されている。放射線治療にももちろん副作用はある。その中で最も怖いのは、照射した箇所で癌以外の部分に後で癌が発生する恐れがあることだ。これもピンポイントの照射が可能になってきたり、様々な最先端の技術・技法が出てきてはいるそうだが。脾臓は「取っても平気」な臓器の代表みたいに言われているけれども、近年摘出後は免疫機能が低下するとか、ある種の肺炎に罹患しやすくなるとか、要するにその働きがよく解ってないだけの話のように思える。人体に本当の無駄ってあるのか知らん、とも思う。

その後はTVを見ているうちに眠くなってうとうとしていると、2時頃だったか、連れ合いとお姉さんが来てくれる。週刊文春と新潮、飲み物などを買ってきてくれた。3人で今日の回診のこと、病気や今後の治療のことなどをしばらく話す。一旦退院となっても、いつ治療に入るかは解らないし、そうなればまたお金もかかるだろうし、色んな意味で大変だと話し合う。そんなこんなで4時過ぎに二人が帰るので、エレベータまで見送った。メールチェックすると仕事のデータが入っていたので更新作業をしてると、大相撲中継で新関脇琴欧州が大関栃東に完勝して11連勝、さらに結びでは朝青龍が安美錦に外掛けで転がされて負け。結びの一番後には病室で思わず拍手をしてしまい、薄い手のひらの皮に痛みが走った。
それにしても今日は一日エアエッヂ君の電波が悪く、接続がブツブツ途切れてストレスが溜まった。夕方になってようやく接続が維持されるようにはなったが、「維持されている」というレベル。困ったもんだ。モバイルというならやはり今どきは無線LANだな、とは思うが、今後また入院することを考えればこれしか選択肢がないのも事実。現行の携帯キャリア各社の高速サービスはとてもつなぎ放しでデータ通信をガンガン行える料金体系ではない。もうちょっと考えろよと思うが、まあしょうがないか。
夕飯を完食して、苦しい腹ながらうつぶせになって文春を読んでいるとノックの音、S先生以下医師団がゾロゾロ。科長のT教授と元主治医のU先生がいないだけで、研修医君たちも含めたフルメンバーだ。ちょっとギョッとして「何で?」と一瞬思ったが、「特にお変わりないですか?」といういつもの回診。ホッとする。ホッとついでに「来週には退院させてもらうとして、その後も脾臓の亢進が進むようなら治療を始めるということですが、その治療はやはり抗癌剤でしょうか」と聞くと、脾臓局所的に治療するのか、原発疾患つまりリンパの癌を叩く抗癌治療を全身でやるのかは、骨髄を再評価してみないとわからないという。今の状態だと、骨髄中の癌細胞はあるにはあるが比較的少なく大人しい、なのでMDr.が以前話してくれたように、この癌は脾臓を「好んで」いるようだ。そのまま脾臓の機能亢進が進むのであれば脾臓をメインに治療を考え、骨髄での癌細胞の増殖が進んでいたら当初予定していた抗癌剤治療を進める、ということなのだろう。いずれにしても現段階ではどちらもすぐに治療を開始するタイミングにないので、とりあえず退院という方針で良いのではないかとのことだ。次の採血は祭日の関係などもあって土曜日。そこでまた変化がなければそのまま週明けに退院という流れになりそうである。

ところでここでこうして医師団の見解も含めてけっこう直接話法を含めて掲載しているが、これはあくまでも自分が聞いた話を思い起こして記述しているのであって、細かい部分でニュアンスや用語の違いなどはあると思うので、誤解ないようお願いしたいっす。何度も書いてるようで恐縮ながら、俺医者じゃないので難しい医学用語はよく解りません(笑)。しょせん付け焼刃のにわか勉強でしかなく、ここ一、二ヶ月で知った「情報」をあたかも「知識」であるかのように振り回しているつもりは毛頭ないことを明記しておきます。「知ったかぶり」ってのはその道の専門家に見られることを想像したら、とてもとても俺には出来ませんので。
それにしてもN大医学部の血液膠原病内科の先生方は(ホンットに匿名にしている意味ないっすね…)患者への説明責任ということで言えば、素晴らしいと思う。こちらの不躾かつ唐突かつ幼稚な質問にも丁寧に答えていただけるので、感謝してます、はい。
俺の脾臓ちゃん、小さくなっておくれとナデナデしながら「明治ミルクと珈琲」を飲む俺ではあった。

■今日の御礼
今度は元バンド仲間のS井から高校時代に録音した音源(ラジカセ一発録音)をデジタルリマスター(笑)して完成させた、かつてのバンドのCDが到着。ジャケも「帯」もあるし! ありがとう。
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シラトリチカオ

Author:シラトリチカオ
白取千夏雄/編集者。1965年函館市宝来町生まれ。元青林堂「ガロ」副編集長、97年よりフリー編集者・ライター・Web構築・管理他なんでも屋と、専門学校・大学講師など。
2005年夏、白血病告知・余命宣告を受けるが「慢性リンパ性白血病」に近いタイプと判明、無治療・対処療法、2014年より抗癌剤治療、巨脾へ放射線など治療開始。2015年夏左上眼瞼にメルケル細胞癌発症、眼瞼切除、再建手術、16年にかけて放射線も耳下腺に転移、郭清術、放射線治療中に再発、左眼球ごと摘出・皮膚移植。転移再発治療中ながらまだ生涯一編集者として生息中。
二十余年の東京在住ののち、07年から京都在住。09年5月、愛妻=漫画家・やまだ紫を脳出血で失った。
やまだ紫クロニクル

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