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2011-04-30(Sat)

瀕死の家族

4月30日(土)

ゆうべはこっちが寝室に上がって寝れば、シマがまた階段を上がろうとするかも知れないと思い、こちら側が視界に入るところに居る、つまり一階のリビングで寝ることにする。
リビングのソファにタオルを敷いて、クッションを枕に横になって右に視線をやると、常に隣の仕事部屋のつづらが見える。
夜中に何度か目を醒ますたびにシマの方を確認するが、見るたびに体勢が変わっていて、ホッとしてはまた眠る…という繰り返し。
一度視界から消えていたのでトイレに動いたのかと思ったら、なぜかつづらのすぐ脇に置いてあった病院往復用のバッグの中に収まっていた。自分からバッグに入ってじっとしているのはおかしな光景だが、つづらに居ることが多いものの出て来てはフローリングの上で蹲ったり、戻ったり…としているので、「どうしていいか分からない」という風情だろうか。
この感じは何となく理解できる。短い眠り以外、落ち着かない様子で数分おきに体勢を変えるのだが、自分も大病の上に大病を重ねてきたのでわかる。
いったい自分は「どうなっちゃうんだろう」、「どうすりゃいいんだ」という感じなのだ。明らかに健康時と違う自分の体。水もご飯も食べたいのにいざ目の前にすると食べられない。動こうにも、手足がふらふらして思うように動けない。心臓がバクバクする。何だ、これは何なんだろう…?
シマはシマなりに自分がどうなるのか、不安で不安でしょうがないのだ。怖いのだ。これは人間でも生死の境を経験したとか、そういう人じゃないと理解できないかも知れない。ましてや相手は猫だ、猫がそんなこと考えるかよ、という人も多いだろう。そういう人は猫でも犬でも何でもいいが一緒に長年家族として暮らせばわかる。単にペットじゃない、大切な家族として同居し、一緒に生活したという人なら絶対に共感出来るはずだ。

今現在も東日本の大震災の被災地では復旧・復興に大変な、すさまじく遠い道のりのとっかかりに足をかけたばかりだ。原発の事故に関しては現在進行形であり、あり得る最悪のシナリオを想定すれば、日本の中枢さえ機能不全に陥る可能性さえある状態、つまりは緊張状態にある。
それらに関して日々、政府側・民間側含めたくさんの情報が駆け巡る。震災当初から言ってきたと思うが、玉石混淆だ。デマも多く、しかもそのデマ自体が悪意か善意かの判定が難しい場合も多い。
相変わらず政府の対応は即応体制というよりは委員会だの対策本部だの大臣だの参与を増やして、ただでさえ停滞しがちな議論・会議を徒に長引かせる、議論の一本化と速やかな動きから反対方向の動きをしているようにしか見えない。そういうことや海外からの視点や経済への影響から、色々と耳目に触れることだけでも気になること、言いたいことは山ほどある。
だが今こちらは家族である猫の臨終を座して待つしかないという、極めて卑近ながら極めて辛い状態にある。勿論もっと国家的にも大変なことはあり、前述したように関心がないどころかはがゆさ、怒りさえ感じることも多い。しかしどうしても目線や思考は、今消えかかっている小さな命に向かうのだ。
単なるペットならいい。だが夫婦で愛し、たくさんの時間を共に過ごし、辛い時期も楽しい時間も一緒に過ごしてきた大切な家族なのだ。
誤解を恐れずに言えば、血のつながりなど幻想にすぎないと思う。実際、自分の血縁で今つながりのあるのは母親くらいしかいない。あとは全て友人、知人、ネットで応援して下さる方々。本当の血縁・親戚で今の自分の状況を知り、何かしら声をかけてくれる人は「皆無」である。
連れ合いの子供たち…ゆうちゃんもももちゃんも、言ってみればアカの他人だ。しかし結びつきは疎遠な血縁者よりも遥かに強い。
人と猫を単純に比べるのは愚かだと承知しているが、13年もの間「家族」として過ごした存在が瀕死であるという状況は、それが犬だろうが猫だろうが、いや、人間であろうが、辛いことに変わりはない。
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シラトリチカオ

Author:シラトリチカオ
白取千夏雄/編集者。1965年函館市宝来町生まれ。元青林堂「ガロ」副編集長、97年よりフリー編集者・ライター・Web構築・管理他なんでも屋と、専門学校・大学講師など。
2005年夏、白血病告知・余命宣告を受けるが「慢性リンパ性白血病」に近いタイプと判明、無治療・対処療法、2014年より抗癌剤治療、巨脾へ放射線など治療開始。2015年夏左上眼瞼にメルケル細胞癌発症、眼瞼切除、再建手術、16年にかけて放射線も耳下腺に転移、郭清術、放射線治療中に再発、左眼球ごと摘出・皮膚移植。転移再発治療中ながらまだ生涯一編集者として生息中。
二十余年の東京在住ののち、07年から京都在住。09年5月、愛妻=漫画家・やまだ紫を脳出血で失った。
やまだ紫クロニクル

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