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2012-04-07(Sat)

「未練」

2012年04月07日(土)
今住んでいるマンションを(出たくはないが)出なくてはならず、転居先を捜す日々。
夫婦二人と猫二匹で骨を埋めるつもりで来た京都、一人と一匹でちょうど半分になってしまった。
経済的にも半分になり、生活も半分、住居も半分にせねば続かない。

ということで、ここ数日で京都の賃貸物件事情にかなり詳しくなってしまった。
今は、ネットでかなりの物件を詳しく見ることが出来る。その中から細かく条件を上下させてどんどん絞り込み、片端から詳細を知らせて貰うべくメールをする。割合レスポンスは早いので、その段階でダメなものはカットし、良さそうなものはさらに周辺地図で環境を、そこからさらに絞り込んでストリートビューで物件本体から周辺までも見る事が出来る。
よく考えたらSFみたいだが、今は西暦2012年。俺たちのようなおっさん世代にとっては、この数字こそまさに「SF」そのものである。すげえ時代だよ全く。

さて、何軒かの不動産屋に片端からメールや電話。親身なところとそうでないところ、熱心なところとそうでないところ色々ある。当初はこれから一ヶ月ほどかけてゆっくり見てまわり、来月頭には決めて6月には引越を…と考えていたが、悠長な事も言ってられない。何しろこんな贅沢なところに長く居ればいるほど、日割り分がかかってくる。せこい話ではあるが本当の話であり、切実な問題でもあるのだ。
それよりも、3LDKから恐らく1DKか1LDKクラスにダウンサイジングせねばならないわけで、つまりは今ある荷物を半分以下に減らさなければ物理的に無理。確かに不要なものはある。あるが、病人がモノを捨てて身軽になるには、一苦労だ。
それにしても、不要物処理にかなりの費用がかかると想定されるため、新居の初期費用はなるべく抑えたく、病人がある程度買い物に不自由せず、月一とはいえ病院へ通え、しかも猫が飼えるとなると、相当厳しい条件である事は承知していた、しかしこれほど厳しいとは予想外であった。
多いのは「ペット相談可」の少なさ。「相談可」って何だよ。相談くらい誰だって可能だろうが、とツッコミたくなる。
実際聞いてみると、「ごめんなさい、ワンちゃんだけみたいですー」とかけっこう多い。
それも解る、猫は爪を研ぐ時、壁のクロスがもっとも心地良いことをよく知っている。そして、猫の爪はクロスを通り越して壁本体を削る。これはクロス貼り替えだけでは対応できない「傷」となり、家主はその修繕にナーバスになる…。猫を飼っているし、一応家主でもあり、店子でもある自分にはよぉぉく解る。
(ついでに家主的立場から言うと、タバコを吸う人が入居した後は間違いなく全室「ハウスクリーニング」では済まず「クロス総貼り替え」になるので、猫か犬かよりむしろ喫煙の有無も不動産賃貸の条件設定に入れた方が賢明だと思います)

それやこれやで、先日は不動産業者さんの車で、担当さんと数件内覧させてもらった。
最初に目星をつけて見たいと言った物件以外に、猫可能物件をいくつかピックアップしていてくれて、店に一度来て欲しい、と言われた意味が解った。ネットには掲載していないが、人を見て紹介する物件をちゃんと持っている。
実際そういうところはこれまでネット上で条件を色々変えつつ検索しても一度も出てこなかった物件で、しかもかなり理想に近かった。そこも含めて数件見させてもらった。

何しろもう桜の季節だ。
一年中何かしら賑わっている京都だが、中でも桜と紅葉、祇園祭は特別。途中川端に出たが、下がっていくと三条手前でもう軽く渋滞。しかしこの担当さん、元祗園でバーテンをやっていたという異色の経歴で、裏道を「よう知ってはる」。
最後の物件を見させてもらい、これまたうまいこと渋滞をかわして京都駅近くの店舗まで戻った。
さてどこにするか。
おそらく近日中には決め、そして5月中には引っ越さねばならない。
その前に、「不要品」というにはあまりに辛い、連れ合いの衣類やさまざまな生活用品含めたものを捨てていかねば引っ越せない。何しろ半分以下のスペースになるのだから、当然荷物も半分以下にしなければ暮らせない。
俺が「生きて遺された者」の未練として、きっぱり諦めればいいものもたくさんあるし、何でこんなの東京からわざわざ持ってきたんやろか、という本当の「不要物」もある。それらをきっちりと分別し、立つ鳥跡を濁さず状態にせねばならない。

それにあたり、まずは長女のももちゃん、次女のゆうちゃん、そして連れのお姉さんに連絡を入れた。
連れ合いの遺品で、常に身に付けていたものの形見分けは済ませてある。あとは、これはとっておいて、これは欲しい、そういうものはないか、こちらの判断でそれらを分けて、送った方がいいというものは送っても良いか。
そういう連絡と、近況も含めてあれこれと話した。
連れのお母さんは仕事もやめられ、高齢な事もあり、お姉さんが「うちへ来れば」と言っても頑としてずっと暮らした街を離れないという。お気持ちはよく解る。でも、身内の心配もよく解る。それで、週に一度は様子を見に行き泊まってくると話していた。大変だ。そういう「大変さ」みたいなこと、心配を俺のような病人も、実家の母親にさせているのだなあと思う。

…とにかく不要品の処理と一口に言っても、他人からみたらただの使い古しのバッグが自分には「あの時彼女が…」という思い出のあるもの。ただの古着も、「あの時着ていたのがこの服」、全てが愛する者と過ごした思い出、共有した時間を瞬間に想起させる大切な大切な、大事なものなのだ。
趣味の悪いロゴがプリントされたブランド物の高級バッグよりも、彼女がお気に入りの店を見つけた時に、ニコニコ笑いながらそっと割り箸入れの袋を偲ばせた、たすきがけの安物のバッグ。俺にとってはそれの方が、かけがえのない宝物なのだ。
でもその記憶、光景、感情は俺だけのもので、つまりは俺が死ねば誰にも解らず消え去る無価値なもの。
俺の未練だけが、今その「価値」を俺にだけ告げている。
そういうもので溢れている。
この部屋はふたり京都へ来て、お互い人生で最良の時間を過ごせた場所だ。そこに出来る限り長く居たかった。
それもまた未練でありワガママであり、そして贅沢だったのだ。

彼女の娘は二人とも、「連休とか使って手伝いに行こうか」と言ってくれたが、何しろ二人とも二人の子持ち母でもある。
それにこれは俺が俺自身で、俺の未練を断ち切り、個人として愛した人のぬくもりは全てを残すことは出来ないが、「やまだ紫」としての原稿や作品は残し、守らねばならない。その決心を、彼女が逝って3年、「いい加減にしようよ」という事なのだろう。ならば俺一人でやる事に何か意味がある…と、思うことにする。
最終的に「こらあかんわ!」となったら関西一円の、主に大阪あたりに住んでいて、主に筋肉質で、主に劇画とかが好きそうな奴にヘルプを頼むとかするにしても、とにかく自分のケツは自分で拭く、拭けるうちは拭く努力をする。限界まで。
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シラトリチカオ

Author:シラトリチカオ
白取千夏雄/編集者。1965年函館市宝来町生まれ。元青林堂「ガロ」副編集長、97年よりフリー編集者・ライター・Web構築・管理他なんでも屋と、専門学校・大学講師など。
2005年夏、白血病告知・余命宣告を受けるが「慢性リンパ性白血病」に近いタイプと判明、無治療・対処療法、2014年より抗癌剤治療、巨脾へ放射線など治療開始。2015年夏左上眼瞼にメルケル細胞癌発症、眼瞼切除、再建手術、16年にかけて放射線も耳下腺に転移、郭清術、放射線治療中に再発、左眼球ごと摘出・皮膚移植。転移再発治療中ながらまだ生涯一編集者として生息中。
二十余年の東京在住ののち、07年から京都在住。09年5月、愛妻=漫画家・やまだ紫を脳出血で失った。
やまだ紫クロニクル

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