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2012-06-08(Fri)

住めば都

2012年06月08日(金)
朝、薄暗い部屋で目が醒めると、待っていたようにユキが「にゃああ!」と香箱を作ったまま鳴く。顔じゅう口のよう。お腹が空いて待っていたのかな、と思いつつ洗面所のご飯場所に行くと、カリカリが数個しかなかった。
薬を飲んで眠るようになったのは、連れ合いの病苦を支えている間に自分も癌宣告を受けてから。
普通に考えても、すやすや楽に寝られる精神状態じゃないだろう。眠るという行為は人間にとってとても大事な事だし、自分は健康な頃はそれこそ「泥のように眠る」ことで疲労を回復してきたし、休日など連れ合いが「布団と同化するんじゃないか」と心配したほど、ほっとけば半日でも寝ている人間だった。
それが、連れの病気と看病が続き、とうとう自分が血液癌に冒され、とてもじゃないが疲れても眠れなくなった。目を閉じると未来に全く展望どころか悪いことしか浮かばなかった。
一番辛かったのは、恐らくは支えがなければ生きていけないであろう連れ合いを残し、自分が先に逝ってしまう事だった。自分が死ぬというその事よりも、連れ合いを残して一人にしてしまう事が辛すぎて、想像しただけで涙が出た。
医師に相談すると、疲労や免疫回復など色々な意味で、睡眠は非常に重要だと言われた。
眠れない事で基礎疾患から派生するさまざまなストレスと、そこから生まれる新たな疾患のリスクを鑑みれば、導眠剤を利用してでも一定の睡眠を得た方がいいという判断を得た。本当にそうだと思う。
今は導眠剤がないと眠れない事が多いが、依存しているという自覚はない。実際なくても眠れることもある。最近の薬はよく出来ているし、副作用も劇的に減った。

関西地方は今日から梅雨入りしたという。
午前中はまだどんよりした曇り空だったのが、午後になるとサーサーと雨が降り出し、夜になるとバシャバシャと窓が音をたてるくらいの降りになった。
こちらは午後に定期の仕事があったのでそれをつつがなくこなし、京都に来てからあれこれと色々本当にお世話になりぱなしの「明青」のおかあさんから電話をいただいて近況をお話し、東京時代の編集業界の大先輩からお電話をいただいてひとしきり業界の話をし、それから晩飯を食い、埼玉のゆうちゃんに余った猫トイレ用のシートを送るとかいった世間話を含めた話をした。

先日のブログに書いたが、新居に越して快適になった点も、実はある。
総じて水回りが全て新しく、綺麗であることと、何より水道の水圧が半端なく凄いこと。
いや、水回りが新しい入居者を迎えるにあたって綺麗に入れ換えるのは今や常識なので、今さら感動することではないが、水道…とりわけシャワーの水圧が普通になったのは感動的だった。
前のマンションはいくら大家さんが丁寧にメンテナンスをしていても、この水圧だけは根本的に配管と給水システムごと入れ換える大工事をしないと解決できないであろうから、いつもシャワーはちょろちょろ、水道も目一杯最大にひねっても力なく「ざあ…」という程度であった。
それが新居に越してきて、うっかり習慣で最大に捻るとシンクの跳ね返りで周囲が水びたしになるほどの強圧である。で、これに付随して猫のトイレ掃除がめちゃめちゃ楽になった。
実はたった一匹になったとはいえ猫のトイレの始末は面倒だし苦役ではあった。頑丈で割合しっかりした作りだったアイリスオーヤマの箱型一週間取替いらず猫トイレも、さすがに二匹で4年使ってたら底の方の木が腐ってきたし、二段の引き出しもガタついてきた。何より猫の糞尿そのものの始末とその都度周りを拭いたり猫砂を処理したり追加したりを中腰で行うというのは、脾臓が腫れた病人にとっては、けっこうな「重労働」なのだった。
それが引越の前の日、新居の風呂場に新品の小型猫トイレをポンと隅に置き、下の引き出しにユキの尿の臭いのついたシートの切れっ端を入れておいただけで、引越直後からユキはちゃんとそこをトイレだと認識してくれた。相変わらずトイレが意味ないというか、腰を立てたまま後方に尿を飛ばすので、風呂場の隅の壁まで汚してくれるのだが、こちらがトイレや洗顔、炊事の度に気にして見ていて、尿があればすぐに熱湯をシャワーにして、強い水圧で洗い流してしまう。
このシャワーの水圧が凄いので、汚れはあっという間に綺麗に流されてしまうし、その都度洗剤も吹き付けるので臭いも全く消える。換気扇を回すことすらない。あとはたまに風呂用の洗剤で壁面とトイレ本体を丁寧に洗い、そしてまたシャワーで綺麗に流す。糞の方は見つけたらすぐに取って袋に入れて縛ってゴミ袋へ入れるか、人間のトイレ掃除で使う「流せるシート」で掃除した後そのまま取ってしまい、トイレに流す。あとは尿の時と同様に、トイレ本体をシャワーで綺麗に流し洗う。
糞はさすがに臭いが半端ないので、取った後も最初から洗剤を吹き付けてから一気に流すが、これだけで臭いも瞬時に消え、やはり換気扇も不要だった。
脾臓が腫れているだけではなく足腰の関節も痛いので、中腰やしゃがんでの猫トイレの掃除・処理は本当に辛かった。それが立ったままシャワーで洗えるようになり、本当に楽になった。
毎日綺麗なままだし、こちらも楽だし、猫も綺麗で足も汚れないから家の中の床の汚れもほとんど無くなった。猫を飼っている場合の宿命とも言える「糞尿」と「毛」だが、あとは「毛」だけ注意してよく梳いてやればかなり快適、お互いに。

あと久しぶりに一階に住むことになり、ドアを開けてすぐつっかけのまま、真向かいにある自販機で缶ジュースを買ってすぐ戻ったりが楽である。自販機は角のタバコ屋が管理しているが、そこは昭和の薫りを残す、看板娘ならぬ看板おばあちゃんが一人おり、店内の冷蔵庫は電気を切っていて「冷たいのは外の販売機で」というお店。タバコがメインで、他に店内には乾物や洗剤だのが置いてあるが、明らかにそれらを主力で売ろうという気配はない。
そしてその向かいがやはり昭和の薫りを残す酒屋さんで、一度まとめて冷えたのを1ダースくらい買おうと思って声をかけたら、無人の店の奥から頭にカーラーを巻いたおねえちゃんが「ハーイ」と出て来て「冷えたのは全部販売機で…」と言われた。その佇まいといい店の空気感といい、とても21世紀の日本とは思えず(いい意味で)、放映中のノイタミナのアニメ「坂道のアポロン」を思い出した。
しかもそこの自販機の方が、実は近所の100円ローソンより発泡酒が安いことが解ったり。

コンビニは前のマンションよりもほんの少し遠くなったが、間に信号はなく、町屋風の古物商が並ぶ静かな通りを数分歩けばすぐだ。
部屋の狭さは解ってはいたし、収納がほとんどないことでかなり苦労したものの、引っ越してきて二週間、先の防音が全くなされていない点を除けば、おおむね快適に暮らせている。
そのことに素直に感謝し、大人しく暮らす。
「住めば都」というが、そういえばここは本当に「みやこ」なのであった。

CIMG4213.jpg
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落ち着き

新居に落ち着かれたようで、ほっとしました。
よかったです。
猫トイレ始末が楽になってよかったですね。
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シラトリチカオ

Author:シラトリチカオ
白取千夏雄/編集者。1965年函館市宝来町生まれ。元青林堂「ガロ」副編集長、97年よりフリー編集者・ライター・Web構築・管理他なんでも屋と、専門学校・大学講師など。
2005年夏、白血病告知・余命宣告を受けるが「慢性リンパ性白血病」に近いタイプと判明、無治療・対処療法、2014年より抗癌剤治療、巨脾へ放射線など治療開始。2015年夏左上眼瞼にメルケル細胞癌発症、眼瞼切除、再建手術、16年にかけて放射線も耳下腺に転移、郭清術、放射線治療中に再発、左眼球ごと摘出・皮膚移植。転移再発治療中ながらまだ生涯一編集者として生息中。
二十余年の東京在住ののち、07年から京都在住。09年5月、愛妻=漫画家・やまだ紫を脳出血で失った。
やまだ紫クロニクル

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