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2005-10-03(Mon)

退院後初検診

10月3日(月)
朝早くから猫たちがうるさくて起こされ、その後もうとうと、結局9時半頃起きる。いつものように検温・血圧測定などを済ませて、支度をして10時前に出る。いったんバス停まで行ったところで携帯忘れたことに気づき、しょうがなく引き返す。バス停まで戻るが当然バスは行った後で、次のバスまで15分くらい待たねばならない。
それにしてもこのあたりは工場ばかりの上、国道17号沿いはひっきりなしに車やトラックが通り、物凄い排気ガスだ。マスクをしていても、ひどい空気なのがわかる。こんな場所に住んでいるのは人間沙汰ではないと思うし、免疫的にもよくないだろうなあと思いながらバスを待つ。近隣の家には布団や洗濯物が干してある家も見受けられるのだけど、いつも不思議に思う。一日白いタオルを外に干しておけば、真っ黒とまでは言わぬまでもかなりの有毒物質が付着しているのが目に見えて解るはず。数時間干しておいただけであっても程度の差はあれ、工場の煤煙や排気ガス、粉塵は確実に付着しているだろう。そんな中よく干せるなあ、というのが不思議なのだ。もっともこんなところをマスクなしに俺も歩いていたわけで、洗濯物に付着するものは当然肺の中に入ってたわけだけど。
まあつまるところ、貧乏人は劣悪な環境であえぐしかないのだとバス停に立ち続けていると、やはりちょっと辛い。ようやく来たバスには「元気な年寄り」が遊びに買い物に観劇にと、ワイワイガヤガヤと座っている。俺は見た目には元気そうな兄ちゃんだろうな、癌なのに。貧血でもあるのに。脾臓が腫れてて長時間立つのは辛いのに。そうだ、「元気そうに見えても実は私は癌患者です。汎血球減少のため、貧血と免疫力低下がありますから、どうか優先席に座らせてください」というカードを作ろう、そしてそれを元気なお年寄りに提示して「そんなわけなのですいませんね、はい、どうもすいません」とかしこまりながら済まなそうにシルバーシートに座るのだ。それがいい。今度からそうしよう。
そんなことを考えつつ途中で降りて、病院行きのバスに乗り換えるバス停へ歩くが、待ち合わせが悪く、さらに10分くらい待つようす。これ以上路上で立っているのはさすがに辛いので、通りかかったタクシーを拾って病院へ行ってもらう。1500円くらい。その後内科受付で「予約診療の前に採血をするようにと言われてるんですが」というと確認してくれ、そのまま紙を貰って採血へ向かう。間違えて2階の機能検査部へ行ってしまい、エレベータで地下まで降りて採血の受付へ。そういや入院中の採血はいつも病室に看護婦さんが来てくれてやってくれたからなあ。採血の受付は物凄い人で、行列が出来ている。今日は月曜だし、明日は大学の創立記念日とかで休みだからか。
採血順番待ちの番号札を貰って中へ入るが、座る場所もない。ていうか付き添いの家族らしいのまで一緒に入って待ってたりするので、患者の椅子が足りないのだ。付き添いは外で、中は患者だけでという「暗黙の了解」というか常識はこいつらには通用せぬのだろう。というわけでまた立って待っていたが、左のわき腹がちょっと痛くなってきたので、部屋を出て受付前にあるソファに座る。ここまでは、中の「◎◎さんどうぞー」の声が聞こえるか聞こえないかという距離だ。なのでずっとここに座っていては順番が過ぎてしまう恐れがある。そこで20分くらい待ったので、もういいだろうと採血室の入り口に戻って立っているが、待てど暮らせど呼ばれない。看護婦に番号見せてまだかと確認すると、もう少しですよと事もなげに言われ、さらに5分ほど待ってようやく呼ばれた。またわき腹が張ってちょっとキツかった。病院へ来るまでは全然大丈夫だったのに。
5人ほど並んで次から次へとブスリと患者の腕に針を刺し、血を抜いている技師たちの一番奥の男性に呼ばれたので座る。俺の採血は他の一般(?)患者と違って、細い試験管のようなもの5〜6本もある。隣のおばちゃんはたった1本、その向こうは2本だ。男性技師は採血用の針を俺の右ひじの内側静脈にブスリと入れるが、これがへたくそで痛いの何の。思わず「いてえよへたくそ!」と怒鳴りたくなるが我慢する。針の入れ方が下手なのか、俺の血圧が低いのか、なかなか試験管内に血が流れ出て来ないので、血管をちょっとおさえたり試験管をゆすったり。とにかく1本1本それなので、痛いわ長いわ。拷問のような採血が終わって血液膠原病内科・U先生の4番診察室前に来ると、ちょうど予約時間の11時半。しかしここから延々待たされ、呼ばれたら12時40分を過ぎていた。要するに採血の結果が出てからじゃないと俺を呼んでも意味がないので、何だかんだ言っても採血後1時間ほど経たないと診察にならないってことなのだ。それはいいけど、ここまで来る間に病気になるぜ普通。

モニタに出ている先ほどの採血の結果は、U先生も「入院されてた頃よりも貧血が改善されてるんですよね」と首をかしげていた。すると電話が鳴り、看護婦が「なんとか先生からお電話ですけど」と呼びに来て、U先生「もう、仕事にならないわねえ」とか言いながら出て行き、10分ほど放置プレイされる。その間自分の採血データをじっくりみせてもらうが、WBCも増えており、HGBも良くなっている。さらにPLTがかなり改善されていて、自分でも驚いた。この数値なら貧血に限っては下限にもう少し…というくらいまで改善されてきている。U先生も戻ってきたので「あまり変わってないですね」というと「そうなんですよね、白血球数が上がってるんですが、これは好中球数も上がってますからね。普通こういう病気で白血球が上昇する場合、(癌に侵された)リンパ球が増えるんですが、この結果を見ると好中球数の方が上昇してますから、悪い結果とはいえませんね」とのこと。俺が「LDが上昇してるのが気になりますが」と言うと「うーん、確かに腫瘍細胞が増えると上昇するということはあるんですが、全体的に見てこれも悪いとはいえないし」とのこと。「病名はまだ未確定なんですよね」と聞くと、「そうですね、とにかくこれだけほかの専門家の方々にも診ていただいていて、これだという分類に当てはまらないんですよ。それくらい珍しいんです」とのこと。「白血病か悪性リンパ腫かどっちかはわからないんですか」と聞くと、「その二つは病名が違うので全然違う病気かというとそうではなく、どちらも結局元をたどれば造血幹細胞という細胞から分かれて行って、その段階段階でどういうものになるのか…ということで、そのどこで癌に侵されるかということで変わるし、白血病型のリンパ腫というものもありますし、極めて近いものなんですよ。それにこの血液疾患に関しては物凄い数の分類があって、予後も症状もそれぞれバラバラに違うんです」という。
要するに未確定で、まだ解らないということらしい。
「なので、私たちとしても、正直に言いますけど、お手上げという状態なんですよ」という。お手上げといってもこの場合「治療できない、手遅れ、死ぬ」という意味ではなく、症例がない、病気の分類ができない、したがって治る治らない、方法があるなし、何もわからないというのだ。なのでまた「このまま寛解するということはないですか」と聞いてみるが、似たような病気にCLLというのがあるけど、その患者さんで、ずっとくすぶっていたのに突然容態が急変して亡くなった人もいれば、別な病気だけどもやはり慢性型で1年3年5年…とずっと良くも悪くもならないでいる人もいるという。ともかく病気が良くなるにしても悪くなるにしても、それが一体一ヶ月後になるのか、半年後なのか、一年後か二年後かさえもわからないという。ありゃーこりゃ大変だ、と人事のように思った。
触診もしてもらうが、小さくなっているリンパ腫もあるというし、特に首のリンパは二ヶ月前より明らかに小さくなっているという。これはU先生いわく、歯の治療をしたせいではないかということ。風邪を引いたり虫歯になったりすると近くのリンパ節が腫れるということはよくあることだし、虫歯の治療というより口の中の衛生を保つということは悪いことではないわけで、関係があるだろうと。その他、脾臓の腫れはかなり大きいけど進んでいるというわけではない、あと肝臓も腫れているというが、機能的には採血の数値を見ても全くといっていいほど正常。なので、要するに進行が見られないということだ。
で、来週は来なくてもOK、再来週の月曜にしましょうということになる。そこでもまた変化なければ3週間後…という感じにしましょうと。ただ途中でもしリンパ節が大きく腫れてきたり、お腹に水が溜まるようなことになったら、すぐに連絡して病院へ来いということだ。あと採血の結果でも変化があるようなら、またMARKや腫れたリンパを取って、前の細胞とどう変化があるか調べましょうということ。とにかく俺の名前は血膠内科の先生みんなが知ってますから、という。みんなが俺の細胞を見たそうで、それほど珍しいということらしい。
もし他の病院へ行っても、これだけ珍しいと結局今見てもらったりしている「その道の権威」の先生のところでまた細胞サンプルを見てもらうようになるわけで、ならば今と同じことだ。例えば病名が確定しており、その治療法なり説明なり医師なりに納得がいかないということであれば、他の病院や先生の意見を聞くということは全然ありだとは思うけれども、今の段階でよそへ行っても無駄ということだ。そんなこんなで1時過ぎに会計を済ませ、一時半近くになってようやく食堂へ行き、ラーメンを食べた。N大学医学部付属I病院食堂の中華麺、おすすめです。
それにしても、自分がこれからどうなるのか、そもそも自分の病気が何であるかさえも解らないというのは正直言えば不安だ。確定していることは癌であるということ。一年後どうしているのか、五年後は、十年後は…と考えないわけではないけれども、そんなのは普通の人でも同じことだろう。十年後、二十年後に健康で笑っていられたらそんなにいいことはない。別に金持ちでなくとも、大成功していなくてもいい。健康に不安がなく、どこにも痛みがなく、大切な人と一緒にいられたら、それだけで十分だ。だが自分は癌になってしまった。完治するということはない。寛解しても、それは癌細胞が減った、大人しくしているというだけで、癌が消えたということにはならない。固形癌のように摘出してしまい、転移しなければそれで完治というものではない。医者が言うように、ある意味「最初から全身に転移しているようなもの」だからだ。
だが、ひとまず、俺は今生きており、すぐに死ななくてもいいようではある。ここから何をし、どう生きていくか。いつ死んでも悔いのないように暮らしていけるか。

…それって、別に癌じゃなくたって考えて生きていくべきことじゃないか。つまりは、そういうことだ。
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コメント

笑って下さい

白鳥さん
ご無沙汰しておりました

今日の似てる人
木村拓哉と池上季実子
どうでしょう

Unknown

毎度たわごとを書き連ねておりますのに御丁寧にレスを頂き恐縮しております。


既に御存知かもしれませんが医療ニュースをひとつ。

臍帯血に少量含まれる造血幹細胞を30倍に増やす技術が開発されて、近く白血病に臨床試験が行われるそうです。

他人から骨髄提供を受けることが出来ない場合、幹細胞を自己末梢血から採取することがありますが、量の問題や、腫瘍細胞の混入(最近はそれも除けるようになっているらしいですが)、採取に先駆けて投与する薬剤の副作用などのリスクがあると思います。この方法が確立するとより安全な治療をより多くの人々が受けられることが期待できますね。

取り急ぎ書きこませていただきましたので、不正確な記述が御座いましたらお許し下さい。(ご指摘下さい)。

このところ

いろいろありましてレス大幅遅れすいません。

>natunohi69さん
連れ合いは10年以上前に急性膵炎にかかり、ひどい痛みに日々悩まされてそのつど病院に連れて行きましたが、どこの病院でも言われたことはバラバラでした。癌、胃炎、胆石などなど。昔は決して「わからない」とは言わず、何とか自分たちの考えうる何かに無理やりでも当てはめようとしていたようです。
今でも本家サイトの日記に以前書いたように、都立病院のような大病院でも阿呆はいますが、概ねお医者さんたちは患者目線に近いところまで降りてきてくれることも多いと感じますし、インフォームド・コンセントという概念も浸透してきていると感じています。ただどうしてもこれは最後まで解決できないという部分があります、それは医師の人間性の問題です。こればかりはその本人、個人の性格や人間性が悪ければ、どうしようもありません。意地が悪かったり、自分勝手だったり、礼儀知らずだったり、傲慢不遜だったり…と、これは「医者なんてそんなもんだよ」という十把一絡げに言うのは失礼で、個々の一人一人の問題ですから。
そういう意味では自分が関わった今回の先生がたはいい方たちばかりで、良かったです。
あ、外科のある先生はあまりの外来の殺人的忙しさにかなりイライラしていたようでしたが。イライラして大雑把になるのは理解は出来ますが、医師にすりゃ大勢の中の一人の患者、こちらにしてみれば対面した外科の唯一の先生ということになるんですけどね。

>Mさん
自分が病を得ることに何かの意味があると考えれば、やはり健康な時には解らなかったこと、気づけなかったことに気づけ、理解せよということではないかと思うんですよ。まあそうでも思わないと余りに理不尽であり、神の存在を疑うか、信じれば恨んでしまいそうだからということも正直ありますが。
いずれにせよ、これは病を得る前からのことだけど、人は生きているのではなく生かされているということが確信できました。

>まりさん
「解らない」ことが「治らない」を意味しているのではないこと、それはその通りですね。「原因不明の治癒」なんて例はさまざまな病気でさまざまな地域・性別・年齢・疾病で報告されていることですし。はっきりしているのは人間の体はまだまだ解らないことだらけだってことでしょうか。
最近癌を含めた血液疾患の記事や記録、論文などを読みあさってますが、大きな「典型」みたいな分類ははっきりしつつあるみたいですけど、そこからの枝葉が物凄い数なんですよね。さらにそれらも個々の患者の容態や免疫力や気持ち(笑)などによってさらに変わるでしょうし。自分の病気がどこにあてはまるのか依然不明のままで、したがって治療法も不明という状況ですが、ならば「無治療のまま寛解」という症例にもなり得るわけですし。まあ自分の脾臓というか下腹部の腫脹を見るにつけそんなうまい話はあるまいとは思いますが。
それにしても「毒蛾皮膚炎」とは恐ろしいですね! 
普通の人は「すみません、毒蛾皮膚炎で今日会社休みます」とか言うのかなあ。「肉眼で見えない毒針が飛散」って(笑)。パニックもののSF映画とかになりそうです。ご自愛ください!

わからない

私は現代医学を否定するつもりは毛頭ないどころか自分もその厄介になっているし、心から尊敬できるドクターも沢山います。
ただ、現代医学の歴史はたかだか数百年。それも、患者さんの症状や訴えを詳細に観察、記録して理論を導いて行った伝統医学とは逆に、現代医学の方はまず理論ありきで、患者さんの方をそれに合わせようとしている感じさえ時々します(ひねくれすぎかな)。そんな現代医学に「わからない」ことがあるのは当たり前で、「現代医学で治療法が確立していない」「病名がつかない」ということが「治らない」ことを意味しているわけでは全然ないと思っています。

話は変わって、私もこの夏、突然手から首、胸に痒い赤い発疹が広がってまいりました。片腕だけで58箇所!(よく数えるな)。診断は「毒蛾皮膚炎」。毛虫の肉眼で見えない毒針が飛散して服の中まで入ってくるのだそうです。治るのに10日以上かかりました。東京はまだ夏が続いてるようなので、庭先や通勤路に連中がいたりするといつまでも治らないことになりかねませんね。なお、こいつら繭の中にも毒針をもってるので、冬場でも油断できないとのこと。

それにしても東京、10月で気温30度のニュース、びっくりしました。白取様、natunohi69様、首都圏に御住まいの方々、御自愛お祈り致しております。

Unknown

いつ死んでもいいような生き方をしているか、、、考えさせられます。
健康な時、あるいは健康だと己の体を過信している時は自分の死についてなど、ほとんど考えることはありませんね。小生ここへ来るたびいろいろ考えさせられております。お体くれぐれもご自愛のほど。

最近の医者

私は、2週前くらいから、手から始まって、足、腹へと赤い発疹が広がって、医者に通っていますが、やはり、何の病気なのか、診断がついていません。
白取先生と同列に論じる問題ではないでしょうが、今の医者はわからない時は「わからない」と率直に患者に言うようになりましたね。その傾向自体は良いことだと思いますが。
昔は、医者は患者には、詳しいことはなにも言わずに、処方するだけで、偉ぶっていましたが。

生きている証拠

生きていることが当たり前という感覚だと、あまり考えないってことが多いですね、確かに。そのあまり考えてなかったこと、改めて気づくことって、実は物凄く大事なことだったり、「真理」であったりすることも多いです。
朝目がちゃんと覚めて、今日も生きていられるようだ、そう思えることが素直に嬉しいです。

Unknown

 自分がその立場にならないとわからないことって多すぎますよね。
 一日に一回笑ったり、悩んだり、発見できるということは、それだけでしっかり今を味わって生きている証拠だと思います。

中華麺…おいしそうです。おなかがすきました。
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シラトリチカオ

Author:シラトリチカオ
白取千夏雄/編集者。1965年函館市宝来町生まれ。元青林堂「ガロ」副編集長、97年よりフリー編集者・ライター・Web構築・管理他なんでも屋と、専門学校・大学講師など。
2005年夏、白血病告知・余命宣告を受けるが「慢性リンパ性白血病」に近いタイプと判明、無治療・対処療法、2014年より抗癌剤治療、巨脾へ放射線など治療開始。2015年夏左上眼瞼にメルケル細胞癌発症、眼瞼切除、再建手術、16年にかけて放射線も耳下腺に転移、郭清術、放射線治療中に再発、左眼球ごと摘出・皮膚移植。転移再発治療中ながらまだ生涯一編集者として生息中。
二十余年の東京在住ののち、07年から京都在住。09年5月、愛妻=漫画家・やまだ紫を脳出血で失った。
やまだ紫クロニクル

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