2012-08-22(Wed)

「淡路島の猿は優しい」

2012年08月22日(水)
いやまあ暑いですな。
こう暑いと食欲無くす…という事は全然なくて、では食欲もりもりかというとそうでもない。
要は自分の場合病気がゆえに「体調」に左右され、それがいつどうなるか日によって違うし一日の中でも違うので、別に暑いから寒いから…はあんまり関係ないです。でも低気圧はちょっと膨満感があるのは本当。

午前中に仕事があったので終え、Skypeで東京の知人と別件の打ち合わせ。
あとは夕方までゴロリとしていた。

夕方、よみうりテレビの「Ten!」で若一光司さんの「Mystery Files」を見る。
関西ローカル枠だがオカルトから歴史もの、動物の生態から遺跡まで色々幅広く興味深いスポット、現象を紹介してくれる、毎回楽しみなコーナー。「情報の与え方」「伝え方」が、結論をきっちり出すとか科学的に徹底的に裏付けるとかカチカチではなく、「こういうのっておもろいでしょ」という題材と、若一さんご自身のキャラもあって、実に面白い。

この日は淡路島モンキーセンターの野性の猿(餌付けはされている)は「優しい」という話。
淡路島のニホンザルというと、いつも干支の文字を猿で描く「猿文字」で有名なので、見たことのある人もいるかと思う。
ただ普通一般に「野性のニホンザル」といえば、有名な日光いろは坂の迷惑猿(といっても元は人間が面白がってエサを与えたのが始まりだが)や、都市部に降りて来た猿の凶暴性・攻撃性がニュースになるのが当たり前で、そもそも野性の猿は人間を威嚇するものだし、ボスを頂点とした力のヒエラルキーで群れを形成する集団だ。
ところがここ淡路島の猿集団は「そんなのでいいのかよオイ」と思うほど、威嚇どころか、人間を警戒すらしていない。もちろん、だからといって人間側が過剰にワザと驚かせるような行動をしたり、じっと目を見るなどの威嚇をすればむろん本能的に対抗してくるはずだが、そういう「非礼」(笑)を人間がしない限り、向こうはちゃんと穏やかに距離感を保ち、リラックスしている。
この淡路島の猿グループにも当然「ボス猿」はいる。ただここの猿たちはそもそもが穏やかな集団なので、ボスの座は激しい抗争があって勝ち残った猿が獲得する…というわけではないという。そもそもボス猿の条件も、単純な腕力の優劣ではなく、人間で言う「人望」みたいなものが重視されるというから驚きだ。
つまり「優しさ」「思いやり」であったり「面倒見がいい」という評価であったりするというのだ。
これは別段今現在のボス猿の個性・特性ではなく、淡路島では代々ずっとそうして決まってきたという。
今では死語かも知れないが「もらい乳」という言葉は昔は普通にあった話で、要するに乳の出ない母親に替わって別の女性が赤ん坊に授乳させることを言うのだが、ここの猿たちにも顕著にそれは見られる。まあそれは珍しくないが、なんと、ボス猿は当然オスゆえに乳は出ないのに、「母性」を発揮して孤立した子猿を保護し、キチンと面倒をみてやったり、乳の出るメス猿に預けたりするらしい。これは驚くべき行動だという。
若一さんは「ここの猿社会ではセーフティネットがちゃんと機能している」みたいな事を言っていて、何というか、色々と興味深かった。

実際、係員がエサを与えるシーンを見ても、ボスがまずガッと奪い他が怯えながら恐る恐る…という、各地の同じような場所で見られる光景ではない。もちろんボスは直接係員のバケツに手を突っ込んで一握りつまみ出して食べたりはするが、周囲の仲間たちを特に威嚇するわけではなく、淡々と「自分の握った分」を食べている。手の平から時おりこぼれる、文字通り「おこぼれ」を拾う廻りの猿にもむしろ配慮すらしているように見える。
若一さんと同行した女性アナウンサーが、猿に直接手から餌を与えることすら可能だった。しかも、その際猿の持って行き方が面白い。「ちょっと失礼しますね」みたいな感じで、優しく手から持っていく感じで、そう、人間が「はいあげる」「ありがとう」みたいな、手から手への普通の「手渡し」。その際にHit&away的なおっかなびっくりな様子や、引っかかれたりもないし、もちろん集団で襲われるような事も一切ない。平和。

モンキーセンターの人はこうしたここの猿の特性を「寛容な集団の中で育つと寛容になるのでは」という環境的な要因と、もう一つ「遺伝子レベルで優しい」という「特性」を持つのでは…、という可能性に触れていた。
優しいとか凶暴だとかいう性格的な部分は、例えば人間でも生後の親の養育環境が大きく左右するし、つまり後天的に得て形成される、つまり環境によりそうした人格に育っていく…のだと思っていた。だから当然、そういう「後天的に得た性質」は遺伝しないわけで(ただし同じ環境を構成してしまい、結果的に遺伝と同じかたちになってしまう傾向は、いい・悪い双方あり得ると思うが)、つまり結局は「環境」なのではないかなー、などと思って見ていたら、京都大学の研究によればそうとも言い切れないらしい。

「寛容性」みたいな性質・つまり「優しさ」や「母性」みたいなものを高めるホルモンとして、近年注目を集めているオキシトシン(日経サイエンス  2008年10月号)という物質がある。
淡路島のニホンザルたちを調べたところ、これの受容体(レセプター)が多いというか、はまりやすい形をしているというのか、とにかく、明らかに本土の猿たちとは違うという研究結果が明らかになったという。
若一さんは、つまり、この研究を突き詰めれば「人間の攻撃性もこの寛容性・優しさホルモンによって抑制し、極論すれば戦争や争いを抑止できる可能性もある…」というような事を(もちろん夢・理想として、だ)話されていたのだが、このオキシトシンに関してはまだまだ解らない部分も多いのが現実。
淡路島はもちろん「島」なので(橋も昔はなかったし)、そういう意味ではオーストラリアやガラパゴスとまでは言わずとも、特殊な形質を代々遺伝的に継承していてもおかしくはないのかな。

夕方のニュースショーの一コーナーで、こうした「優しい猿」たちの映像を見ると心がなごむ。
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シラトリチカオ

Author:シラトリチカオ
白取千夏雄/編集者。1965年函館市宝来町生まれ。元青林堂「ガロ」副編集長、97年よりフリー編集者・ライター・Web構築・管理他なんでも屋と、専門学校・大学講師など。
2005年夏、白血病告知・余命宣告を受けるが「慢性リンパ性白血病」に近いタイプと判明、無治療・対処療法、2014年より抗癌剤治療、巨脾へ放射線など治療開始。2015年夏左上眼瞼にメルケル細胞癌発症、眼瞼切除、再建手術、16年にかけて放射線も耳下腺に転移、郭清術、放射線治療中に再発、左眼球ごと摘出・皮膚移植。転移再発治療中ながらまだ生涯一編集者として生息中。
二十余年の東京在住ののち、07年から京都在住。09年5月、愛妻=漫画家・やまだ紫を脳出血で失った。
やまだ紫クロニクル

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