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2005-11-29(Tue)

水木しげると同時代にいることに感謝せよ! ---「本日の水木サン」

本日の水木サン―思わず心がゆるむ名言366日

草思社

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ちょっと前、この本の編集をされているAさんという方からメールがあって、本BLOG内での記事を転載させて欲しいという依頼の内容だった。
その記事というのはご存知水木しげる先生の名言というかエピソードを紹介したもので、それを本に収録したいということだった。もちろん出典は水木先生ご自身なのであるからして、喜んで承諾させていただいた。
(※その記事は本BLOG内の漫棚通信ブログ版 [水木しげると手塚治虫]で思う)

本の名前は「本日の水木サン」で、何と1年365日、水木サンの名言が愉しめる構成になっている。(水木先生周辺の人は皆、水木サンのことを「先生」とは呼ばない。なぜなら、水木サンご本人がご自分のことを「水木サンはネ…」と語るからである)ちなみに俺が紹介した「名言」は226ページ、7月23日のところに掲載されてます(笑)。
「水木しげる原理主義者」と自分のことを言い始めたのはもう15年以上前になると思う、そしてその頃は業界でもそういう表現で自分が水木ファンであることを公言していた人はほとんどいなかったはず、居たら我々の耳目に触れていないはずがないからだ。ま、後からいくらでもそう主張する連中は出てくるけど、当時は「ガロ」の編集部にいた俺が担当としてお付き合いさせていただいていた、漫画家の根本敬さんくらいだったと記憶している。

手塚治虫先生が亡くなった後、”メジャー”コミックの世界ではますます手塚マンガ至上主義的な伝説の構築が進み、結果世の中のマンガは全て手塚マンガを基点としている、あるいは影響下にあるという乱暴な論理が一般には(あくまで一般には)まかり通っている。手塚先生のマンガは大好きだしもちろん少年時代からたくさん読み親しんだ、尊敬もしているしお会いしたこともある。だが手塚マンガが日本のアニメーションなども含めた広義でのコミック界全体を押し上げた、拡げたこと(表現の幅からビジネスまで全てを)は事実としても、そこへマンガ界全てを収斂させようという考え方は乱暴に過ぎないかと。

手塚治虫やトキワ荘の伝説はメジャーな「マス・コミック」の世界では確かに物凄く大きなものだ。それらを否定しようとか、こきおろすつもりなど毛頭ない。あってたまるか、自分だってワクワクさせられた一人だったのだから。でもマンガというものはメジャー、マスの世界だけではない。水木サンは「鬼太郎」などで広く知られる国民的漫画家かも知れないが、それは水木サンが復員後にさまざまな困難と極貧に耐え、漫画家になってからもほとんど食うや食わずという時代を長く経てからの話だ。その時代、水木サンは手塚マンガに影響を受けるどころか、ギラギラと嫉妬と羨望の眼差しを向けていた…。
こんな話はまあもう何冊も本になってるだろうしご本人も語っておられるのでそちらを参照して欲しいけど、我々水木しげる原理主義者がなぜ水木しげる原理主義なのかといえば、何より水木しげるという存在そのものが、作品と同時に我々を愉しませてくれるからなのである。キャラがどうとかいう昨今の軽薄な表現など使いたくない。水木サンの人生、哲学、すなわち存在それ自体が我々を水木しげる原理へと導くのである。
最近「水木しげる原理主義者」という言葉が何か普通に使われるようになってきたようだ。本書の編者である大泉実成さんは昔からご自分をそう名乗ってきた数少ない人の一人だろう。何せ水木サンと一緒にニューギニアまで行ってるんだから、タダ者ではない。そしてタダ者ではないからこそ、このようなトンデモない本を作ってしまえたのだろう。

93年ころ?に水木プロにて、水木さんとこれはもう20年くらい前の話だが、NHKか何かのテレビ番組に、水木サンが出演された。俺は当時ガロでアルバイトから社員になったばかりだったか、巣鴨の一人暮らしの部屋のテレビにかじりつくようにして水木サンのインタビュー…というより独演を見ていた。絶妙だったのはそのカメラワークであった、というか要するに「フィクス」であったのだ。水木サンを撮影する場合、とにかく余計なことはするな、水木サンの好きにさせておけ。これを声を大にして言いたい。ともかくこの時のNHKのカメラマン…なのかプロデューサーなのかは知らぬが、カメラをフィクスしておいたというのは素晴らしい「演出」であった。水木サンは、実際にお会いしてお話を聞けばすぐ解るのだけど、興に乗ってくると身振り手振りで体がグラリグラリと動く動く。語り口はもちろん表情も素晴らしい。臨場感なんて言葉は虚空に消え失せるほどだ。その水木サンの一人語りを、フィクスで撮影している。素晴らしい英断だ。当然、水木サンは話しているうち、体が前後左右に動きはじめる。突然ガッとのけぞったりする。眉をひそめて目を閉じたり、突然クワッと目を見開いたりする。そうして画面から消えたりする。でも声は聞こえている。画面は何もない、スタジオの確か黒か何かのバックだけが映し出されている。そして突然水木サンがフレームインしてくる。お帰りなさい、だ。俺は画面に向かって手を叩いた。それが何度か繰り返される。それを引きで撮るのでは全く水木サンの面白さを伝えることにならない。そういう意味でこれは素晴らしい番組であった、話の内容はほとんど覚えていないが。

この本を読めば、水木サンの思想、哲学というものの一端に触れることができるかも知れない。我々は水木しげるという偉大な存在と今まさしく、「同時代を生きていること」に、もっと感謝すべきなのだ。そういう存在は数少ない、長嶋茂雄もそうだが。願わくばご本人と直接お話をさせていただくのが一番いいのだけど、まあそれはそういう幸運に預かった者の自慢ということで、エッヘッヘッヘ。
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コメント

同世代であることに感謝

素晴らしいタイトルですね!十分に感謝します。
動く水木サンと「フィクス」のカメラ、コメントから場の雰囲気が伝わってきそうです。ボクはテレビで水木サンが何か言う度に、嬉しくて面白くて、画面に向かって手を叩いたり、声を出してしまいます。
自分のブログに水木サンネタを書いた後にネットサーフィンしてこちらへたどり着きました。

ありがとうございます。

>あり様
来訪ありがとうございます。リンクの件はもちろん何の問題もありません、こちらこそよろしくお願いいたします。
骨髄バンク登録者はここ数年かなり増えていると聞きますが、まだまだもっと多くの人に知っていただいて、協力していただきたいですね。

実は自分も病院でこれから抗癌剤投与、という時期に「白血病といわれたら」をネットから取り寄せました。確かに物凄い量の情報が得られたんですが、実はそれらはそれまで自分がネットで得た情報の量、内容を超えるものではなかったと思います。
もちろん全ての患者さんとその家族がネットで情報を得られる環境にあるわけではないので、この本によってそれを得る人たちも多いこと、そしてそういう場合には極めて有効であるとは思います。それに本の価格も非常に良心的でしたし、発送手配も迅速でした。
自分は自分の詳しい病気、型がいまだにキッチリ特定できないでおり、癌は癌でも果たして治るのか治らないのか、何年生きられるのか生きられないのか、何も解らないという状況です。そんな中、情報は多ければ多いほどいいと思っています。ただ悲観的な情報には落ち込み不安にかられ、希望的な情報には素直に励まされるという、文字通り「一喜一憂」してしまうわけで、そうした情報過多の状況に自分を置いた場合に何より大事なのは「自分自身の気持ち」であることを痛感させられております。
サイト運営大変だとは思いますが、頑張ってください。

リンクのご確認。

はじめまして、宮城骨髄バンク登録推進協議会HP管理人の者です。ネットサーフィンでここにたどり着きました。

私は今、携帯サイトの血液疾患に関するHPを集めていて、貴サイトを「お勧め日記」としてリンクを貼ってみたのですが、よろしいでしょうか。

もし不都合なことがあれば削除致しますので、その時にはご遠慮なく申し付けてください。それでは今後ともよろしくお願い致します。

私は一般の人から聞かれてもある程度答えられるようにと、「白血病といわれたら」と言う本を受け取ったのですが、あまりの量に消化不良のままでいます。。。でも、患者さんからすると、とことん知りたいという声もあるんだろうなぁと思いました。

>まりさん

アレムツズマブ、みたいですね。こちらもいろいろ調べてみました。どうやら副作用が少ないヒト・モノクローナル抗体ということで、GVHDの予防というか抑制にもいいみたいですね。ただ免疫力の回復まで時間がかかるというデータもあるそうですが、画期的なお薬みたいです。この分野は日進月歩ということは知ってましたが、本当にそうですね。B細胞性に効くリツキサンもここ数年だし…。
巨泉はともかく(笑)、確かに情報がたくさんあることは、患者の不安を軽減しますね。それが「いい情報」であればなおさら。悪い情報ばかりガンガン入ってくるのは逆効果になってしまいますが、自分の場合は前向きな情報のみ、記憶にとどめるようにしています。その意味で、いろいろ前向きな情報をいつもありがとうございます。でしゃばりとか差し出がましいとかなんて全然全く少しもちっとも思ってませんよ。むしろいつも感謝しておりますので。

>Aさん

編集作業ご苦労様でした。その節はお世話になりました。いやー何ちゅう本作るのアナタたち(笑)。と思ってしまいましたが、全ての水木原理主義者はバイブルとして一家に二冊持つべきですね。一冊は愛読用に、もう一冊はもちろん、神棚に飾って毎朝拝むのです。自分もAmazonに予約しました。ええ、当然のことですから。

感謝してます!

感謝してます!水木先生のマンガが読める時代に生まれたことを!

私が今現れてほしいヒーローは、バットマンでもスパイダーマンでもスーパーマンでもなく、

そうです。「コケカキイキイ様」です!!

話は変わりますが、主治医の方は白取様のことを信頼され常に客観的な情報を詳しく話されているようなので、特に変化はありませんと言う御話はそのまま信じても良いのではないでしょうか。

T大病院でしか使えないお薬とはアレムツズマブのことでしょうか。T-PLLの完全寛解率と生存期間を大幅に改善したお薬で、欧米ではリンパ増殖性疾患の治療薬として既に使われており、日本ではT大と○ノ門病院で現在治験中だと思います。個人輸入も出来ます。

+や-が沢山出てくる謎のグラフは、細胞を分類する表ではないでしょうか。
御存知のように血液系の細胞は「幹細胞」から色々な血球系の細胞に分かれていってそれぞれ成熟し、最終的に「好中球」とか「赤血球」などになるわけですが、この分化・成熟の過程で細胞表面にいろいろな分子が現れます。これを抗体などで調べることで、何の細胞、これから何の細胞になる予定のどのくらいの成熟段階、と言うのが判ります。
エイズで有名になった「CD4+T細胞」の「CD4」などがそれにあたります。
因みにアレムツズマブはCD52と言う分子に対する抗体です。

何か本当にいつも差し出がましいことを書いてすみません。(このでしゃばり、おしゃべり、知ったかぶり!!)

言い訳になりますが、大橋巨泉氏の「情報を多く得るほど治癒につながる」というようなコメントを読んで心に留まっていたものですからつい・・・。

御風邪を召されませんようお祈り致しております。

Unknown

その節はお世話になりました!

>水木しげると同時代にいることに感謝せよ!

さすが!名コピーです。

水木漫画を読んだときの不思議な心の温かさ、
そして実際に水木サンに会ったときの、
さらなる心の温かさ、高鳴りを思い出しました。

『本日の水木サン』を読めば366日いつでも
水木サンを感じることができるのであります(笑)。
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シラトリチカオ

Author:シラトリチカオ
白取千夏雄/編集者。1965年函館市宝来町生まれ。元青林堂「ガロ」副編集長、97年よりフリー編集者・ライター・Web構築・管理他なんでも屋と、専門学校・大学講師など。
2005年夏、白血病告知・余命宣告を受けるが「慢性リンパ性白血病」に近いタイプと判明、無治療・対処療法、2014年より抗癌剤治療、巨脾へ放射線など治療開始。2015年夏左上眼瞼にメルケル細胞癌発症、眼瞼切除、再建手術、16年にかけて放射線も耳下腺に転移、郭清術、放射線治療中に再発、左眼球ごと摘出・皮膚移植。転移再発治療中ながらまだ生涯一編集者として生息中。
二十余年の東京在住ののち、07年から京都在住。09年5月、愛妻=漫画家・やまだ紫を脳出血で失った。
やまだ紫クロニクル

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