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2016-02-09(Tue)

退院後の暮らし

2016年02月09日(火)
2016年01月25日、月曜に無事退院した。
今回は先生がたは忙しいのでお会いできなかったが、助手さんや異動せずに残った看護師さんには順繰りにご挨拶が出来た。
何しろ、年末年始の中断があったとはいえ、この度の入院は長かった…。
去年10月頭から、今年1月末まで。
その間手術3回、放射線治療が28回。
まあよく頑張ったよ俺。

元の病気もあるので大事を取って個室に入ったのだが、もし大部屋だったら今回ばかりは精神的に折れていたと思う。
俺はそんなに強い人間ではないのだ。これまで何とかかんとか「死」からすり抜けて、うまいこと誤魔化してきた。
しかし、今回は白血病の上に進行が早く転移も多い皮膚癌と来て、眼瞼切除と再建で顔が変わる、そして瞼含めた目や鼻に常にケアが必要になって、要するに、白血病患者の上にさらに負荷、重い荷物が増えたという感覚だ。
他の患者さんでもそりゃあ自力で立ち歩きどころか声すら発せられない人もいる。
でもそれはその人であって俺ではない。
同情はするが、自分の事で精一杯だ。大部屋はこれまで同病相憐れむ的に理解し合う患者さんが出来て、実際今でもお付き合いのある人も何人か出来た。
血液腫瘍内科で、しかもクリーン病棟に入っていた時は、本当に普通に亡くなる人が出ていたし、自分たちも大変な状況にいる事を理解していた。だから気の合う患者同士できっついジョークを言い合い、笑い合った。ほんとうに助け合い支え合えた。
以前の、肺がズタボロになった時も、俺も含め大部屋の患者は全員が手術が必要な癌患者か、末期癌患者だった。
しかし形成の病棟だと、単純な話、俺のような免疫疾患、血液腫瘍患者はいないし、俺レベルの防疫体制を求めてもいけないし、逆に骨折しただけのような相手から見たら「何やこの神経質な潔癖症」となるだろう。
そういう些末ないろいろな事へ向ける気持ち、精神的な余裕が今回は無かった。
とにかく「痛みに耐える」「不自由に耐える」「放射線治療を完遂する」、その結果「生き残る」ことで精一杯だった。

とはいえ、俺もイイ歳をした大人なので、感情は抑制し、薄い壁で遠慮なく響き渡る大声に挟まれても、看護師君にちょっと愚痴るくらいで済ませ、概ね穏やかに過ごしていた。感情の起伏を抑え、自己を客観視する事で、心が壊れることを防ぐ。本能のようなものだ。
人によっては感情を爆発させたり、他者を自分の「不幸とやら」に引き込む、巻き込む事で正常を保とうとする事例もある。そういうのを「我が儘」だと思うが、病人だから、とある程度容認される。それは社会の優しさだと思うから否定はしないが、そうやって解放され許される人もいる一方で、歯を食いしばりなるべく他人に迷惑をかけたくないと黙っている人もいる。

そうした患者の内面まで考えてくれる医療従事者は、悪いけど、それほど多くはない。当たり前だ。
向こうにはそりゃあ、何百人も相手にして毎日毎日そういう場面にいるんだから、いちいちそんな深く考えて接してられっかよアホンダラという理屈がある。それも本当に、痛いほどよーく分かる。だからこっちもなるべく迷惑かけないようにしようと思っている。

幸いというか、今回は…いや今回形成外科の先生、とりわけ眼瞼再建でお世話になったE先生は本当に良い方で、こちらの気持ちも察していただき、良くしていただきました。
この先生で本当に良かった、としみじみ思った。
色々な人たちに助けられて、何とかかんとか今回も「生き抜けた」。

退院後はとにかくネットやテレビ、スマホ画面も含めて「目」を使うものはなるべく長時間の使用は避けた。
左目が完全に閉じないため、起きている間はひっきりなしに点眼薬…目薬を入れる。乾いてくるとごろごろして痛いし、涙もかろうじてまだ涙腺機能があるため出るのだが、すぐ目尻からこぼれ落ちてしまう。涙液が眼球表面に維持しづらいので、補充が欠かせない。
で怖いのは、寝ている間に乾燥して感染症にかかったり、角膜に傷がついたりすること。普通の人でも目を開けて寝る人がたまにいるが、易感染の俺には怖い。
なので、眼球を保護する眼軟膏を直接にゅるにゅると眼球の上に落として、眼帯シールで塞いでから寝る。
朝は当然それを剥がして顔を洗って、点眼薬で目を洗う。
本当は生理食塩水で洗い流したいのだが、生食は薬局で買えなくなった。いろいろ規制が不便でしょうがない。コンタクト着用者用の洗浄液をまとめ買いしようかと思う。
冬場はただでさえ乾燥するので、感染リスクが高まるうえ、俺の場合は目の乾燥も防がねばならないから、加湿器が欠かせない。それも、でかい奴は掃除が大変で、ほっとくと単なるカビやウィルス放散器になるので、ペットボトルに挿せる、簡単なものを複数買った。洗浄も簡単だしフィルタ交換もワンタッチ。
病室で使っていたら、先生や看護師さんがたにも好評だった。
それらも含め、とにかく新たな出費が増えて困る。

生きるためには金がかかるのは当たり前だ。
でも病人の場合は健康な人より余計に、かかる。

それも、死ぬまで。
自然に治ることは、絶対に無い。

それでも、今こうしてまた「普通の暮らし」に戻れた、戻していただけた、そういう意味でもう病院に、先生がたに、看護師さん助手さんたちに、励ましてくれた友人知人身内に感謝しかない。
また、生かされたのだ。
俺より若い年齢で、無念のうちに亡くなる人も大勢いる。不慮の事故で突然という場合もあれば、長く苦しい闘病の果て…もある。

俺は白血病宣告から今年で11年目になった。
そして、あちこち切った貼ったを繰り返しつつも、まだこうして生きている。
この「生」をありがたいと思い、助かったことに感謝しなければ、それこそ罰があたる。
罰をあてるのが神仏とかそういうことじゃなく、「戒め」として心にあるものを信じている。
それが、連れ合いへの感謝とか含めて、他人から見れば相当に悲惨で苦難の連続である我が人生における、支えのようなものだ。
決して宗教とかじゃあない。
ある意味、この過酷な人生を経てきた、修験者として体験してきた果てに得た「悟り」のようなものに似ている。

年末年始一度自宅に戻っているから、こないだの退院で戻ったとき、実際は長かったなあ…という感慨はそれほど無かった。
もちろんこうして過ごしていくうちに、じわーっと、ものもらいくらいに思っていた「癌」が瞼に出来た頃は夏だったんだな、という思いはある。
でも、「あれ」はもう取り切った。
とにかく、サプリだの健康法だの色々あるけど、ほんっっとうに「ストレス」が人を殺す。
これだけは言える。
若いうちに働きすぎて体をボロボロにしたり、無理をさせたり、ストレスを受けつつもそれを跳ね返せていた…つもりが、実際は自分を病気にした。
それでも受け入れ、病気と共存しようと意識を変えたのに、一緒に生きていく連れ合いを失い、さらにはこのたびの皮膚癌、でも心が折れなかったのは、「心が折れたらおしまい」だからだ。
その心を折れないように保つこと、それがストレスを溜めないことだと思うし、体を自分で労るという事だろう。個室に入ったのも、そのため。

何より健康、体が一番大事。
金が大事とか色恋が大事とか仕事が大事とか言う人も、病気になったらその全てを失うと思ったら、何が一番大事か解るだろう。
自分を愛して心配してくれる人をも不幸せにすること、それが病気だ。
俺が言うんだから間違いない。

退院してから今まで、けっこうやることがたくさんあった。
部屋を完全に「病室」に近くするために、ちょっと動かすと激痛が走る左肩を庇いつつ、部屋の模様替えをした。
正直、途中で全てを投げ出したくなるほど大変だった。
でも何とかやりきった。
寝る廻りに薬や目のケアに関するものや、以前からあったバイタル関連の計測機器なども置いて、基本的に体調の悪い日は寝たまま過ごせるようにした。
もちろん、経口補水液や保存食も備蓄してある。
一応立って歩ければ、外出できないくらい体調が落ちても、数日は生きられるようにしてある。
もちろん、もっと明らかに高熱が出たり酷い状況になったら、もう迷わず救急外来へ駆け込むが。

部屋は安普請なので、ほっとくと室温が平気で一桁になるので、エアコンをつける。やはり乾燥する。目が痛くなる。
なので、目を保護するための、メガネONサングラスを室内用に一つ追加で購入した。
入院中にゆうちゃんが送ってくれたものはかなり暗く、室内だとテーブルの角に足をぶつけたりするので、もう少し明るいものにした。夏は外用に暗い方を使い、室内用に新しいのと使い分けられる。
まあ、かように色々不便不自由があるわけです。

長文を打ち込むのも目が関わるので、なかなかしんどい。
まったく困ったもんだ。
でも生きているし、これからも生きる予定ではある。
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コメント

祝ご好転

前に、「祈ご好転」というコメントを書き込んだものです。いろいろおありでしょうが、ともかくもご好転されたことをお喜び申し上げます。月並みで恐縮ですが、ガッツで前進されることをお祈りしています。

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ひとまずは、お帰りなさいませ、ですね。
退院祝い等悩みますので、よろしければ密林にて欲しいものリストを作成して公開していただけるとありがたく。
…というか使ってみたいんですよ、あの機能!

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使ってみたいです

私も、Amazonの欲しいものリスト、誰かに届くバージョン、使ってみたいです。是非公開してください(o^^o)

白取さまへ

昨日、書棚を整理しておりましたら『ガロ』の長井勝一さん追悼号(2)が出てきました。やまだ紫さんなど懐かしいメンバーの寄稿に加え、白取さんの文章も読むことができて嬉しかったです。少しでもお体が良い方向に向かわれますよう、お祈りしております。

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シラトリチカオ

Author:シラトリチカオ
白取千夏雄/編集者。1965年函館市宝来町生まれ。元青林堂「ガロ」副編集長、97年よりフリー編集者・ライター・Web構築・管理他なんでも屋と、専門学校・大学講師など。
2005年夏、白血病告知・余命宣告を受けるが「慢性リンパ性白血病」に近いタイプと判明、無治療・対処療法、2014年より抗癌剤治療、巨脾へ放射線など治療開始。2015年夏左上眼瞼にメルケル細胞癌発症、眼瞼切除、再建手術、16年にかけて放射線も耳下腺に転移、郭清術、放射線治療中に再発、左眼球ごと摘出・皮膚移植。転移再発治療中ながらまだ生涯一編集者として生息中。
二十余年の東京在住ののち、07年から京都在住。09年5月、愛妻=漫画家・やまだ紫を脳出血で失った。
やまだ紫クロニクル

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