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2016-06-14(Tue)

ユキちゃんの不遇

2016年06月14日(火)
pcardYUKI.jpg
やまだ紫の描いたユキちゃん(ポストカード)

6:32。さっき枕元がわの隣から、ボンゴみたいな重低音がボンボコボンと聞こえてきて叩き起こされる。声のでかいオッサンの重低音部分だけが聞こえてきていて、たぶん看護師か誰かが来て話しているらしいが、その声で目が覚めてしまった。
スマホ見るとまだ5時台で、勘弁してくれよと。
でも寝直そうとしても話は続いてるし、目は覚めたし、しょうがねえというので小便に立ち、そのままカーテンを開ける。

昨日は久々にケナログじゃない方…デキサルチン軟膏の方を、寝る前に舌、上唇、下唇、口角部分に塗り込んで、軟膏入れた左目に眼帯、さらに喉が乾燥しないようにマスクをして寝た。
この水分でゲル状に固まるステロイド系軟膏は、量を間違うと寝ている間に飲み込み、当然食道か胃に滞留して、その後猛烈な吐き気と共に戻すことになる。なので日中しか使っていなかった。
でも最近はいよいよ、放射線により皮膚も左頬から顎にかけて赤くなってきたし、脱毛も出て来た。
朝起きると喉もカラッカラになってきたし、口の中も乾燥して痛い。
おとついはとうとう口角炎も出来た。
夕べひさびさに顔を見た看護師君に「これで口内炎のグランドスラム達成したで」と軽口を叩いた。
口内炎、口唇炎、舌炎、口角炎。
で口唇炎口角炎の悪化を防ぐべく寝る前にも塗った次第。
そのせいか12時過ぎからまあまあ熟睡。

朝はまずは口中の軟膏を、洗った指で掻き出す。
当然炎症、傷の上に塗ってあるものだから痛い。これが一仕事。
普通の水でぶくぶくすると浸透圧で舌がびりびりするくらい痛いので、生理食塩水とボルタレンなどの錠剤を破砕の上溶かした痛み止め液で口をゆすぐ。
それを何度か繰り返し、適当なところで冷蔵庫からオキシカインをアズノールうがい薬と生食に溶かした液を口に含む。
これは歯科口腔外科で使う、即効性のある軽い麻酔薬。痛み止めより強いので、歯磨きの前後に使う事にしている。
これを1~2分含んだ上で吐き出し、ようやく歯を磨く。舌炎部分に歯ブラシがあたると血まみれになるので注意しながら、残りの軟膏も落とすよう丁寧にブラシをかける。
歯ブラシは歯科口腔外科の歯科衛生士さんに教えて貰った、一番軟らかいブラシで、赤いやつ。確かにへなへなだが、今の自分には有り難い。普通の固さの普通の歯ブラシだと、歯茎などの粘膜も弱っているから、歯磨きのたびに血まみれ、とんでもない惨状になる。
一通り軟膏が取れたら、再度ボルタレン入りの方ですすぎ、もう一度含み、こんどは数分含んだままにする。
これは痛み止めを吸収させるため。
その間に顔を洗う。左目は軟膏を入れたので、洗った後「医療用」と書いてある「アイボンメディカル」というので目を洗う。
それから口中の痛み止めを何度も吐き出し、喉に下がったものは痰切りで何度か吐き出す。
そしてようやく、水道水にアズノールうがい薬を溶かしたものを口に含める。
最初からこれだと、痛くてすすぎさえ出来ないのだ。
もう水を含んでも激痛。
これで口をすすぎ、何度かうがいをし、ようやく終了。
ベッドに戻ると20分以上経過している。
目の眼帯外しと軟膏取り、アイボン以外はこれを基本毎食、繰り返している。
その他に痛みが出てくると、ボルタレン入りの方を口に含んで数分我慢する。何しろ舌炎が黙っていても痛い、水を含んでも痛い、酷い有様なので痛み止めが切れると何も出来ない。ボルタレンはだいたい小一時間は持ってくれるので、その間は何とか口を動かさないと痛みは軽微。

食事はもう、痛み止めを使っても、ペースト食しか食えない。
おかゆさんに、一応メニュー紙には「なんとかのなんとか焼き」とか書いてあるが、フタを開けるとどろっとした液体。ブロッコリーのおひたし、もどろっとした液体。全部それ。
一応主菜的などろっとした液体は、おかゆさんにぶっかけて混ぜてしまい、とにかくゆっくりでも口に運ぶ。
完食というより完飲を毎回心がけている。
DSC_0138.jpg
かたちのあるものは何を食っても痛いので、もうこうしたペーストやゼリーしか食えない。
飲料も、ペットの水やお茶もびりびり染みて痛い。
脱水になるとアカンので、OS2みたいなのを飲むしかないが、まずい上に高い。
ところが、なぜか病院で出る薄い味噌汁、そして「午後の紅茶」ストレートだけは飲める。歯科衛生士さんによると、色々な科から抗がん剤や放射線治療で口内炎の方のケアをしているが、白取さんで午後ティーストレート大丈夫患者が4人目だと驚いていた。浸透圧が絶妙なのか、と先生がたも不思議がっていた。
極端に飲食の幅がせばまった患者にとって、冷たい飲料をおいしくごくごく飲めるというのは実に有り難い。

こんなに手間をかけて痛みを我慢しても口から食う…というより飲み込む。口腔ケアや痛み、手間を考えると点滴の方が楽だが、人間口から食わねばてきめんに弱る。
そんなん十年以上癌患者やって、あっちゃこっちゃの病棟見てきたから知っている。実体験で。
そして食うところと出すところは常に清潔に保つ。これは病人にとって基本。
ていうか人として基本なんだが。

昨日、新たに預かって頂くことになった桜風舎さんから残念なお知らせが来た。

先週水曜から皆さんに「可愛い」と迎えられたユキちゃんだったが、一時は社内を徘徊したりデザイナーNさんの机の上で香箱を作ったりと馴染んだように見えたものの、やはり先輩猫ちゃんたちと折り合いが悪いそうだ。
とくに何匹かの猫とは流血ざたの喧嘩まであって、ユキはすっかり怯えて棚の奥に隠れて出て来なくなったり、Nさんの机の下でじっとしていて食も細くなったという。

このままだとユキの健康状態も心配だし、かといって先に居る猫たちも大切なので、お預かりできないかも知れないと。

とりあえずユキをケージに隔離しても良いでしょうか、という事なのでもちろん承諾した。
その間にまた、預け先を探さねばならない。

ユキが可哀想でならない。
ユキに申し訳ない。本当に済まない、可哀想な事をしていると思う。
病気でさえなかったら何でもなかったのに。
本当に俺の人生何なんだろうか。
この人生にしがみつく意味って何なんだろうか、と考えてしまう。
たった一つの小さな家族すら守れず、あちこち転々とさせてしまい、悲しい思いをさせている。
自分の病気を呪うが、病気を言い訳にしてもユキには関係ないことだ。

ある日突然、一緒に暮らしていた部屋から引きはがされ、美山の谷川さんのところへ連れて行かれ、そこでは可愛がっていただき、のんびり暮らしていたように見えて安心したのだが、谷川さん側の状況に激変があって、それももう叶わぬこととなった。
そこでまた突然、今度は先輩猫がたくさんいるオフィス環境へ放り込まれ、いじめに遭い、怯えている。
どうすれば良いのか考えるが、もう施設に預けるしかないと思いつつ、またもう一回実家からはじめて友人知人に聞くが、答えは同じだ。

癌と闘う身にとって、心臓がばくばくするくらいの心労となって辛い。
かといって、現在多頭飼いの方に面倒をみていただくと、当然ながら同じ目に遭う…ユキは耳が聞こえないため、威嚇などの警告、敵意が解らない…わけで、どうしようもない。

いろいろ検索もしたが、終生お預かりします、という団体はとても支払えない料金が掲示してあった。
善意の愛護団体は、気の毒なくらいいっぱいいっぱいで、受け入れ体制が心配なところがほとんど。
こういう時代なので、一人暮らし、あるいは病気で愛猫と暮らせなくなったりする事案は多いんじゃなかろうか。
すぐ保健所、なんて家族として一緒に暮らしていた身ならとても出来る事じゃないし、そもそも選択肢にない。捨てるなんていう事もできるわけがない。ていうか出来る人は頭おかしいと思う。家族を捨てる、だよ。

辛い時も楽しい時も、ずっと傍にいてくれた小さな家族を、自分の都合で命を左右するとか、考えられない。
でも、敢えて言えば、うちで野良だったユキを保護した時は夫婦二人で「最後まで面倒みてやるからね」と言って家族にした。
でも連れ合いが逝き、仲は悪かったがつかず離れずだった先輩のシマも逝き、残ったのは白血病の上に癌、さらに転移、で入院手術に出たり入ったりの病人一人だ。
もう、猫を家族として暮らすご身分ではなくなってしまった。
でも、だからといってその命を守らなくて良いという事ではないし、家族は家族。何年も連絡もない親戚なんかより、遙かに大切な、大事な家族なのだ。
P1000425.jpg

本当に世の中うまくいかない。
いや、俺がうなくいかないのだ、この人生。
人生やめてえな本当に、と思いかけて、いやいかんいかんと立て直す。
やめたらほんまに残りは「死」しかない。
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コメント

No title

ゆきちゃんによいご縁がいち早くめぐってくるように、祈ってます!

ユキちゃん救出作戦

木曜日にユキちゃんを迎えに行きますよ〜。桜風舎でスタッフの皆さんがチームで猫スタッフを保護していらっしゃるのにヒントを得ました。今後はメグちゃんファミリーとマタタビとで一緒に協力してユキちゃんを「最後まで」お世話します!シラトリさんはとにかく治療に専念してください!
午後ティー、差し入れに行きますよ!

何かすいません

桜風舎でユキちゃんがいじめに遭ってる! みたいな感じになってすいません。
猫は縄張り社会で、古参の中に新参が加わる場合はちゃんと新参の前で、まず古参を可愛がって嫉妬させないように見せつけるとか、猫同士での示威行動を見守ってぎりぎりで止めるとか、かなり大変なんですよね。
ユキはその猫同士の適当な距離感、威嚇、警告などが聞こえませんから、どうしてもいきなり衝突になっちゃう。
桜風舎さんの先住猫ちゃんたちにとっては単に闖入者なので、これはもう合わなかった、という事で本当にご迷惑おかけして済みません、という事です。

ユキを預かれなくなったにゃほやまさんこと谷川さんのご近所の方が、ユキちゃんを気に入っててくださり、周辺と協力してなら、という事で地域猫のように面倒をみてくださることになりました。
美山という環境なら都市部と違ってそれも可能ですし、桜風舎さんにこれ以上ご迷惑をおかけできませんので、ベストかと思いました。
いろいろお騒がせして済みませんです。
もうベッドの上でただただ、ユキちゃんが安心してまたのんびり日向ぼっこできれば良いな、とだけ考えていました。
いやほんまに皆さん済みません。
ありがとうございました。
とりいそぎ

良かったです!

「ユキちゃん救出作戦」のコメント、さらに白取さんのレスを読ませていただいて少し安心しました。

ユキちゃんが新しい環境で少しでも快適に過ごせますように。
白取さんがユキちゃんと一緒に過ごせる日が来るよう、東京からお祈りしております!

No title

桜風舎さんのHPで、これから、可愛いユキちゃんのお写真が、時々見られるかな・・・と、楽しみにしていました。。

でもやはり、猫同士は、難しいものですね。
私もそれはいやというほど味わってきました。

誰が悪いわけではなく、それが猫の本能なのですよね。。

私なりに、いろいろと考えて、例えば、ユキちゃんは寂しいけれど、しらとりさんのお部屋で、一人で暮らしてもらって、朝・晩に、ペットシッターさんを頼むのはどうでしょう・・・
などとも思ったのです。

でも、それだと長時間一人で過ごすことと、料金が高いのですよね。

それにやはり、すごく心配だと思います。

それなので、新しい方法が見つかったとお聞きして、私もホッとしました。
本当に良かったです。

流動食は味気ないでしょうね。
お腹に入れば一緒・・・ではないですものね。

でも、薄紙を剥ぐように・・・でも、日一日と良くなっていくと信じて、がんばってくださいね。
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シラトリチカオ

Author:シラトリチカオ
白取千夏雄/編集者。1965年函館市宝来町生まれ。元青林堂「ガロ」副編集長、97年よりフリー編集者・ライター・Web構築・管理他なんでも屋と、専門学校・大学講師など。
2005年夏、白血病告知・余命宣告を受けるが「慢性リンパ性白血病」に近いタイプと判明、無治療・対処療法、2014年より抗癌剤治療、巨脾へ放射線など治療開始。2015年夏左上眼瞼にメルケル細胞癌発症、眼瞼切除、再建手術、16年にかけて放射線も耳下腺に転移、郭清術、放射線治療中に再発、左眼球ごと摘出・皮膚移植。転移再発治療中ながらまだ生涯一編集者として生息中。
二十余年の東京在住ののち、07年から京都在住。09年5月、愛妻=漫画家・やまだ紫を脳出血で失った。
やまだ紫クロニクル

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