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2016-06-18(Sat)

「闘病」

2016年06月18日(土)
夕べは導眠剤を飲むのがやや遅かったせいか、12時過ぎに唐突に眠気が来て、慌てて寝る支度を調えて寝た。寝るのにも準備がいるのだ。
寝ている間が一番口内に雑菌が繁殖しやすいので、とにかく口を清潔にする、それにはすすぎやうがいなのだが、口内炎グランドスラム状態なので水道水は痛くて使えない。
なので本来は痛み止めの、ボルタレンを生理食塩水に溶かしたもので一度口をゆすいで、さらにもう一度今度は鎮痛剤として含み、数分後に吐き出し、アズノールうがい薬で何度も口をゆすぐ。歯磨き前には麻酔薬キシロカインをやはり生食に溶かした方の液を含み、軽く口内を麻酔が効いた状態にしてからじゃないと歯を磨けない。
本当、単に「寝るか」というわけにいかないのだ。
さらに左目に眼軟膏を入れ、眼帯を貼り、顎や唇にはアズノール軟膏を塗ってマスクを嵌め、電動ベッドの背を倒して、腰のあたりに丸めておいたかけ布団を抱き枕状態に直してから、ようやく寝られる。やれやれだ。

今朝は6時ころ目が覚め、黄色い浸潤液混じりのよだれが部屋着の袖にべっとり染みていた。そうならないようにマスクして寝たのに外れていて、背中の下にあった。
しょうがないし気持ち悪いので脱いで丸め、着替え用に貰ってあった部屋着に着替えて、ついでにトイレに立って、それからボルタレン液で口をゆすぎ、キシロカインを含み、眼帯を外し、口に液を含んだまま洗顔して、左目にアイボンをして目を洗い、それからキシロカインを吐き出して、ようやく歯を磨ける状態になる。
もし麻酔を含まずに歯を磨いたら、激痛で数秒と持たないだろう。それでも舌に歯ブラシがあたらないよう、軟らかいブラシでそっと長く磨く。それでも血まみれになる。
歯磨きが終わったらボルタレン液で口をゆすぎ、アズノールを垂らした水道水で何度もうがいをする。最初から水道水が使えたら楽なんだが、そうはイカの金玉。
痛み止めがないと、浸透圧の関係で水道水でも舌がビリビリ、口内炎にもビリビリ、とにかく痛くて口をゆすぐことも出来ないのがきつい。
ボルタレンは痛み止めなので、本来口に数分含んで吐き出すのだが、生理食塩水に混ぜてあるため浸透圧の関係で含んでもビリビリ染みない。なので、それでとりあえず口をすすぐしかない。その上で、痛み止めとして含むという仕組み。
それを口に含んだ水が透明になるまで続け、ようやく一段落。

毎朝これで20分~30分かかる。
DSC_0141.jpg

ようやくベッド上で一息ついてPCを立ち上げネット見てると喉がいがいがしてくる。喉からも口内同様浸潤液が出てるのだろう。
ゆうべ部屋に来てくださった主治医のE先生は「普通の皮膚に傷が出来て、それがじゅくじゅくすると痛いという状態が、口内や喉の粘膜にあるわけですから…」と言っていた。
放射線治療にはツキモノとはいえ、何と言うか、本当に癌との戦いは命がけという事を今さらながら実感する。
癌を殺すために正常な細胞も殺す。
再生は正常細胞の方が速い。その時間差で逃げ切れれば勝ち。でも放射線は同時に正常細胞を癌化させるというリスクもある。本当に紙一重の治療だ。癌が勝つか、俺が勝つか。
いや、癌も俺の一部だからなあ。
本当に大変なことです。

だから健康な人に言いたいのは、
「細胞を癌化させんなよ」という一言だけ。
どうして癌になるかは人それぞれで、そりゃ喫煙でなる人もいればならない人もいるし、過度なストレスでなる人もいれば、平気の平左の人もいる。
だからその人が自分で考えて「体に悪いな」「精神に良く無いな」という状態に気付いたら、やめろ。それだけははっきりと断言できる。
気にしないんなら、どうぞご自由に、ただし他人に迷惑をかけずによろしく、と。
これは何でもそうなんだけどね、生きて行く上で。
自分が気持ちいいからって他人に迷惑かけるとか最低ですよ。

病院にいると、入院というだけでストレスになる事が解る。そういう人の方が多いのは、当たり前だ。だって病院にいるという事は普通の状態じゃないから。日常じゃない、自分にとって異常な空間に置かれた非日常だから、それ自体がストレスなのだろう。
「だろう」というのは、俺の場合はもう慣れたし、慢性白血病という基礎疾患があるので、何がいつどこにどう出るか判らないから、今は病院にいる方が安心だったりする。
つまり、ここは「治ろうとしている人」と「治そうとしている人」しかいないからだ。
なのに、「治そうとしてくれている人たち」つまり看護師さんや医師に食ってかかったり、いらだちをぶつけたり、ストレスのはけ口にする人もいる。
本当、心底バカ野郎が、と思う。
聞いたら骨折程度とか、とっとと治して出てけこのクソジジイ、と思う。じゃなかったらよそへ行けアホンダラ。
そういうのに限って態度は無礼だし横柄、しかも確実に声がでかい。
だらしない。粗野。下品。躾けを受けていないのが丸わかり。
こういう事を気にしだしたらキリがないし、完璧な人なんかいないのは、五十年も生きていればいくら俺がバカでもそれくらいは知っている。
でもここは病院、病院というのはどういう場所ですか、と両耳引っ張りながら問い詰めたいのがたくさんいる。
大抵はいい年をした六十代七十前後のジジイたちだ。
男ってのは、基本的に年を取ってもガキのまんまなんだな、というのがよく解る。だからガキのうちにちゃんと躾けられてないと、それなりの年になっても人格が立派になってるかというと、そうじゃない人も多いんだよ。三つ子の魂ってやつだ。
本当ね、もうトホホ、と思いますよ。
色々書きたいけど個人情報もあるし左目は乾きやすいし左の指は麻痺もあるし、何しろ口は常に痛いし。
気力も萎える。

全精力は、今、癌と闘うことに向けないといけない。他の事をなるべく考えたくないし、関わりたくない。

7時の開店と同時にローソンに入り、空いてるうちに午後ティーストレート5本、カロリーメイト4つ、コーヒーゼリーと杏仁豆腐を買って来た。
いま食事は三食、主食は全粥で、おかずなどの副菜は全てペーストになっている。「なんとかのなんとか添え」「なんとか焼き」とかいう料理も全て、どろりとしたゲル状。
今はつるりと噛まずに飲み込めるもの、舌に抵抗のないものしか食えない。
にしたって、ちょっと変化をつけないと頭がおかしくなります。ええ。

ローソンのレジ横には「げんこつメンチ」とか魅力的な揚げ物の写真があるが、たまらなく食いたいいっぽう、今食ったら口の中血まみれのずたずたになり、味を感じるどころか地獄の七転八倒だろうなあ、と考えつつ会計をして戻った。

8時、朝食は当たり前だが完食。
今俺が自分で出来る最大の「闘病」は、「口からものを食うこと」と、「なるべく体を動かすこと」だ。
口からものを食わなければ栄養は点滴で入れることになるし、そうなると行動が不便になるだけでなく、てきめんに運動量も落ちる。そうなると弱る。体重も落ちる。運動量がますます落ちる。また弱る…の悪循環だ。そうやって亡くなった人を何人も見ている。

12時、昼食も当然完食。
食う、というかもうひたすらスプーンで口の中に放り込む感じ。幸い嚥下はまだ軽いひっかかりがある程度なので、飲み下しに障害はない。風邪っぴきの時になんか喉がいがいがする、ゴクリとやるとちょい痛い、というような状態。
食事の前後は当然ながら一連の歯磨きにまつわるあれこれがある。ほんま大変。
で落ち着いたと思ったら、しばらくすると口の中が浸潤液で気持ち悪くなってくるし、舌もちょっとぴりぴりしてくるので、それを吐き出し、ボルタレン液ですすぎ、キシロカイン液を含む。
4、5分含みながら音楽を聴く。
一曲だいたいそれくらいの曲が終わったら吐き出して、水道水にアズノールを垂らしてよくうがいをする。喉の浸潤液も痰切りで吐き出す。これをだいたい40分か1時間おきくらいに繰り返す。

困るのは口の中に痛み止めや麻酔を含んでいる時に、ナースが来たりすることだ。
簡単な用事なら「んん、んんん、んん、んんん」とか手振り交えてもがもがすると何となく通じていいのだが、複雑な用件だと一回吐き出して、会話を終え、また含み直しになる。
そんなこんなであっという間に夕方になるわけだ。
それでも土日は放射線がお休みなので、ひたすらこれの繰り返しなだけ、まだ楽ではある。

放射線を頭頸部に受け続けてもう50グレイに到達したそうだ。あと10グレイちょっと。粘膜の炎症などの他、皮膚も赤くなってきて、顎あたりはかさかさして痒くなってきた。なので寝る前はアズノールの軟膏の方を薄く塗ってマスクをしているわけ。
それと放射線障害というか副作用というか、困るのは「易倦怠感」。
簡単に言うと大変疲れやすくなるという事だ。なんというか、要するにぐったりしてる感じ。それと、日中考え事をしてじっとしていると、突然抗い難い眠気がガッと襲ってくることがある。
気がつくと首がガクンと前に垂れ、一瞬寝ていたりする。横に倒れたりすると頭の鉢が割れる危険もあるので、そうなる前に慌ててベッドの背を倒して、横になって休むこともしばしば。
この眠気はまあいきなりブッ倒れたりまでは行かないものの、その後の寝起きというか、せいぜい20~30分の後が実に不快。
「朦朧」という以外に形容し難い、何とも言えない不快な感覚で、「何かこのまま彼岸へ行くんちゃうか」という気持ちになる。魂が遊離しかかるような、嫌~な感じ。
トイレによろよろとつかまり歩きで行って、顔を洗ってうがいを繰り返し、何とか立て直す。

そういう事を繰り返している毎日。
思いの外しんどい。
だが放射線治療ももう最終コーナーにさしかかった。差しきるぞ、癌の野郎を。
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シラトリチカオ

Author:シラトリチカオ
白取千夏雄/編集者。1965年函館市宝来町生まれ。元青林堂「ガロ」副編集長、97年よりフリー編集者・ライター・Web構築・管理他なんでも屋と、専門学校・大学講師など。
2005年夏、白血病告知・余命宣告を受けるが「慢性リンパ性白血病」に近いタイプと判明、無治療・対処療法、2014年より抗癌剤治療、巨脾へ放射線など治療開始。2015年夏左上眼瞼にメルケル細胞癌発症、眼瞼切除、再建手術、16年にかけて放射線も耳下腺に転移、郭清術、放射線治療中に再発、左眼球ごと摘出・皮膚移植。転移再発治療中ながらまだ生涯一編集者として生息中。
二十余年の東京在住ののち、07年から京都在住。09年5月、愛妻=漫画家・やまだ紫を脳出血で失った。
やまだ紫クロニクル

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