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2016-10-18(Tue)

ヴォトリエント開始、血球減少

2016年10月18日(火)
先週の木曜…13日の夜から、いよいよ分子標的薬「ヴォトリエント」の服用が始まった。
通常4錠のところ、俺の場合ベース(基礎疾患=白血病)があるため、副作用による血球減少を懸念して1錠からのスタートとなった。
服用は一日一度、血中濃度の閾値を一定にするために、服用時間は一定に、服用2時間前からは食事禁止、服用後1時間も禁止となかなかに厳格。
看護師さんに聞くと、「寝る前に飲まれる患者さんも多いですよ」という。
確かに眠剤飲むのいつも23時頃だし、21時なら空腹で何かを食うという時間でもないだろうし、寝てる間に効いてくれると思えばいいかという事で、服用は23時にした。

14日の朝、17日の朝と採血があったが、17日…つまり服用4回後の朝の採血で、白血球が急激に減少している事が解った。
それも920とここ一年では最低、さらに好中球数が470と「感染要注意レベル」に突入している。
幸い赤血球系や血小板に異常はなく、もう一つの懸念であった肝機能の方も正常、さらに血圧上昇もまだ起きていない。
とにかくベースのせいで、免疫が抑制レベルに低下するのが懸念される。
このまま白血球数が落ちて行くと薬を止めざるを得ない、というE先生のご説明で、このヴォトリエントがダメなら、もう一つの抗がん剤はもっと副作用が強く出るので、使えないという。
…ということは、もう「治験」参加しかない。

もっとも治験は昔のように治療法がもう無くて最後の手段として、人体実験に参加…的なイメージではなく、今では最先端の治療薬をいち早く使えるチャンスという考え方もあるのだが。いずれにしてもそこまで行く前に、癌を何とか抑えたい。
左の首、転移の際は耳下腺ごと腫瘍を摘出し、頸部リンパ郭清、放射線もしっかりあてたところに、ごろっとしたしこりがある。
ヴォトリエント服用までの二週間ほどで、人差し指の先から、親指大くらいまで急速に成長した。
これも生検したら間違いなく癌が出るな。
となると「半月ぶり6回目の癌宣告」になるのか。俺もベテランだなあ。
首を右方向へ傾けると引っぱられるように痛い。

もともと頸部郭清からだって半年だ、首の動きはぎこちなく、引き攣れるようになっていて、急に動かす事が出来ない。
またリンパ節は脂肪などと一緒に郭清…まあほじってはがして掻き出して掃除していただいたわけで、その左側に力が入りにくい。
日中、座ったまま唐突な眠気に襲われてウトウトすると、不自然なくらい頭が左前方向に二つ折れ状態に傾いている。慌てて顔を上げると、引っ張られて痛い…という状況。

この、左顔面は、右大腿部の皮膚と血管を眼球摘出&直径6~8cmくらいの円形に切除されたところへ移植=縫い付けられているが、当たり前だが皮膚の色が違う。血管もまだうまいこと張り巡らされてないので、触るとちょっと周囲の顔面より温度が低い。
まあでもこちらは、縫い付けた後の血や浸出液を出すために差しておいたドレーンの穴もようやくここ数日で塞がり、あとは小鼻付近の穴だけになった。
毎朝、ここを生食のノズルを突っ込んで洗い流して貰うのだが、もう綺麗な水しか出ず、一部が時折鼻腔近くを通って喉に下がってくる。これは溺れるような感覚になるので、慌ててガーゼを貰って吐き出す。しかしその量も日に日に減って来た。
同時に処置して貰う、MRSAも落ち着いて血膿ももう出なくなった右の術創部分だが、血膿を抜いた時の穴がまだぽっかりまだ開いている。
直径4~5mmくらいの穴で、前はその穴から皮下に10cm×5cmくらいの大きな血腫があり、それで腫れて痛かったのが、今ではもう膿はない。
ただ穴が依然空いたままで、感染防止のためにそこは生食で洗って消毒し、ガーゼで塞いで貰う。この消毒が激痛。しかし膿が出ていた頃に比べれば何てことはない。普通の人なら「ぎゃあ」と言うような痛みだが、脳内麻薬が出て変な笑いが出るほどの激痛だった頃に比べれば、本当に屁みたいなもんだ。

なので、形成外科的な治療、つまり腫瘍の摘出と眼球と腫瘍周辺の皮膚の切除、そこを大腿部の皮膚と血管を移植して塞ぐ…という処置の経過は良いということ。

しかしその間にも転移は首に2箇所出来て、1箇所は手術の際にとって頂き、もう一箇所は局所麻酔の手術でとっていただいた。いずれからも、癌が出た。
このいたちごっこはとりあえず落ち着いたように見えたので、脳に転移がないか調べて化学療法へ入る…という事で、その間に今ある首のリンパ腫脹…おそらく転移癌…が膨らんできた。
とにかく転移が早すぎる。
しかし、幸い、脳へは行ってないしPETで首から下にも無い事は判っている。なら今のうちに分子標的薬で…、という事だったのだが。

今一番の問題は、このヴォトリエントによる副作用…血球減少がどの程度まで進むか。この薬が使えないと、「手の施しようがありません」状態になるのか。いや、まあ検査して出たものを切る、の繰り返し地獄に戻るのか。とにかくもうちょっと頑張れ俺の体。ていうか造血幹細胞。

この間、いくつかの出来事があった。

16日、こないだの日曜には関東から仕事の出張で次女のゆうちゃんが上洛、仕事は前乗りなので、午後に京都に着いてまっすぐ病院に来てくれた。
前に会ったのは2年前か、インフルエンザで酷い目に遭って入院し、そのまま巨大にふくれ上がり機能亢進で血球を壊していた脾臓に、放射線をあてた直後。
かなり痩せて、晩年の「ママそっくり」と言われた時だ。
あの時はゆうちゃんの娘二人…つまり義理の孫二人も一緒だった。本当、今見てもあの当時の写真は俺の顔は亡くなる少し前の連れ合いによく似ている。
今回は「あの時に比べたらそんなに痩せてないね」と言ってくれるが、まあその分左顔面が凄まじい事になっちゃってるけど。目は無いしなんか餃子の皮みたいなフタされてるし、その下の頬から首にかけてはリンパ浮腫でイボ蛙のようになっている。
それでも夕方ホテルにチェックインするというまで、病気のことから昔の思い出、団地で猫3匹にやまだ母子3人で暮らしていたところへ俺が加わった頃のこと、親戚の近況まであれこれいろいろ話して、終始だいたい笑顔であった。
これは免疫上大変良い事だ。精神的にも。

先週は、俺がこんな状態なのを見かねて、かつてアメリカで「Secret Comics Japan」というアンソロジーを編著書として出させて貰った時の、発行元Viz Communications Inc.の当時の担当編集者、Izumi Eversさんが連絡をくれた。
Izumiちゃん…といってももう結婚されてお子さんも授かった方なのだが、俺の中では15年以上前に一緒に東京を飛び回ってサブカルの取材をした、あの当時の若くて元気の良いお嬢さんのイメージのままだ。
「何か援助になるような事ができれば」と言っていただき、俺の懸念は「俺がもしもの時、ゆうちゃんにやまだ紫の作品継承、保護、さまざまな負担がかかるのを何とかしたい」と話す。
自分が生きて、つまり何とかこの癌を乗り越えてこれまで通りサポートして行ければ良いが、万が一という事がある。原画原稿はけっこうな量だし、いつ住宅事情や経済事情が変わるか知れない。出版界の慣習慣例、再版や転載時の対応など、いろいろなかなか業界外では解らない部分も多い。
そういう事をなるべく、楽にしてあげられるような事は出来ないか、と話合ってくださっている。
アメリカではクラウドファンディングやチャリティはもう文化として根付いており、医療系のものもあるそうだ。本当、皆さんには感謝しかない。

同じ意味で、台湾人の日本マンガ研究・編集者でもある呉君は、ある人に相談してくれた。その人はやまだ紫さんの原画展をやったらどうだろう、と提案され、相談相手として紹介された京都在住の女性編集者と一緒に病室を訪ねてくれた。
何とその方は、やまだ紫の絶筆となった「別冊太陽」親鸞特集にエッセイを依頼してくれた担当さんだった。
不思議なご縁もありますね、奥さんがきっと見ていて助けて下さってるんですよ…という、連れ合いの死後これまで何度も何度もあった「偶然」がまた、デジャヴのように繰り返された。

本当にね、いろいろ助けて貰ってると思う。

連れ合いもそうだが、彼女が遺した素晴らしい作品とその思い出、感動を心に抱く人も多い。そういう人が何とか、やまだの作品を守るお手伝いをしたいと言って下さる。
もちろん、俺自身に生きて仕事をして欲しいと言って下さる人もいる。
正直しんどいが、でもやるんだよ! 今こそ。

「生きてればこそ」と前回書いたが、本当にこうした事も、病を得たとはいえ結果生かされて「今」があるからこそ、だろう。
病が無ければ一番いいのは当たり前だが、それを嘆いても仕方がない。
まだ出したい本がありやりたい仕事があるうちは、前を向かねば、立ち上がって歩かねばならない。
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目黒不動尊で

縁あってパワースポットでもある目黒不動尊付近をほぼ毎日歩いています。今日漫画家の永久保貴一氏のトークショー&護麻焚きというイベントがあり参加しました。護麻木にいつもブログを拝見している白取さんの回復を書かせていただきました。12月には京都泉涌寺でも行うそうですよ。
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シラトリチカオ

Author:シラトリチカオ
白取千夏雄/編集者。1965年函館市宝来町生まれ。元青林堂「ガロ」副編集長、97年よりフリー編集者・ライター・Web構築・管理他なんでも屋と、専門学校・大学講師など。
2005年夏、白血病告知・余命宣告を受けるが「慢性リンパ性白血病」に近いタイプと判明、無治療・対処療法、2014年より抗癌剤治療、巨脾へ放射線など治療開始。2015年夏左上眼瞼にメルケル細胞癌発症、眼瞼切除、再建手術、16年にかけて放射線も耳下腺に転移、郭清術、放射線治療中に再発、左眼球ごと摘出・皮膚移植。転移再発治療中ながらまだ生涯一編集者として生息中。
二十余年の東京在住ののち、07年から京都在住。09年5月、愛妻=漫画家・やまだ紫を脳出血で失った。
やまだ紫クロニクル

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