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2016-10-30(Sun)

いろいろあるけどまだ、大丈夫

2016年10月30日(日)
各種検査のあと、抗がん剤の一種である分子標的薬「ヴォトリエント」の服用が13日から始まって、半月ほど経過した。結論から言うと今のところは順調。

事前に説明されていた副作用のうち、俺の場合ベース(白血病)が低いためにもっとも懸念されている「骨髄抑制」による血球減少だが、採血の推移を見ると、いったん好中球数が500を切った後は何とか持ち直した。
といっても普通の人ならスタートラインとしては「これでは投与は無理」と言われるレベルで、実際皮膚科のE先生が調べて下さった別の治験では、条件がノイトロ(好中球)1500以上という条件があり「俺では無理」。
好中球が1500という事は白血球が3000とかのレベルで、そんな数値たぶんここ十年以上無いと思う。いや、無い。
それだけ過酷な条件下でのケモ(化学療法)ゆえに、先生方も慎重に対応していただいている。
その他の副作用、吐き気は無いが食欲がかなり減衰した。あと服用後から下痢を起こすようになった。
とはいえ、食欲が無ければ無理やり食えばいい。

左の上眼瞼に再発した腫瘍を眼球ごと摘出し、そこを右大腿の皮膚を移植して塞いで貰ったが、顎関節部分は直接手術には関係していない。しかしそこに近い部分の動脈静脈を移植しているし、実際動かすと痛かった。なのでペーストを継続していた。
で、そろそろご飯ぽいものに戻すか、と軟飯に上げてもらい、納豆も食えるようになったし、口内炎もとうに治ったのでキムチすら食えたのだが、今度は顎関節を使ってなかった=ペーストで3ヶ月ほど過ごしていたためか、ものを噛んでいるうちに疲れてくる。
腕立て伏せでくったくたになり、もうダメという時の二の腕みたいに顎が痛くなり、休み休みじゃないと「軟飯」すら咀嚼できない。
とか言ってるうちにヴォトリエント服用になり、副作用で食欲が減衰してきた。
とか言ってるうちに頑張って63kgまで戻した体重が、あっという間に58kgまで落ちた。
これはやばい。

…というわけで、せっかく軟飯に上げた主食をおかゆさんに戻して貰い、ペースト食をぶっかけて掻き回し、醤油で適当に味をつけてひたすらスプーンで口に放り込む。
前にペースト食にしたのは、放射線治療前に歯を抜かれて咀嚼困難だったのと、放射線障害による口内炎が広範囲に出てしんどかったからだ。
しかし今回はもうとにかく「生きるための燃料」という考えしかない。口内炎状態の時は醤油どころか水道水すら痛かったんだから、醤油ぶっかけられるだけ有り難いわ。
いつもいろいろ調べたり助けてくださる看護師のSさんが、そういう話をしたらまた申し訳ない事にいろいろ調べてくれた。今の食事に何か食べやすくカロリーのあるものをプラスできないかメモしてくれ、栄養士さんにも来ていただくよう手配してくれた。ありがてえなあ。皆さん本当によくして貰ってます。
結果毎食おかゆさんを少し減らして、ヨーグルトの小さいのを一つ付けて貰った。まあ整腸の意味もあるし、変化があるのは良い。

さて前回ご報告の通り、採血の結果なんとかノイトロ500以上はぎりぎりキープしている(頑張ってくれている、俺の造血幹細胞!)ので、19日からヴォトリエントは2錠に増量となった。
この薬は服用前2時間と、服用後1時間は「禁食」という服用ルールがある。
服用前に、副作用がどう出るか判らないので寝る前に飲む人も多いという事を聞き、服用時間を23時に決めた。以後、ずっとそれを守って服用している。
ただこれだと、9時以降ものが食えない。
いや食わなきゃええやろとツッコまれる方も多い事でございましょうが、いやこれがどうしてそうでもございません。
これまで、3度の飯を頑張って完食しても痩せるので、頑張って合間にカステラの小さいのやフィナンシェやジャムパンやら、とにかく少しでもカロリーを摂ろうといろいろやってきた。

食う事も闘病の重要な任務である。
18時夕飯後23時ヴォトリエント服用という事にしたので通常なら「食わなきゃ問題ない」が、俺の場合は寝る前に「何か食う」事にしていた。
普通の人が「太るからダメ」という事の逆をやるわけ。肩の骨がさわり、足の指の間も隙間があるほど痩せてきた。洒落にならん。
ところがヴォトリエント前は2時間前までしか食えないので、21時まで。夕飯後3時間で腹が減るわけもなく、24時まで頑張って、寝る前に何かしら口に入れてから歯を磨いて寝る。
こうした、過酷な状況下…まあいろいろ、精神的にも免疫的にも病期的にも全方位的に…にあるなか、何とか折れずに来ているのは、個室にいるおかげでもある。俺には、他に寝ている人がいる中で、夜中に一人だけ勝手をするような「無神経」という名の神経がない。
少なくとも病院の決めたルーティン以外の部分ではかなり自由がきく環境は、この過酷な状況下では非常に助かるし、もしこの部分も「過酷」だったら、正直今、俺は生きていなかったかも知れない。それくらい大きい。
そんな状況。

それにしても体重がなかなか増えない。
栄養士さんは「運動量とか適正体重などから考えてもそれほど心配されなくても大丈夫ですよ」と言うし、形成でずっとお世話になっているE先生も「筋肉が落ちていってますから、その分体重はどうしても減りますから」と言われるが、しかし。
まあ、人間食えなくなったらおしまいだし、食っても太らなくなったらヤバい事はこれまでの闘病生活で色んな病棟で色んな患者さんの実例を見てなんとなーく解っている。

ある病棟で一緒になった、毎食「完食です!」とハキハキ答えていた抗がん剤投与中の70くらいのおっちゃん。ご本人は気づかないのだろうか、傍目で見ているとみるみる痩せて一回り小さくなっていった。「大丈夫大丈夫」と笑っていたものの、そのうち食欲がない、吐き気がすると言い出して、そこからは早かった。
痩せはじめてからはあっという間だ。
痩せてから、食えなくなってからじゃ遅いので、今食えるうちに出来るだけ「貯金」を作っておく。
太れるという事は体が正常、健康だということだ。まあ生活習慣が怠惰でだらだらと自分を甘やかす意味とは違う、こっちはすぐ後ろが三途の川だし。
そういうわけで、23時服用、1時間待って、就寝前の24時過ぎあたりに何か菓子パンとかあるものを食い、歯を磨いて寝る。
これが日課。でも増えない。くそ。

副作用、ヴォトリエント増量後は、下痢がもっと頻回になるとか、血圧上昇や肝機能悪化…などは幸い見られず、とりあえず順調に来ている。もっともこれは通常の使用量が4錠なので、1錠から様子を見て、慎重に2錠に増やして…という段階での話。
さらに27日の採血で、一週間経っても「低値安定」という血球状況は変わらず、じゃあ3錠に増やしましょう、という事になった。(増量して土日に急変したら困るので、実際は来週から)
2錠服用は安定して続けられる事はもうほぼ間違いないので、ダメそうなら戻せばいい。
何でここまで慎重かというと、常用薬として抗真菌薬のフルコナゾールをずっと感染対策に飲んでいて、それがヴォトリエントの効果を高める働きがあるという。で、俺の免疫状態からこの抗真菌薬は外せない。
そういう事情もあるし、とにかく抗がん剤は効き目も量もタイミングも何から何まで患者によって違うし、3錠行けたらまあ通常使用量と同程度かやや多めくらいの服用量という判断。

ただ、薬は飲み続けていると当然癌の野郎も慣れてくるので効きが悪くなり、やがて効かなくなる。
メジャーな癌にはたくさんの薬があり組み合わせも選択肢もあるが、俺のメルケル細胞癌なんて珍しい癌にはあまり、選択の余地がない。治験も1つは好中球数が足りなくてダメそうだし、もう1つは「他に腫瘍がないこと」が条件だそうで、となると白血病(血液腫瘍)を持っている俺は条件をクリアしていない。
うーん、やっぱり厳しい。

今の薬が効いている間は、癌の野郎はまあ大人しくしているようだ。
実際メルクマールになっている左鎖骨上、頸部にあるリンパ腫脹はこりこりと固いものの、この半月大きさは変わっていない。
この凶悪な進行速度と転移スピードを身を以て知っている俺としては、「大きくならない」ことで効果が出ていると考えたい。
いや、効いていると思わなきゃ、効くもんも効かない。

いろいろ正直全方位的に俺の人生を「終わり」へ持って行こうという流れがあり、ここ一年押し潰され流されていくままな状況が続いてきた。
それでも何とか、助けてくださる方々のおかげで踏ん張って来られた。
今も、たくさんの人に助けていただいている。また、助けようと動いて下さる方もおられる。
なのに当の本人が諦めては何にもならない。

今は毎朝、朝食後は数種類の薬を飲み、体拭きをして部屋着を着替え、処置室に呼ばれるのを待ち、処置室では右足と左顔面の洗浄、消毒、イソジンシュガーパスタ軟膏とガーゼ交換をして貰い、部屋に戻る。
あとは左の顔から首の、放射線と頸部リンパ郭清によると思われるリンパ浮腫部分。イボ蛙みたいになっているところが、触るとひどく痛い。
これをこすらないようにガーゼで洗い、綺麗にした手でリンパ浮腫部分の左頬から鎖骨あたりまでに軟膏を塗る。そしてそこはべたべたするので、ガーゼを拡げてほお骨から耳の後ろ、首の後ろ、下は口の脇から顎、鎖骨のあたりまでを覆ってテープで貼っていく。

これは毎度毎度処置の後自分でやっている。
もちろん処置の時にお願いすればやって貰えるのだが、自分でやれる事は自分でやらなアカン。…と、思う。できない事は頼んでやって頂き、やって貰ったらお礼を言う。これ当たり前のこと…と、思う。
この「できる・できない」の見定めはけっこう難しい。
自分で言うのも何だが、けっこう頑張っちゃう方なので、歯を食いしばれば「やれる」と思うと、やってしまう。それを「できるからやる」と言うのかどうか、まあとにかく何でもかんでも看護師さんを呼んであれしてこれして、とやっていたら本当に何も出来なくなる。
向こうも忙しいし。
俺も生きるのに忙しい。

だまっていてもどっかしら常に不具合がある。
最近は手指の先や足の甲に、知らないうちに微小な傷が出来ていて、いくつかに雑菌が入って軽く痛むことが増えた。皮膚科の先生に聞くと「いちおうお薬の副作用もあって治りは遅いでしょうし、元々感染にも弱いので注意してください、もし痛みが強くなったり腫れが酷くなるようでしたらステロイド軟膏を出します」と言ってくれた。
ステロイド…「それってアンテベートですか」と聞いたら「よくご存知ですね、出されたことあります?」というので「あります」と見せると、これで良いとのこと。
小さな傷なら洗って保護の油分…アズノール軟膏か何か塗る。痛むなら一応消毒してゲンタシン。膿んできたらアンテベート。こういう理解だったが「それでいいですよ」「完璧です」と言われた。
入院、長いからなあ。

今は傷をむやみに消毒したり、絆創膏貼って長いこと放置したりはしない。傷は「洗う」ことが一番肝腎で、消毒はしても保護のためのガーゼなり絆創膏なりはこまめに換える。俺のガキの頃なんか赤チンだったもんなあ。絆創膏は何日も貼りっぱなしで、変なニオイし出したり。あれって雑菌の温床だったわけで。

いろいろと本当に医療の現場も進化したし、「常識」も変わっている。
連れ合いが体が弱くよく入院したりしていたが、あの頃…ってもう四半世紀以上前なんだな、と思い出す。病院の敷地内でまだタバコが吸えたり、看護師…いや当時は「看護婦」さんで患者に威張る人も多かった。生殺与奪権を握ってると言わんばかりの態度の人もいたっけなあ。
俺は本当に助けられているなあ、としみじみ連れ合いの写真を見ながら考える。
助けようとしている人たちに報いるという意味でも、頑張ろうと思う。
頑張らなきゃ死んじゃうからね。
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シラトリチカオ

Author:シラトリチカオ
白取千夏雄/編集者。1965年函館市宝来町生まれ。元青林堂「ガロ」副編集長、97年よりフリー編集者・ライター・Web構築・管理他なんでも屋と、専門学校・大学講師など。
2005年夏、白血病告知・余命宣告を受けるが「慢性リンパ性白血病」に近いタイプと判明、無治療・対処療法、2014年より抗癌剤治療、巨脾へ放射線など治療開始。2015年夏左上眼瞼にメルケル細胞癌発症、眼瞼切除、再建手術、16年にかけて放射線も耳下腺に転移、郭清術、放射線治療中に再発、左眼球ごと摘出・皮膚移植。転移再発治療中ながらまだ生涯一編集者として生息中。
二十余年の東京在住ののち、07年から京都在住。09年5月、愛妻=漫画家・やまだ紫を脳出血で失った。
やまだ紫クロニクル

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