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2006-08-22(Tue)

ご心配は有難いけど。

8月22日(火)

昨日の夜、突然旧知の漫画家の方から電話があった。彼は年齢も俺と変わらず、彼がデビュー当時から担当をして単行本も何冊か作らせていただいたりと、もう二十年ほどのお付き合いである。だが97年の「ガロ編集部総辞職(クーデター)事件」(白取特急★編集長日記/ガロ編集部総辞職事件顛末日誌参照)以降、何となくそういった漫画家さんや業界の人たちのほとんどは、俺と接触すれば「白取派」であるという烙印を押されかねず、そういった色付けを嫌うことからか、疎遠になっていた。
そもそも、誰がバラ撒いたか知らぬが(本当は知っているが)、俺がある日突然「ヤクザの手先」になったり「金の亡者」になったり、ヤクザと手を組んで「青林堂やガロを売ろうと考え」たり、作家さんから預かっている大切な原稿を「売り飛ばそうと」したりとか、するわけ、ねえだろうっつーの。
ある日を境に、<ガロ編集部にいてそれまで普通に付き合っていた白取千夏雄という人間が、そのような卑怯で愚劣で恥知らずな人間に豹変する>ということを、いくら俺がいなくなった方が都合のいい人間たちがバラ撒いたとして、それをそっくりそのまま鵜呑みにする人がいることが、信じられなかった。なので、当初は俺がそれまでと変わらないこと、今後もそんなに変わるわけもないこと、そもそもガロのクーデター事件は水面下で綿密に計画されていたことであり、自分は親会社に転属しており、クーデター組の動きとは離れたところにいて知らなかったこと…などを、一生懸命関係各位に説明し理解してもらおうと努力をした。
だが、途中で…一年近く経ってそれも諦めた。
なぜかというと、一つはいずれ事件の真相は多くの人に理解されるだろう、という期待があったこと。
事件発生からのクーデター組の動きや、自分たちの犯した数々の犯罪行為(証拠多数あり)を隠蔽するための工作などは、逐一当時の掲示板に書き込み、いわば事件をリアルタイムで「中継」していたので、97年当時のネット人口は信じられないほど少なかったが、インターネットは必ずや爆発的に普及するという確信があったためだ。
もう一つは、俺という人間をガロを通じてでもいい、長く知っていてくれたはずなのに、いくら巧妙にとはいえ、「白取はとんでもない奴だ」という誹謗中傷をそっくりそのまま疑いもせず鵜呑みにして俺との接触を断つような人間は、結局その程度の人間であるわけで、ならば別段無理にこちらから頼んで関係修復をせずとも良い、という諦めがついたこともあった。
現実に、ガロ時代にはそれはもう公私共に密に付き合いをさせていただいた人の中で、事件を境に手のひらを返すように知らん顔を決め続けている人も多いのだが、変わらない態度で今も接して下さっている人もいる。ならば変わらない人と、俺も変わらずにお付き合いをさせていただければそれでいい。何より、人がどうこう言う人物評より、自分が現実に接して感じたことを信じ、継続してくれる人がいればそれでいいと考えたのだ。

昨晩電話をかけてくれた人は手のひらを返すような人ではなかったのだが、彼はパソコンを持たず、ネットもたまにネットカフェなどで情報収集(自分の創作に必要な範囲で)するだけだと言っていたから、俺の容態…というか近況は知ることがなかったそうだ。騒動の後も何度か、この前には何年か前に突然電話をいただいたりしたが、まあそんな感じのつながりであった。
彼が言うには「白取さんが大変な病気で、もういつ死ぬかっていう状態だって聞いたから」ということだ。
俺「誰に聞いたんすか(笑)?」
彼「いや、もうみんな言ってますよ。TさんとかYさん(いずれも漫画家)とかも、他の人もみんな。」
俺「あー、住所の解る人にはこないだ近況報告に暑中見舞い出したからかなあ。」
彼「Tさんはね、梨送るって言ってたから。近日中に届くと思うよきっと。」
俺「ああ、それは有難いけど気を使ってもらって申し訳ないっすねえ…(笑)」
彼「でも元気そうで安心しましたよ、本当にどういう状況か解らなかったんで…」
というような感じで、まあこちらの現況…つまり、癌宣告を受け一度は余命も告知され、抗癌治療のために入院をするところまで行ったが、曲折の結果病気の「型」が急性のものではないことが解り、今は退院して経過を慎重に見つつ治療の機会が来るまで待機中である…ということを説明した。
彼の話の中で「Sさんて覚えてるでしょ、元ガロの。彼とも時々電話で話すんですけど」という言葉が出た。Sというのはクーデター組の一人で、今は事件後に自分らで興した版元にいる編集者のことだ。俺は冗談半分で「もちろん覚えてますよ(笑)。今度会ったらブッ殺す、つっといてくださいよ」と話したが、彼は「とにかく、人の言うことってアテになりませんからね〜」と話を微妙に避けた。
つまりこういうことだろう。あの97年夏の、「「ガロ編集部総辞職(クーデター)事件」というのは、今となっては事件を起こした側の説明も、それを否定し非難する側の説明も、「どっちもどっち」であるということを言いたいようだ。
冗談ではない。
「どっちもどっち」というのは、双方に非がある場合に使う日本的な曖昧で中途半端な総括方法だ。
今この瞬間でも、俺は山のような資料と克明な記録(それはそれは、やましい人間にとっては戦慄するほどの詳細な記録と資料だ)によって、「あの事件」の全てを「正確に」説明できる。もっともそこまで全てを白日の元に晒せば、当然いくら犯罪がらみとはいえ、時効も成立してしまった今は、こちらを名誉毀損で訴えるくらいのことをしてくるだろう。それでもこちらには何の嘘もない以上、徹底的に白黒つけてやるという意味では望むところでもある、だが残念なことに自分はこんな病気になってしまった。
あの事件に白黒はっきりつける以前に、自分が日々、生き延びていくことが最重要な問題になってしまった。
これも何かの因果なのかも知れない、そう思えば以前のように頭に血が上ることも少なくなったというものだ。



俺が病気になったことを知り、ざまぁみろ、死ねばいい、とっとと死んでくれ、さあいつ死ぬんだ、まだか、早くくたばれ…と、そう思っている人間がいる。いや、きっとこうだ、俺が病気になったことを自分たちに逆らったことによる「天罰」だとあろうことか不遜な喩えをし、俺の病気と死を酒の肴に下品な冗談で笑い飛ばしているのだろう。
こういうことも、今となっては「死んでたまるか」というモチベーションになっているのだ。
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コメント

コメントやメールがたくさん

ありがとうございました。
今日の別記事の中でお返事しますね。

Unknown

>いまの若い人はそもそもガロなんて知らないし、ましてや何でなくなったかにも興味なんかないとおもう
その通り。

>いつまでもグジグジ言わない方がいいとおもうよ
そんなこというと犯罪者の自己弁護や自己保身のための嘘が「事実」として「歴史」になってしまうよ。この件に限らずいつまでもグジグジと拘泥する人間が必要なんだ、たとえ一人でもさ。

ていうか

> いつまでもグジグジ言わない方がいいとおもうよ
上の奴、もっともだと思う反面、ちゃんと本家サイトの事件当時のログや日記を読んだんかい、と言いたい。どう考えたって「いつまでも言うな」とは言えないと思うが。

Unknown

いまの若い人はそもそもガロなんて知らないし、ましてや何でなくなったかにも興味なんかないとおもうが。いつまでもグジグジ言わない方がいいとおもうよ。

私は

いい漫画が読めれば「ガロ」じゃなくても「アックス」でも何でもいいです。
ただし、同義的にどうかと思われる人たちが作ってる本と考えると、確かになんだかなあという気持ちにはなりますけど。
実際というか現実に「ガロ」亡き後は「アックス」がその世界を継承しているわけですし、あそこ以外には確かにできませんからね。。。。
まあ「アックス」は単に「ガロ」でやってたことをダラダラと続けてるだけという周囲の声もあるんですけど、「ガロ」の模倣を永遠に続けていくこともある意味「ガロ」の継承で、そんなことが出来るのもあそこぐらいしかないかと。
編集という意味ではあんまり頭のいい人はいねえなあとは思いますがね、「アックス」。

なんだかつらいです

山中さんが社長の頃、ガロはよく読んでいました。
山田花子さん・ねこぢるさんの死とか残念な事があって、その後、白取特急で事の顛末を知って愕然としましたね。
ガロで大手(失礼でごめんなさい)にはない内容、サブカルチャーとは?とかこんな漫画が!とかを知ったひよこだったので、長井さんの遺志を継いだのガロがなくなったのは寂しい限りです。今でこそ、古屋氏などがikkiとかで読めますが、あの名作パレポリを読めたのはガロだけ!w なんですから。

こんなコメントしか出来ずスイマセン。
残暑厳しいですが、白取様も山田先生もお体ご自愛くださいませ。

なんといっていいか・・・

思い出せば当時、もう9年前になるんですね。僕は仕事がらネット環境にありましたが、一般の人たちはインターネットと言われてもほとんどピンとこない、知ってるけどまだ始めてない、という状況でしたね。
あの混乱の中ネットで冷静かつ常識的な事件への対応をされた白取さんはじめ関係者の方々には、改めて敬服いたします。

出版界って、もうちょっとちゃんとした大人の世界だと勝手に勘違いしていた自分も、恥ずかしいと思います。
無法がまかり通る、デタラメで、道義のかけらもない非道が赦される業界だったんですね。芸能界の犯罪に甘い体質は常々白取さんも指摘されている通りですが、全く何もお咎めなしですよね。。。法的にもそうだけど、社会的にも「誰も知らないからなかったことと同じ」という甘えが受け取れます。

もし、僕が今勤務している会社で同じことが起きたら、、、と考えます。
一応ソフトウェアやネット関連の業種なので、恐らく集団で会社の資産を持ち出し、同種の会社を立ち上げるというようなことになれば、確実に告訴するでしょう。自分たちを正当化するために人を貶めるようなデマもさんざん飛ばしていて悪質ですから、刑事でも民事でも速攻で告訴すると思います。
中には現役の「役員」もいたんですよね。確実に有罪ですね。まあコトがコトなんで執行猶予はついたと思われますけど、送検~起訴はまず免れず、判決自体は背任以外にも威力業務妨害や詐欺、名誉毀損その他複合した犯罪なので、かなり重くなったと思いますよ。
何でそうしなかったのか・・・今でも「白取派」としては疑問で仕方がないですが、当時の日記やログを拝見するにつけ「裁判で争えた状況じゃなかったよなあ」とも思います。

それにしても。。。せめて白取さんのご病気が快方に向かわれること、神仏というものが存在するならば、祈らずに折られません。

「ガロ」の嫌な死に方

ある日突然Z社と同じビルの中にあった「ガロ」編集部があらゆるもの、作家たちの原稿も持ち出された、残っていたのはイス、デスクや散乱したゴミが狂ったように床に散らばっていました。現場を見た人間でないと判らないすさんだ仕業でした。
私の原稿も持ち出されました。「ガロ」に預けた原稿を彼らは盗んだわけです。
後日原稿は盗んだ人たちから郵便で届きました、私は彼らのやり方のあまりの汚さに不快感を持っていたし納得できないので受け取りを拒否しようかと思いました、がかれらのやり口では原稿がどうなってしまうのかというほうが心配だったので仕方なく受け取りました。
私は「性善説」を持っていましたがそのころからそれが甘い考えなのではないかと思うようになりました。もうちょっと手を伸ばせば「還暦」になるようないい年になった今、世の中には信じられない悪人、卑劣漢、馬鹿、醜い性分の人間が本質にある人間もいるのだと思うようになって悔しいです。私が世間知らずだったのかとみとめなくてはならないからです。
「ガロ」はあの日、無残な姿で死んだと感じています。哀れな死に様でした。
私が白取の連れだからそう思うのではありません、真実を見て聞いてきたからこその憤りですそして「いまさら言ったってしょうがない感」が事のおきた当初から大きすぎたので言わなかっただけです、ただ事の顛末の記録は確かに残っていくでしょう。
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シラトリチカオ

Author:シラトリチカオ
白取千夏雄/編集者。1965年函館市宝来町生まれ。元青林堂「ガロ」副編集長、97年よりフリー編集者・ライター・Web構築・管理他なんでも屋と、専門学校・大学講師など。
2005年夏、白血病告知・余命宣告を受けるが「慢性リンパ性白血病」に近いタイプと判明、無治療・対処療法、2014年より抗癌剤治療、巨脾へ放射線など治療開始。2015年夏左上眼瞼にメルケル細胞癌発症、眼瞼切除、再建手術、16年にかけて放射線も耳下腺に転移、郭清術、放射線治療中に再発、左眼球ごと摘出・皮膚移植。転移再発治療中ながらまだ生涯一編集者として生息中。
二十余年の東京在住ののち、07年から京都在住。09年5月、愛妻=漫画家・やまだ紫を脳出血で失った。
やまだ紫クロニクル

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