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2006-09-27(Wed)

新庄剛志、ラストゲーム

北海道日本ハムファイターズがパ・リーグ1位確定。
NHK-BS1の試合中継は9時過ぎに試合が終わるとまもなく終了したが、新庄が公式戦最後の試合とあって、GAORAを見てみた。自分は小さいころから野球をするのも見るのも大好きではあるが、このところはMLBばかり見ていたし、別に熱狂的なハムファンでも、新庄ファンでもない。でも、なんとなくこの男の最後を見ておきたかった。
新庄の野球人生が走馬灯のように、キザなナレーションと共にバックスクリーンの巨大画面に映し出され、センターの守備位置に立った新庄がそれをじっと見つめる。頭の上には63と書かれている長年愛用のグラブを載せて。

この日、新庄は背番号を阪神に入団した当時の63に登録を変えて出場した。試合は3位通過が確定しているソフトバンクと、7回表まで2対1という投手戦が続いた。日本ハムは今日の最終戦、西武が勝ち自軍が負けない限りは1位でプレーオフ進出が確定するという、どちらかというと楽な状況ではあった。なので、試合の経過は特に気にせず、結果だけを知ればまあ野球ファンとしてはいいかな、というものだったのだが。
新庄という「記憶に残る男」の公式戦最後の試合を、なんとなく見ておきたかったので、中継を見た。パ・リーグの試合の生中継を見るなんて、ひょっとしたら産まれて初めてかも知れない。試合は7回裏にファイターズが決定的な2点を追加し、ダルビッシュの鬼気迫るリリーフ登板、そして最後は定石通りマイケルが締めて、1位通過を決めた。新庄の最後の打席は、初球を打って二塁、内野ゴロだった。
試合が終わったあと、札幌ドームの満員のファンは一人も帰らずに待っていた、新庄を。新庄の野球人生が感傷的なバックミュージックとナレーションで映し出される間、ファンはじっとそれを見つめていた。新庄も、時には涙を浮かべて、じっと見ていた。そして、20分くらいか、映像が終わると、ユニフォームを脱ぎ、リストバンドなどと共に、丁寧にグラウンドに置くと、静かに去っていった。
いやはや、カッコいい男だなあ、と思った。
新庄はその舌足らずな話し方と、独特の「新庄語」で、まあ野球バカの典型と認識されていたと思う。阪神時代は野村のID野球という名のつまらぬ旧態依然としたスタイルと相容れられるはずもなく、新天地であるメジャーへ移籍した。新庄はむしろメジャーの中に居るほうが、のびのびと野球を楽しんでいるように見えた。年俸は大幅に下がったし、マイナーに落とされたり故障もしたが、それでも楽しくて仕方がない、野球少年のような笑顔で、「このアメリカで学んだことを日本に持ち帰りたい」と話していた。
日本に帰った新庄を待っていたのは、日本プロ野球の危機だった。ファンは減り、一部の傲慢なフロントと現場の軋轢がしょっちゅう報道されていたし、野球はもはや国民的スポーツとは言えなくなっていた。新庄は「メジャーから何を持ち帰ったのか」、それはファンサービスの姿勢、野球はショーであるということ、そしてプレーヤーもそれを楽しむということだった。ファンサービスのためなら被り物もするし、疲れていてもサインを熱心にしたし、願いは常に「札幌ドームを満員にしたい」だった。その願いが、今年になってようやく叶ったから、新庄はあれから引退を決意したのかも知れない。
新庄の生涯成績はたいしたことはない。だが記録より記憶に残る選手という典型…で片付けるには、新庄に気の毒な気がする。彼は野球バカだ、野球を取ったらすっからかんかも知らん。容姿はいいが、じゃあそれで一生食ってけるかという保障もない。スイスイと世の中をうまく渡っていける頭を持っているかも疑問だ。だからこそ、彼は野球にすべてを捧げてきたのだと思う。日本野球にも、少年があこがれるかっこいい「ヒーロー」が必要なんだ、記録は野球の天才に任せておけばいい、自分は客寄せでもいい、とにかく野球人気高揚の役に立ちたい、そんなピュアな気持ちが伝わってくる。
不況から抜け出せず停滞していた北海道のムードを明るく一新してくれたのは駒大苫小牧と、ファイターズ、新庄だった。いずれも、やっぱり野球だった。

それにしても何がすごいって、72歳になる俺のお袋までもが携帯を買い、変換ミスだらけのメールで「新庄おうえんする」「ファイターズかつ!」と送ってくる、そういう気持ちにさせるところがすごい。
新庄クン、お疲れさん。君の今後の人生に幸あれ。
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シラトリチカオ

Author:シラトリチカオ
白取千夏雄/編集者。1965年函館市宝来町生まれ。元青林堂「ガロ」副編集長、97年よりフリー編集者・ライター・Web構築・管理他なんでも屋と、専門学校・大学講師など。
2005年夏、白血病告知・余命宣告を受けるが「慢性リンパ性白血病」に近いタイプと判明、無治療・対処療法、2014年より抗癌剤治療、巨脾へ放射線など治療開始。2015年夏左上眼瞼にメルケル細胞癌発症、眼瞼切除、再建手術、16年にかけて放射線も耳下腺に転移、郭清術、放射線治療中に再発、左眼球ごと摘出・皮膚移植。転移再発治療中ながらまだ生涯一編集者として生息中。
二十余年の東京在住ののち、07年から京都在住。09年5月、愛妻=漫画家・やまだ紫を脳出血で失った。
やまだ紫クロニクル

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