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2006-10-29(Sun)

新庄剛志ちょっといい話

日本ハムファイターズが日本シリーズで中日ドラゴンズを下し、日本一となった。日ハムは4年前にヒルマンが監督に、そして3年前に新庄剛志が加わり、北海道にフランチャイズを移し、ユニフォームも「メジャー風」に一新。完全にイメージチェンジに成功しただけでなく、その人気に実力も加わったことが今回の日本一で証明された。
こうしたストーリーはいくらでも専門のサイトなりニュースなりでご覧いただけばいい話なので、ここでは昨日聞いたばかりの「新庄剛志ちょっといい話」を。

昨日、連れ合いと池袋に用事があってタクシーに乗った。運転手は初老の脱サラというよりリストラを体験してこの業界に入ったという人で、最初は客だからといって傲慢な態度をする人がいるが、そういう人は経験上、上司ななんかには卑屈なまでにぺこぺこしているのが多い。つまりたいした人間ではないんだ、というような話をしていた。俺らも「ああねえ」「お客さん商売は大変ですよねえ、いい客ばっかりじゃないし」なんて感じで聞いていたら。

「でもね、今回日本一になったけど新庄っているでしょ、野球の。彼はね、私の仲間の運転手が乗せたことあるんですって。でその運転手は新庄だって気付いて『サインしてください』ってシートにサインするように頼んだんですって。そしたら新庄は『運転手さん、オレここにはサインできないよ』って言うんですって。それはこんなところにサインさせるのかよ、という意味かと思ってそりゃそうだよなと思ってたら、すぐ後で『ちょっと、そこで停めて!』っていうから急ブレーキ踏んで『何ですか、急用ですか』って聞いたら、すぐ横のコンビニに行きたいから待っててって言うんですって。で、戻ってきたら『運転手さん、色紙探したけどなかったよ、ごめんね』って言うんですって。『今度サイン送ってあげるから、住所教えてよ』って。凄いね〜、新庄ってのは。人気出るわけですよね〜」


つまり、新庄はもちろん「オレ様にシートなんかにサインさせるな」ではなく、運転手が本当に自分のファンだと思って、だったら消されちゃったりするかも知れないシートじゃなく、ちゃんとした色紙に書いてあげようと思った、ということだと。実際その仲間の運転手は、別に熱烈なハムファンでもなく、新庄ファンでもなかったという。もちろん名前と顔と野球選手であることは知っていたわけで、だったらサイン貰おう・でも書くもんねえや・そうだシートでいいや…という簡単な流れだろう。それでも新庄は真摯に対応した。この話を聞いて「まごころ」という最近聞かなくなったことばがなぜか、頭に浮かんだ。
新庄はもちろん、日ハムというどちらかという地味だったチームのカラーを変え、何よりファンを第一に考えるという「プロ意識」をチームメイトに自ら率先して教え、実践した選手だ。ただそれはスタジアムなどのファンという衆人環視の元だけでなく、もちろんテレビなどのメディアの前などではプロだから当然だとしても(チャラチャラしているという批判も同時にあるのも事実ながら)、プライベートな場面でも徹底したことなのだ、というエピソードである。
演技で、つまりメディアの前で「いい人」を演ずることはたやすいことだろう、増してや演技を生業にしている役者ならお手の物だ。そしてその裏側では極めて傲慢不遜…というような人間も多い。四六時中いい人であることは難しいけれども、その人の「素(す)」が本当にいい人なのかそうでないのかは、ちょっと接すると割合簡単にわかるものだ。実際俺も何度もそういう裏表のある人間に会っている。まあ芸能人に限ったことじゃないけれども。

新庄は阪神時代、当時の藤田平監督に野球は頭でやるもんだ、お前はアホだ、カッコばかりつけやがって、だからダメなんだ…と徹底的にいじめぬかれた…という。あまりにそれがひどいので引退すると訴えて騒動になったほどだったと記憶している。日本には「日本の野球」こそ至上であると信奉する勢力があり(野球ってアメリカ発祥だったはずなのに)、彼らの多くはなぜかだいたいメジャーリーグを敵視する傾向にある。星野仙一も「メジャーなんか」とボロカスに言っていたはずだが、NHKのメジャー中継の解説に呼ばれると、メジャー批判は封印していたが。ともかく、そういう人たちは高校野球などの悲壮感さえ漂う「全力」で「ひたむき」で「根性」のある「ストイック」なスタイルを好み、そうした価値基準をそのままプロへ持ち込もうとする。そこに欠落しているのは、プロスポーツというものはファンがあって成立する、という文字通りの「プロ意識」なのだが。
現楽天の野村監督も、新庄をボロカスに貶めていた人の一人だった。彼の言う「ID野球」が正しいのかどうか、彼が「知将」なのかどうかさえ全く知らないのだが、ともかく、野球というスポーツに「髪の毛の色」や「ピアスの有無」や「パフォーマンスという名のファンサービス」が、少なくともマイナスにはならない…いやはっきり言えばプラスに働くのだということを、今回のファイターズの優勝で思い知ることだろう。

前にも書いたのだけど、やはり新庄の今後に幸あれ…と祈らずにいられない。



<追記>
先週発売の「週刊文春」を見たら、新庄のタクシーの逸話が「札幌の話」として掲載されていた。俺が聞いたタクシーの運転手はもちろん東京で、彼は「仲間の運転手」と言ったので、この話かと思ったが、待てよと。
この話にいたる流れで、運転手は「東京に出てきたら有名人とか芸能人がけっこう乗ってくるって思ったけど、あんまりないですねえ」てな話をしていて、「ああ、自分も上京したての頃は平気でそこらを芸能人が歩いてるものだと思ってましたけど、数えるほどしか目撃してないっすね(笑)」というような会話があった。で、「私は青山とか六本木とかをよく流すんですが、それでもあんまり乗せたことはないんですよね。めぐり合わせなんでしょうかねえ。」という話から、「そういえばちょっと前に、仲間の運転手が…」で新庄の逸話だったので、札幌の話とは思いにくい。広い意味では全国のタクシー運転手は「仲間」だろうが、この時「うちの会社の」という形容がついていたかは失念。
つまり、「新庄を乗せてサインをシートにねだったが断られた運転手」は札幌にいるのは「文春」の記事で確認済、この逸話が運転手の間で評判となり、東京でも広まっていた…という可能性がなくはない。また俺がこの逸話を運転手から聞いたのは文春の記事が世に出る前なので、東京でも新庄はこういう態度をした、つまり彼はいつもこうなんだ、というふうにも考えられる。

どちらにしても、新庄がナイスな男であることに変わりはないが。
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シラトリチカオ

Author:シラトリチカオ
白取千夏雄/編集者。1965年函館市宝来町生まれ。元青林堂「ガロ」副編集長、97年よりフリー編集者・ライター・Web構築・管理他なんでも屋と、専門学校・大学講師など。
2005年夏、白血病告知・余命宣告を受けるが「慢性リンパ性白血病」に近いタイプと判明、無治療・対処療法、2014年より抗癌剤治療、巨脾へ放射線など治療開始。2015年夏左上眼瞼にメルケル細胞癌発症、眼瞼切除、再建手術、16年にかけて放射線も耳下腺に転移、郭清術、放射線治療中に再発、左眼球ごと摘出・皮膚移植。転移再発治療中ながらまだ生涯一編集者として生息中。
二十余年の東京在住ののち、07年から京都在住。09年5月、愛妻=漫画家・やまだ紫を脳出血で失った。
やまだ紫クロニクル

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