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2007-03-29(Thu)

4コマガロ・「長井イズム」のこと

最近、「ガロ」末期の出身である漫画家・福満茂之(福満しげゆき)さんがメジャー誌で活躍されてます。彼が「4ガロ出身」と何かに書かれたのか、あるいはネットでググったらそういう「経歴」(?)が出てくるらしく(…出てきた(笑))、「4ガロ」創設者であった俺のところへも、チラホラ質問が来たりするようになりました。

4ガロ…「4コマガロ」「4コマGARO」「4コマ画廊」、何でもいいんですが(何せ創設者自身が統一していなかったもので)、略称は「4ガロ(=よんがろ)」と呼んでもらえれば、創設者的にはOKです(笑)。
(俺が月刊「ガロ」誌上で読者投稿コーナー「4ガロ」を始め継続した経緯と沿革については「4KOMA GAROU--殿堂」を参照してみてください。)

でメール。
■東京都Sさんから
福満さんは4ガロで白取さんに見出され、本誌デビュー〜アックスへ活躍の場を移しメジャーへという図式でステップアップされてきました(中略)、今やアックスがあの「ガロ」の唯一の継承の場ということで異論はないですよね。
メールありがとうございます…ってイヤイヤイヤ(笑)。
福満さんが今のようにご活躍されるようになったのは、
「俺が見出したから」ではなく福満さんに才能があったから
ですよ。俺が「ガロ」編集部に居た当時、4ガロに投稿いただいた彼の作品(もちろんハガキ)を一目見た瞬間に「あ、これはすぐプロになった方がいい」と俺は思いました。なので、ご本人にもそう伝えたはずです(福満さんは覚えていないかも知れませんが、確か「成年コミックでも何でもいい、とにかくすぐにプロになるべきだ」と)。
もちろん、まだ世間では誰一人として福満さんを知らない頃です。だけどそんなことを偉そうに「俺が発掘した」だの言うつもりは毛頭、本当に心からありません。同じように、自分がいち早く投稿作品を一目見て、瞬間に惚れこんでしまった作家さんはたくさんいますが、例えばその中に津野裕子さんもおります。
でも、そんなことは編集者をやっていれば当り前のことであり、逆に、そういう才能を見落としてしまうような眼力しか持たないのであれば、編集なんかやめた方がいいのです。つまり、俺じゃなくとも素晴らしい才能は必ず世に出たと思う。その場=つまり投稿作品と編集者のファーストコンタクトという最初の場に、幸運にも居られたのがたまたま俺であっただけであって、偶然世に出るお手伝いをしただけ、です。

それより後段
今やアックスがあの「ガロ」の唯一の継承の場ということで異論はない
のくだりに、ちょっと異論あります(笑)。

かつての「ガロ」系の作家さんたち、つまり<「ガロ」がなければメジャーの雑誌や編集では見出せなかった才能>たち、作家さんたちの行き場は、「ガロ」亡き今となって、現実には「ガロ」をクーデターでブッ潰した連中の「アックス」しかない…という意見は多いでしょう。
だが本当にそうかな、最近はマス・コミック(それこそジャンプやモーニング、ガンガンなど)の世界もそうとうにこなれてきてるので、何もアックスに行かなくても、いくらでも「原稿料が稼げてなおかつ自分のやりたい表現が出来る」場がけっこうあると思うんですよ。
恐らくメールを下さったSさんだけではなく、少なからぬ人たちが(そのほとんどが「ガロ」をリアルタイムで知らないと思うが)、
1 元「ガロ」にいた人たちがアックスをやってる
2 もう元「ガロ」はない
3 だからアックスが「ガロ」の継承媒体である
…という単純な構図でモノを見ているのだろう。そこが俺らからすりゃ「オイオイちょ、待てよ!」なわけです。ここで言う俺の「ガロ」は長井勝一の「ガロ」、青林堂の「ガロ」、何といっても俺たちの「ガロ」である。
それは長井さんの引退後の「山中体制」になって終わった…と総括されるなら、それはそれでも仕方がないと思う。だが少なくとも山中体制下になっても、「長井イズム」は継承されていた。
なぜって、それはまだ俺が居たからだよ。つまり、
長井さんご本人から「編集部に来いよ」と誘われ、直接、薫陶を受けた編集者
がいたからだよ。
「長井イズム」って何だと言う人は拙ブログ内のこのへんを参照ください。
ともかく、長井さんは何より「その作家独自の表現・オリジナリティ」を最優先した。絵がいくらうまかろうが、二番煎じや誰かのモノマネには厳しかった。作家には常に、個性を磨くように指導していた。それはもちろん絵柄だけではなく、絵と物語が両輪・一体として表現される漫画という素晴らしい表現のために、何より作り手は「独自の表現を生み出せるだけの感性を磨くべきだ」と伝えた。
そのためにどうすればいいかということは「優れた作品に表現の分野を問わず触れること」だ。そのことの俺なりの解釈は当サイトでも 【漫画家になりたい人へ】としてまとめてある。

「長井イズム」とは確かに、商業主義というか売れることが最優先であるメジャー・マスのコミック界では通用しない。漫画、出版業界でも「だからいつまで経っても貧乏なのだ」と笑う人間もたくさんいたことも事実だ。実際にそう侮蔑された経験も俺は何度もしている。ただ、メジャーの編集者には「ガロ」へのアンビバレンツな思い、つまり嫉妬と憎悪が入り混じったような不思議な感覚を持ち、接して来られた人も多かったと思う。
理想は高く持ちたい。けれどメシを食わねばならない。それは理解できる。
けれど理想を捨ててまで、過度にメシを、いや金銀を集めようというのはイカガなモノか。
何より編集者も人、作家=漫画家も人、もちろん読者も人だ。
ほんとうのキ★ガイに電波系の漫画を描かれても(それはそれなりに別の評価があるけど)、そもそも作品として成立しない場合が多いだろうし、そもそも編集と意思の疎通が正しく取れるかも疑問だ(笑)。
露悪系の漫画をこれでもかと描き続けている人が鬼畜であるという単純な図式も成り立たないのは言うまでもない。ほのぼの系・絵本のような綺麗な作品を描く作家が●★@%д★йとかだったりすることもある。
だがそれらも結局は全て「人」で、人から人へと何かを伝える、訴える表現の一つが漫画である。
いい編集者はやっぱりいい人であるべきだ。
それが俺なりの長井イズムの解釈だ。

だから、自分たちの私利私欲のために嘘やデマをバラ撒いて人を陥れて「ガロ」をブッ壊し、その後作家を丸め込んでてめえらで興した出版社にそっくり版権を移したり、かつての「ガロ」の真似事をしているような奴らがその「長井イズムの継承者」であるわけがない。
ゆえにアックスは「ガロ」の継承雑誌では、ない。
何か反論があるか? 
アックスがかつての「ガロ」の継承者」なんて寝惚けたことを抜かしている人間は、単に不勉強か馬鹿者かどっちかでしかないと、敢えて暴言を吐く。何か反論あるのなら受けて立つのでどうぞ。というとすぐに頓珍漢な反論を寄せてくる阿呆がいますが、一番下にお勉強すべきリンクを掲載しておくのでちゃんと熟読・熟考した上で、来るように。

以前、ここをご覧の方からのコメントで下記のような発言を戴いた。
>現実に「ガロ」亡き後は「アックス」がその世界を継承しているわけですし、あそこ以外には確かにできませんからね
それに対して俺は
その通りだと思います。自分は是々非々の立場ですから(笑)、これも何度も表明している通り、「アックス」青林工藝舎は、「ガロ」の作家を使い、以前の「ガロ」的なことを続けていますから、「ガロ」的世界の継承と言えるでしょうね。それに、実際いい作家を発掘してるし、いい本もちゃんと出してると思いますよ。読者の方々は、結果はともかくいい漫画が読める、作家さんたちは作品の発表の場がある、それでいいんだと思います。
と答えたことがある。

「ガロ」的世界を、<「ガロ」の作家さんを使って「ガロ」みたいな雑誌をやっている>というなら、<その通り>でいい。それに後段の結果としていい本が世に出ればそれでいい、という部分も変わっていない。
でも「おためごかし」はもうやめることにする。俺にはもうあまり残された時間がないようでもある。
「ガロ」の真似事をしたいがために本家「ガロ」をブッ潰す、嘘をつく、犯罪を犯す、そしてそれら全てをまた嘘でごまかし批判にはほっかむりを続けて謝罪も反省もない。
それで「ガロ」の継承者と言うのは、地球上の他の全員が許してもこの俺が許さない。それだけの話です。


ところで静岡県のYさんからは
4ガロは再開しないんですか?という直球ズバッというご質問をいただきましたが、そりゃあ再開したいですよ(笑)。
俺が健康でバリバリ働けて金がザクザク時間がたっぷりあればなあ。とまあそこまで行かなくても、YellowTearDropsさんのBBSでもかつての投稿者であった某Sむりさんが書いてくれたように、読者投票システム作って投稿作品を掲載し、上位作品に寸評を加える…みたいなものが作れればいいんですけどね。誰が作んのよ、ちゅう話です。ええ、そういう話なんです。

「4ガロ」をなぜ俺が始めたかというと(「沿革」でも書いているように)、「ガロ」読者さんは「ガロ」という稀有な漫画誌を愛読してくれているような感性の人たちなわけで(笑)、であれば当然その人たちもきっと素敵な表現をしてくれるに違いない…という確信が俺にはあったからです。
実際、それまでに「ガロ」の投稿コーナーはその時期の名物編集者が担当する定番ページであったし、それを僭越ながら自分がやれるにあたって、「せっかく漫画誌なんだから4コマ漫画という表現を見てみたいな」と思ってスタートさせたわけです。
で、その中から本格的に本誌投稿へ向かってくれる人が出るなら、それもまた嬉しい。「ガロ」のためにもなる。そして実際そういう例はたくさんありました。
福満しげゆきさんもそういった方々の一人ではありましたが、繰り返しになるけど、俺が掲載しなくても、いずれ本誌投稿をされるか他紙でデビューするかしていたと思う。
4ガロを担当していた当時、意識的に「こういう作品を掲載しよう」と色眼鏡をかけていたことは一度もない。いや、とにかく俺も「長井勝一の最後の弟子」だ、「見たことのない表現」を第一に取り上げよう…ということだけは唯一心がけた。ハガキに描かれた4コマ漫画であろうと、「長井イズム」で見ようという「色眼鏡」なら、かけていた。
なので古典的な起承転結で「あるある…」みたいな作品はヨソへ行けばよろしい、俺は「見たことのないもの」を一番にしたい。それくらいの色眼鏡だ。
ともかく、そんな感じで毎号毎号、全く俺一人で自由に独裁的にチョイスできたので、その点は本当に嬉しかったしエキサイティングなことでした。校了間際の物凄く忙しい時期に当然4ガロの校了もあったわけだけど、あまりに楽しくてついつい凝ってしまって気がついたら朝だった…とか、よくありました。
ただ毎日毎日、ポストには変な投稿ハガキがワンサカ来るようになり、当然長井さんもそれを目にすることになる。俺は長井イズムを体現しようとしていたのに、当の長井さんが「白取君さあ、いくら何でもキ●ガイを載せるのはやめろよ」と苦笑しながら俺に言ったものでした。
回を重ねるごとに増えた4ガロの投稿ハガキは、とうとう毎月3ケタを超え(本誌の部数を考えたら驚異的だったと思う!)、漫画家さんや先輩編集者の方々からも「面白いね」とお褒めいただくようになると、長井さんは何も言わなくなりました(笑)。長井さん、ほんとうは4ガロみたいな世界は理解できなかったみたいです。そしてよくその頃になると「最近の漫画はワケわからん」とボヤいてました(実話)。いいんです、長井さんの素敵な「イズム」は俺が継承してたんだから。

全作品掲載したいというのを断腸の思いで、できるだけ多く…という意識からハガキの大きさはかなり小さくなり、褒めていただいた先輩がたからも「見づらい」と文句も言われたものです。
あと、よく掲載作品に寄せるコメントも褒めてもらいましたが、あれも時間が無い中だったので、手書き版下の頃は下書きも何もなくぶっつけで書いていたし、それはワープロ打ちに変わってからも同様でした。自分は基本的にラジオのDJのような感覚だったと思う。
ちなみに最末期からは、かつての投稿者で敏腕プログラマとなって再会した古山啓一郎君がアシスタントとして手伝ってくれて、非常に助かりました。
あと俺が再復刊後の「新・新生ガロ」になぜか疎まれて(実際は理由は解っている、彼らには「長井イズム」が邪魔だったからだ)突然説明の機会も与えられずに4ガロを降ろされた後、何もなかったかのように俺たちではない「別人」が俺たちを装ってコーナーを継続させたが、のちに当時の投稿者の方に聞くと、これが多大な不評を買ったそうだ。
曰く「アングラやってます、みたいなコメントが不快」とか。それに俺も古山君も一切関わってないので、念のため。

…とにかく4ガロをいまだに「読者投稿ものの最高峰」と言ってくれる人が多いのには驚くと同時に感謝の気持ちで一杯です。マジです。何自慢してんだよ、と言われてもOK。自慢していいことだから。
「何か別の媒体なりでやらないか」という話もあった、実は。でも「ガロ」以外の媒体でああいう作品が集まりますか? 「ぼくは16角形」の作品をどこが掲載できるというのですか? 
「掲載作品を完全自由に選べる」という俺の唯一絶対の条件は大概却下されたので、全部お断りしましたよ。
それこれ考えると、やっぱり俺が俺の媒体で(webなりblogなりで)再開させるしかないんだろうか。健康な体と時間と金が欲しいなあ。



★しつこいようだが「ガロ」消滅の経緯は以下を参照
デジタルガロ・ガロ編集部総辞職事件関係掲示板ログ一覧
白取特急★編集長日記/ガロ編集部総辞職事件顛末日誌
【その後・関連記事】
白取特急検車場 ★元青林堂社長ガロ編集長・山中潤氏がBBSに!
白取特急検車場 ご心配は有難いけど。
白取特急検車場 「ガロ的編集道」って

★そもそも「ガロ」って何? て人は下記を参照(苦笑)
YellowTearDrops内のGaro chronicle
日本のサブカルチャーを考える −「ガロ」とコミックを中心に 
ガロ 雑誌 - Wikipedia

★2007/7 追記 文中の4ガロ投稿者・ぼくは16角形さんが何と田中ようたとして復活! 必見です。
「ガロ」再末期伝説の4コマer「ぼくは16角形」が復活(?)
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シラトリチカオ

Author:シラトリチカオ
白取千夏雄/編集者。1965年函館市宝来町生まれ。元青林堂「ガロ」副編集長、97年よりフリー編集者・ライター・Web構築・管理他なんでも屋と、専門学校・大学講師など。
2005年夏、白血病告知・余命宣告を受けるが「慢性リンパ性白血病」に近いタイプと判明、無治療・対処療法、2014年より抗癌剤治療、巨脾へ放射線など治療開始。2015年夏左上眼瞼にメルケル細胞癌発症、眼瞼切除、再建手術、16年にかけて放射線も耳下腺に転移、郭清術、放射線治療中に再発、左眼球ごと摘出・皮膚移植。転移再発治療中ながらまだ生涯一編集者として生息中。
二十余年の東京在住ののち、07年から京都在住。09年5月、愛妻=漫画家・やまだ紫を脳出血で失った。
やまだ紫クロニクル

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