--------(--)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2007-05-26(Sat)

ワーキング・プアの国

昨晩、いつものように報道ステーションのあとニュースZEROを見ていると特集で、昨今問題になっているワーキングプアーを含めた問題を「ニュープアー」として、レポートをしていた。一つの事例は地方に住む、シングルマザー。夫と離婚した後、小学校前の女児を一人育てながら、工場で働いているのだが、その時給は650円前後で、ほぼ最低賃金という額でしかない。離婚前夫とあわせて世帯年収でいうと650万円ほどあったそうだが、一挙にそれが150万になってしまったという。幸いというか、県営住宅にそのまま入居しているため、家賃負担がかなり安く済んではいるものの、毎月どうやりくりしても2万円近い赤字が出て、貯金を切り崩しつつ生活を切り詰めて暮らしているという。計算してみたらいい、朝から晩までたっぷり8時間、月に25日毎日働いても手取りはたった12万円程度にしかならない。彼女は新聞を取るのをやめ、パソコンもやめ、化粧品は百均で買うようになった。ダラダラと働かずにいるわけでもない。贅沢をしているわけでもない。真面目に、それこそ清貧に暮らしているだけなのだが、母子二人の生活は苦しく、今後娘が小学校へ上がれば教育にもお金がかかっていくだろう。とにかく全く先が見えないことが不安だという。

興味深かったのは、東京に住む若いサラリーマンが、東京の最低賃金つまり時給719円で一ヶ月を暮らすというシミュレーション体験の模様だった。普段は手取りで20万円ちょっとの月収があるのだが、彼の給与を最低賃金で引き直し、さらに絶対に削れない固定費を抜くと、一ヶ月に使えるのはたったの2万円を切るという金額となった。これがいわゆる「生活費」で、もちろん食費込みである。最初彼はやるぞと意気込み、まずカレーを数日分大鍋で作る。そうして三日間それをひたすら食べて食費を切り詰めた。さらにゴールデンウィークと重なったが、もちろん一歩も外出せずに節約。その間も髪は自分で整髪したり、当初はそういう節約生活を楽しんでいるかのような余裕させ感じられてはいた。
だが、こうしたカツカツの生活が半分を過ぎたあたりから、彼の精神状態に異変が起きてくる。日記によると、ちょっとしたことでイライラするようになり、困っている人を見ても「自分の方がもっと辛いんだ」と思うようになったという。まさに「貧すれば鈍す」である。普段、当り前のように喉が渇いたら缶コーヒーを買ったり、職場の友人と飲みに行ったりしていたことが全く出来なくなり、フラストレーションも相当に高まっていたと思う。つまり日々、彼は抑圧状態に常に置かれているわけだ。そういった中、彼は無事(?)一ヶ月をクリアした。残ったのは小銭だけという状態で。彼は労働者たちの集会で、「最低賃金で一ヶ月生活せよ、というのは無理です」と断言した。過酷な体験からの、実感だったと思う。
だが全国にはもっと過酷な状況に置かれている人たちももちろん、たくさんいる。健康で働けるのに働かない、怠け者の貧者に同情の余地はないだろうが、一生懸命、身を粉にして働きに働いているのに、生活が苦しい人たちは哀れとしか言いようがない。先の最低賃金生活を体験したサラリーマンは一ヶ月で済んだが、彼が味わった抑圧を、ワーキングプアーは常に、一年365日、味わっているのだ。こういった状態の人が、ちょっと転べば「オイシイ話」という名の犯罪に手を染めたり、それこそ現在の生活からの脱却は一攫千金しかないと、ギャンブルに嵌って、借金地獄へと転落していくという例もあろう。
それでも歯をくいしばって、貧しくともまっとうに生きようと、本当に血のにじむ思いをしている人間に、今のニッポンはあまりに拝金主義で消費礼賛で、過酷で意地悪くはないだろうか。勝ち組と負け組という名のもと、すでに階級社会が訪れようとしている。かつての一億総中産階級という幻想は崩壊した今、はっきりと持てる者と持たざる者に二極化しつつある。昔は頑張れば貧しくとも人並みの暮らしが出来た、公教育だけでも一生懸命勉強すれば奨学金を貰っていい大学へ行ったり出来た。でも今は無理だ。公教育は役人が半世紀をかけてぐっちゃぐちゃにしてしまったから、塾へ行って補完するか、カッチリと高度な教育を施す私立へ行かねば人よりいい学力を得ることは出来ない。つまり、持てる者の子弟しか、高度な教育が受けられない時代になったのだ。階級差は資本主義ではある意味、あってもいいという意見もある。頑張って稼いだ者がいい暮らしをするのは当然だ、と。だが、頑張って働いたのにそれに見合う対価が得られないことが問題だし、何より階級が「固定化」されることが一番問題ではないだろうか…。
スポンサーサイト

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

コメント

カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
最新記事
カテゴリ
最新コメント
最新トラックバック
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

広告
アフィリエイト・SEO対策
検索フォーム
プロフィール

シラトリチカオ

Author:シラトリチカオ
白取千夏雄/編集者。1965年函館市宝来町生まれ。元青林堂「ガロ」副編集長、97年よりフリー編集者・ライター・Web構築・管理他なんでも屋と、専門学校・大学講師など。
2005年夏、白血病告知・余命宣告を受けるが「慢性リンパ性白血病」に近いタイプと判明、無治療・対処療法、2014年より抗癌剤治療、巨脾へ放射線など治療開始。2015年夏左上眼瞼にメルケル細胞癌発症、眼瞼切除、再建手術、16年にかけて放射線も耳下腺に転移、郭清術、放射線治療中に再発、左眼球ごと摘出・皮膚移植。転移再発治療中ながらまだ生涯一編集者として生息中。
二十余年の東京在住ののち、07年から京都在住。09年5月、愛妻=漫画家・やまだ紫を脳出血で失った。
やまだ紫クロニクル

シンプルアーカイブ
リンク
RSSリンクの表示
QRコード
QR
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。