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2007-05-30(Wed)

右傾化雑感

前記事で「右傾化」について考えたのだけど、若者に蔓延する右傾化の気分については、誰もが肯定するところ。しかしその「右傾」の右側、拠って立つべき右のソコ(笑)って何だ。かつての皇国ニッポン、五族協和とか大東亜共栄圏とか八紘一宇とか一億総火の玉とかそういうことだろうか? でもそんなこと本気で主張して日章旗掲げて皇居遥拝なんかしてる人って、今のネット右翼には皆無(いや中にはいるのかな)だろうし、皇国史観や天皇、国家神道なども含めた右翼思想を勉強し、それをイデオロギーとしている人も少なかろうに。だけど右傾化、という言葉はもはや規定路線だ。

最近、メディアでは中国関連のニューズが増えている。北京の遊園地での著作権まるで無視のファンキーなニュース(あのヘナヘナなニセドラえもんの動きが忘れられない)なら「またかよ」と笑えるが、そんなものじゃない。
米国議会における従軍慰安婦問題での「反日プロパガンダ議員」の裏に中国反日団体の影。
中米諸国で中国製歯磨き粉から毒物が出た。
中国製の原料を使った医療用シロップで死者が出た。
アメリカで中国製の原料を使ったペットフードで犬が大量死。
中国の工業地帯から規制も無しに排出される煤煙で、日本では光化学スモッグが数十年ぶりに激増。
モンゴルで悪質な廃油を使用した中国製即席麺を食べた学生2人が即死。
ニトリが販売した中国製土鍋から鉛が噴出。
…ここ半月くらいでもこんな感じである。もっともっとあるが、これは今俺の「記憶」だけで書いていて、それでもこれくらいは覚えている範囲で出てくるのだ。
中国というと前にも書いた覚えがあるが、おそらく今30代以上の人なら、日中国交正常化以降の蜜月時代を覚えており、中国といえばむしろ好印象しか持っていなかったはずだ。東西冷戦の鉄のカーテン崩壊前でさえ、中国は友好国であるという印象が多かった。それが今ではすっかりこの有様で、今日本で中国を友好的で信頼できる隣国、と思っている人はかなりの数、減ったと思う。それはもちろんかの国の責任である部分が多いとはいえ、やはり我々の世代から見ると隔世の感がある。いや実際中国は他の国をどうこう言える筋合いはなく、近隣の少数民族の領土を武力で征服しているし、政治体制は相変わらず一党独裁で民主主義とはほど遠い。それでいて自由主義経済のいいとこどりをしたためにアチコチで矛盾・歪みが生まれている。経済成長が急激すぎて法整備も何も追いつかないので、環境問題対策も知的財産保護も全くもって信頼できない。何より国家思想として「中華」(自分らが世界の中心だと思っている)であるので、彼らとの平和的な共存共栄(戦略的互恵関係)など土台無理だという人も多い。
このように、中国というあからさまな「敵国」が、これまでは北朝鮮という異常な国家だったのが、それを影で操る大物という意味でもわかり易いかたちで出現したので、怒りも向けやすくなったというものだ。俺も中国に対してはどちらかというと親近感を感じていたのだけど、ここ十年ほどで残念ながらそんな感情はすっかり減退してしまった。若者たちに至っては、「減退」どころではないだろう。

わかり易い「敵」を作っておき、大衆の耳目をそちらへ逸らすという手法はまあどこの国でも体制がよくやることだ。これまで日本はあまりそういうことはしてこなかったと記憶するが、あまりに周辺が日本を「敵」にしたがるので、日本でもそうせざるを得なくなったのかも知れない。冷戦時代、旧ソ連を何となく仮想敵国扱いするムキもあったけれど、それってそれこそ右翼系の人らだけで、一般国民は「ロスケ」なんて言葉も使わなかったし、そもそもソ連のこと自体よく知らなかったと思う。今そのロシアではプーチンが旧共産党政権時代を思わせるような独裁・強権政治を復活させている。そういえばこないだつかまった少年2人が、なんと30人以上の非ロシア系住民の殺人を自白して話題になった。フランスでは自分も移民の子のくせに移民排斥を露骨に訴え、日本文化へも差別的思想を持つサルコジが大統領に就任した。

さて日本で右傾化右傾化と言われるが、そもそも右って、右翼的思想って何だということをもう一度考えれば、今のそれは「嫌中」「嫌韓」といった程度のもので、何度も言っているようにそれは中・韓の異常なまでの「反日」が先にあってのことだ。では他にはどういうことがあろうか。これだけワーキング・プアや格差問題が浮き彫りになって話題にもなっているのに、外国人労働者排斥とか他国の国旗を焼いたりとか、近隣諸国がよくやる感情的な「ナショナリズム」の勃興は見られない。過剰な国からの「愛国心」の押し付けにも、日本国民にはちゃんと「待てよ」という理性のブレーキがある。
この程度のことを右傾化と呼ぶのは、これまで日本がどれだけ先の戦争に至る近代日本史について自虐的であり、戦後はいかに侵略戦争を反省したかの現れではないか…ということも言えなくはないか。あ、俺右翼じゃないですからね。ついでに言うと左翼でもないし。(侵略戦争は侵略戦争、と言っただけで今度はサヨク呼ばわりなのも困る)
では何で今の若者たちが右傾化だと言われるかというと、やはりそれは「気分」なのではないか。
メディアではグルメだ億ションだ宝石だブランド品だとバブル期を彷彿させるような「持てる者への情報」が氾濫している。一方で何度も書いてきたように、働けど働けど貧しさから抜け出せない持たざる者が、年々「中流」から転げ落ちていて、真ん中が減り、上流と下流にはっきりと別れつつある昨今。
鬱屈した日々、抑圧された「気分」はやり場のない怒りとなって常に心中にどす黒くとぐろを巻いている。悪いのは俺じゃない、こんな世の中、間違っている。そんな厭世と抑圧が、気分としての右傾化を生んでいる、という見方も紹介した。やり場のない怒りは、解りやすく自分を攻撃してくる他者、あるいは自国を敵視する他国へ簡単に向けられ、暴発する。

日本では改憲が普通に議論されるようになったことを、右傾化と論じる向きがあるのだけど、ちょっと違うと思う。確かにちょっと前まで…いやもうずいぶん前か(笑)、55年体制の頃などは「改憲」と言っただけで右翼呼ばわりされたものだ。憲法を変えるということはすなわち「9条」も変えること、すなわち軍事力を保持すること、すなわち戦争可能にすること…というようなレールを皆が想像したのだ。
それが今では憲法改正(改定なのか改正なのかはたまた改悪なのか論議が別れるのだが)はもはや規定路線であるかのような時代になった。これまた隔世の感ありである。俺もトシ取ったなあ(笑)。
9条というのは理想というか、美しいと純粋に思う。だが現実社会は理想とはほど遠く、美しくもない。現憲法下でさえ、「解釈」でもって自衛という名の戦力を保持し、国際貢献という名で派兵もしている。言い換えをどうしようとも、諸外国から見たら「自衛隊」は「日本軍」だし、インド洋やイラクでの後方支援だって軍事行動の一つだろう。だから現在の9条に拘泥する人が護憲派には多いようだけど、すでに9条だって解釈によっては換骨奪胎でき得ることが証明されている以上、世界的にも有数の軍事力を持っている日本は、現憲法下でも戦争可能ということになるはずだ。9条を残すなら改憲賛成とか、逆に9条は現在の国際情勢に合わないので明確に軍事力の保有と国防としての戦争を認めよという意見も、何となく滑稽に見える。
宮崎哲弥氏のコラムだっけ、うろ覚えで申し訳ないが、誰かが日本国憲法を「オーダーメイドの囚人服」と評したことを名言であると書いていたのだけど、なるほどなあと思う。
日本は今戦勝国からの押し付けである憲法を自主制定しようといっていることが「右傾化」と呼ばれるほど、正常なバランス感覚を持っている…という見方もできるかも知れない。実際防衛庁が防衛省になったところで、日本がかつての帝国主義に走る…などと無茶苦茶なことを考える人などおるまいし、現実にそんなことが出来るはずもない。それなのにそういうことを叫ぶのは、まさしく周辺の反日国家のプロパガンダと同じことになってしまう。
是々非々、冷静客観的な思考が必要だ。
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シラトリチカオ

Author:シラトリチカオ
白取千夏雄/編集者。1965年函館市宝来町生まれ。元青林堂「ガロ」副編集長、97年よりフリー編集者・ライター・Web構築・管理他なんでも屋と、専門学校・大学講師など。
2005年夏、白血病告知・余命宣告を受けるが「慢性リンパ性白血病」に近いタイプと判明、無治療・対処療法、2014年より抗癌剤治療、巨脾へ放射線など治療開始。2015年夏左上眼瞼にメルケル細胞癌発症、眼瞼切除、再建手術、16年にかけて放射線も耳下腺に転移、郭清術、放射線治療中に再発、左眼球ごと摘出・皮膚移植。転移再発治療中ながらまだ生涯一編集者として生息中。
二十余年の東京在住ののち、07年から京都在住。09年5月、愛妻=漫画家・やまだ紫を脳出血で失った。
やまだ紫クロニクル

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