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2007-08-31(Fri)

入院5日目

8月31日(金)
夕べは周囲の夕食が終わった後もイヤホンで音楽を聴いていた。音楽を聴きつつ画面だけテレビを見たり、ソリティアで暇つぶし。他のゲームでも良さそうなものだが、だいたいが惰性と反射でやっているだけなので、ソリティアが一番その状態に合致するだけの話。向かいのコワモテOさんの奥さんはデカい声で話し、まるで自分の家のように病室内を歩き回り、一緒に飯を食った後は二人で恐らくタバコを吸うのだろう、どこかへ消えるのはいいのだが面会時間8時を過ぎて病室に戻ってきても大きな声でああだこうだと15分くらい過ぎてからようやく帰る。さらにその時Oさん一緒に降りていくらしいが、戻ってくるのは8時半を過ぎてからだ。その後消灯が過ぎても平気で11時過ぎまでパソコンにアンテナつないでタダでテレビ見てるが、ナースはそれを消せとも言わず、何だかアンタッチャブルな人なのかと思ってしまう。つまりはまあヤクザなので傍若無人でも許されるんだろうか、と。
俺は9時ころ一旦さっさと寝ようかと思ったが、Oさんの様子を真似てか、隣のオッサンまで調子に乗って消灯過ぎてもテレビをつけてるのがチカチカして寝られない。真っ暗な部屋で、薄いカーテン一枚の向こうでテレビつけられてるのを想像していただきたい。とてもとても寝られるものではない。「消して貰えませんかねえ」とノドまで出かかるのだが、隣のオジサンは抗癌剤を投与されていると聞いてから、やはり大変だろうな、という思いがあってこちらが我慢してしまう。
結局こちらも寝られないので見たくもないテレビをつけた。3人のベッドでテレビの光がビカビカと光り、天井に乱反射している。クラブか、とツッコミたくなる雰囲気である。その後隣に誰か来た様子で、耳栓を取って聞いてみると隣の主治医らしく、抗癌剤治療はいったん中断して土曜に退院し、それから再来週の木曜にまた入院して再投与と言っていた。どうやらどこかの癌を手術で取った後の予防的抗癌剤投与らしい。道理でこの夫婦、悲壮感もなく妙に軽いと思った…。結局寝たのは11時半ころだったか、点滴の残りが少なくなっていて不安だったが、次に目が覚めたら取り替えてあった。こういうナースだとありがたいんだよなあ。なので何度か目が覚めたが、5時半に完全に覚醒するまではよく寝られた。
同室のオジサン2人は高いびき。しかしいくら周囲が無神経とはいえ、こちらは寝ている人を起こさないよう、一応起床時間である6時まで待ってから洗顔に行く。狭い室内なので一人が動くだけで完全に安眠は妨げられるはずだが、俺が洗顔して戻ってきても誰も起きなかった。やはり耳が遠いのか。夜中も断続的に雨が降ったようで、外はまたどんよりと曇っている。夜も弱く冷房がついていたが寒かったので朝方に切った。向かいのOさんは暑がりで、しきりに暑い暑いというから気の毒にと思ってつけていたのだが、風邪をひいてはいかん。
その後他の二人が朝食の間はずっと音楽を聴いてソリティアをやっていた。匂いがたまらん。ソリティアなど楽しくてやってるわけではなく、時間が簡単に潰れるのでやってるだけだ。9時前に下へ買い物に行き、ジャムクッキーとクランキーチョコサンドクッキー、ドリンクヨーグルト、あと小さいシャンプーとボディソープを買って戻る。それからはクッキーを隠れて食べた。先生すんません。そうこうしてると11時半を過ぎたので、点滴の交換を待ってビニール袋に読みかけの週刊誌、水のペットボトル、財布、クッキーを入れて点滴台を押して病室を出る。
ナースステーションに顔見知りの看護婦2人がいたので「食事どきが辛いので下に散歩に行ってきます」とバカ正直に報告すると、爆笑された。同じ部屋ン中で空腹の身にご飯のいい匂い、食べる音なんかがするのはとても耐えられない。下に降りて入り口から外に出る。そういや病院の外に出るのは中3日丸々空いて4日ぶりだ。外は曇り空だが風が強く、その風も涼しい。ここ数日ですっかり秋になっちまったんだろうか…いや、東京の「夏」はそんな甘いもんじゃねえ。
植え込みに囲まれたスペースにあるベンチに座り、懐かしいSTYXを聞きながら文春を読む。「The Best of Times」とかシチュエーションに全然合わないのだが、関係なし。12時15分くらいまでそうしてると、スーツにサングラスで体格のいいつるつるに禿げたおっさんが会釈をして俺の隣に座り、何か話しかけてきたので慌ててイヤホンを取って聞きなおす。「点滴の針は痛いものですか」というので「最初の一刺しは痛いけどその後は慣れてしまえば全然平気ですよ、自分は24時間点滴なんでこのまんま寝ますしね」と話す。そのオッサンの90過ぎになる母親が糖尿で入院していて、「点滴の針が痛そうでねえ」という。「確かに女の人とか血管の細い人は痛い場合も多いですよね」「あと何回もやったり長期間やってると血管が固くなって…」と話してると、俺の話を遮るでもなく普通に俺の話にかぶせて「点滴の色は緑でね、ほれ、ちょうどあんな色なんですよ。あれは何なんですかねえ」と植え込みの緑を指差す。「…そ、そうですか。でも色じゃ何の薬かは解らないですけどね」と言うと「あなたのは?」「私のは単なるブドウ糖とかアミノ酸なんかの輸液です。今胆石症で入院中なんで、食事が取れないんで栄養補給ですね…」と応えるとやはりそれにかぶせるように「胆石は痛いんでしょう」という。このオッサンは一体…と思いつつ「痛いと言いますけど、まあ自分の場合は石が取れたみたいで、その時に胆汁がドバッと溢れたのがアチコチに悪さしてるみたいですね」ってここまで会話してきて、どうもこのオッサン心ここに在らずという感じに気付く。一応会話は成立してるし別に頓珍漢なわけでもないのだが、基本的にこちらのレスポンスには余り興味がない様子なのだ。興味ないなら話しかけてくるなよと思うが、何だろうと思ってたら、突然バス停の方へ「じゃあお大事に」と言って立ってしまった。要するにバス待ちの間の暇つぶしだったのだろうか。
こっちはいい気分で音楽聴いてたのに何だよと思いつつヨッコラセと立ち上がり、点滴台を転がして病院内へ戻る。すると前から3人のドクターが来る中の一人がMさんだったので、思わず手を振って挨拶。M先生は一昨年、抗癌剤投与の予定で入院した際の医師団の一人で、よくこちらが聞きかじりの浅い知識で質問責めにするのに対応してくれた若い医師である。「胆石なんですよー」と言うと「そうなんですってね、一度病室へ挨拶に行こうと思ってたんですよ」と言われる。「食べられないのが一番辛くて」とまた情けないことを言うと「あ、でも食べさせようかなってカルテに書いてありましたよ」と笑われる。思わず「本当すか?」と聞き返してしまい、両側の研修医にまで笑われる。
その後病室へ戻る前にいったん談話室でちょっとテレビを見て、念を入れて12時半を過ぎてから部屋へ戻る。どうやら昼食は終わっていたようだが、やはり残り香が漂っている。ていうか病棟の廊下全体に漂ってるので、もうしょうがないのだが。あー腹減った、とベッドに戻って水を飲む。午後は音楽を聴いたり週刊誌を読んでしまった後は、Yちゃんが持ってきてくれた五木寛之の「こころ・と・からだ」を読む。
そうこうしてるうちにウトウトしてハッと気付くと点滴が終わっており、血が逆流しかかっているところ。慌ててナースコールで交換してもらう。逆流しても死ぬわけではないが、赤い血が点滴の管を伝ってだんだんに上がっていく様子は気持ちのいいものではない。そんなこんなでフと気がつくと6時前だ。もう飯だヤバいと思ってたら向かいの「姐さん」登場。恐らくは50代だと思われるが、バッチリ濃い化粧に金髪、タイトな皮パンツだったりヘソ出しの時もあったっけ。そうして甘い声でコワモテOさんによく「痛くなかったぁん?」「可哀想〜、センセに言えば良かったのにィ」とか話している。同時に病棟のご飯も登場、なるべくご飯を見ないようにしてそそくさと病室を出る。そのままもう下へ行くのも面倒なので、談話室へ行き、テレビでNHKニュースを見る。思い出して引き返し、ナースセンターで看護婦に明日の午後外出許可を欲しい旨伝えてから談話室に戻り、連れ合いにメールして、一応申請はしたが医者次第と伝える。
ていうか俺は同室のオジサマ方、特に隣のKさんの下品さと無神経さにもう怒り心頭なのだが、ご本人全く無頓着で悪気もない様子、従って「てめえうるせえぞ」「いい加減にしろ」とも言えないし、ひたすら我慢。それももう限界に近いが、幸いこのオッサンは明日退院だ。向かいのコワモテOさんは姐さんさえ来なけりゃKさんほどうるさくはないので、とにかく忍耐の日々である。
談話室でボーっとTVを見ているとテレビの背後の窓ガラスにA医師がナースセンターに向かって行くのが映ったので、そっといったん病室前へ戻り、今出てきたという風情を装う。すると若い研修医を連れてこちらへ来るのが見えたので、気付かないフリをして廊下を進み、途中でああ、という感じで立ち止まる。ていうか何でこんな小芝居してんだ俺。
A先生に「どうですか」と訊かれたので「ええ、全然痛みも熱もなく大丈夫です」と言うと「そうですか、それは良かった」とのこと。で「外出許可なんですが、明日どうしても仕事でネットにつないでデータを送る必要があって」と切り出す。「下のパソコンを見たら外部デバイスは接続不可、とあったので、自宅へ一度戻ってやりたいんですが」と言うと「そうですね、いいと思いますが、どなたかお迎えに来られるんですか?」「いえ、タクシーで行って作業して、またタクシーで戻ろうと思ってます」と言うと「そうですか…ただ飲み食いされるようだと困るんですよ」とのこと。俺がそうとう禁食に参ってる様子はナースから伝わってる様子。なので「それは全然しないので大丈夫です」と言うと「解りました、一応明日の朝の採血の結果次第では許可できないこともありますが」と言うので「よろしくお願いします」と頭を下げる。
そのまま談話室に戻るとどっかのオッサンがテレビ前に陣取っていてチャンネル権を奪われていた。NHKニュースではなく、「ぐるナイ」に変えられてしまったが、そっちの方が面白かったので俺も一緒に見る。岡村やチュートリアル徳井、峰岸達、元Jリーガー永島、石田純一らが素人の女の子たちに彼氏にしたい順番をつけられるのだが、石田がことごとく最下位になるのを笑いながら見る。この石田純一という人は確か50を過ぎているはずだが、脳みそがツルツルだと若く見えるのだろうか。その言動も余りに知性も品性も教養もかけらも見られず、従って同世代の女性には相手にされず、従って騙しやすい若い女の子に色目を使うのであろうか。それとも単なるロリコンなのだろうか。以前も浜ちゃんの芸能人格付け番組で、ワインや高級食材や芸術、音楽などの「真贋」を判断するのをことごとく全て外していたのを覚えている。それでもご本人はいつも無根拠に自信満々で、周囲も「プレイボーイ」とか持ち上げてるし、芸能界って不思議な世界だなあ。そういや何かの番組で石田を「インテリ」と言っていたのを見たが、椅子から落ちそうになったっけ。高学歴=無条件でインテリなのか、そうか。とまあ楽しくテレビを見ていると、飯を食い終わったOさん夫婦が談話室に来るのが見えたので振り返って会釈し、賑わってきたので7時40分くらいには部屋に戻った。それにしても今日はちょっとクッキー食いすぎたかも知れない。いいのか。いいわけないか。
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シラトリチカオ

Author:シラトリチカオ
白取千夏雄/編集者。1965年函館市宝来町生まれ。元青林堂「ガロ」副編集長、97年よりフリー編集者・ライター・Web構築・管理他なんでも屋と、専門学校・大学講師など。
2005年夏、白血病告知・余命宣告を受けるが「慢性リンパ性白血病」に近いタイプと判明、無治療・対処療法、2014年より抗癌剤治療、巨脾へ放射線など治療開始。2015年夏左上眼瞼にメルケル細胞癌発症、眼瞼切除、再建手術、16年にかけて放射線も耳下腺に転移、郭清術、放射線治療中に再発、左眼球ごと摘出・皮膚移植。転移再発治療中ながらまだ生涯一編集者として生息中。
二十余年の東京在住ののち、07年から京都在住。09年5月、愛妻=漫画家・やまだ紫を脳出血で失った。
やまだ紫クロニクル

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