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2007-12-15(Sat)

遺族らが漫画で呼び掛け 京都精華大生刺殺事件

千葉大作君が20歳の若さで殺されてから1年近くが経った。千葉君は仙台出身、京都精華大学マンガ学部の1回生だった。そして現場は学校の近くで田畑も残る住宅街、時間は午後7時40分ごろ。自転車で友人の家へ向かう途中、彼は路上で何らかのトラブルに遭遇し、そして相手に刺殺されたと見られている。胸部などにかなりの数の刺創を追った結果の失血死であった…。(当時のことはこちらの記事
京都精華大学生刺殺事件を参照ください;当時は被害者に配慮して仮名=C君としてありました)
千葉君はもちろん、精華大で教鞭を執っている連れ合いのやまだ紫の教え子でもあった。当時から今に至るまでこの事件…というより千葉君の非業の死には心を痛めているのだが、何よりこの事件を思うときに我々を襲うのは、漫画家を目指していた若者が無残な死を遂げたことへの悲しみと憤り、そしてもちろん犯人への強い怒りである。もっと言えば、いまだにその犯人が見つからずにいることへのやりきれなさだろう。
よくこういう事件が未解決のまま時間が経過すると「警察は何やってんだ」と憤慨する人もいるだろうが、「捜査が怠慢である結果、犯人が見つからない」という事態であると何もかも断定してはいけない。実際、この事件に関しては京都府警は地道に、堅実な捜査を今も続けていると複数の筋から聞いている。それでも、卑劣なクソ野郎はまだ、人を殺しておいてのうのうと生きている。そいつは夢を持った若者の命を簡単に奪い、たくさんの人を悲しみに陥れておきながら、毎日メシを食い人と普通に会話し何食わぬ顔で暮らしているだろう。許せない、そう思うのは当然だ。
ただこういった事件も、悲しいことに全国では日常的に起こっていることの一つではある。その地域の当事者を除けば、人びとの関心はやがて薄れていく。その地域においても、時間が経てば人の記憶には徐々に霞がかかっていく。しかし当事者・関係者ならずとも、こんなことを放置しておくこと、つまり事件を風化させていいわけがない。

「遺族ら漫画で呼び掛け 京都精華大生の刺殺事件」というニュースが13日に全国をかけめぐったのをご覧になった方もいるだろう。
「遺族や学生らが13日、事件の概要や千葉さんの人柄を描いた漫画冊子をJR京都駅前で配り、犯人の男に関する情報を提供するよう呼び掛けた。
冊子は、マンガ学部の男性講師(46)と有志の学生が「漫画の力で犯人逮捕につながれば」と作成。母親の淳子さん(48)ら遺族3人と学生たちが約200冊配り、通行人の中にはその場で真剣に読む人もいた。
淳子さんら遺族は、千葉さんのメールに届いたマンガ学部1年生あての連絡でこの日の配布を知り、呼び掛けに加わった。
漫画はインターネットで公開している。ホームページはhttp://www.daisaku-kyoto.jp(犯人逮捕にご協力ください 0120-230-663)」


正確にはこの漫画冊子が配られたのは13日と14日の二日間。場所は京都駅前、四条河原町と、精華大前に通じる叡山電鉄の出町柳駅前だった。配布には遺族とボランティアの学生以外に、講師の有志も数人加わっている。やまだも14日の出町柳での配布とお願いに加わった。「忙しそうにスルーする人もいたけど、中にはすぐ『ああ、あの学生さんの事件ね』と言って足をとめて冊子を受け取って涙ぐんでくれた人もいた、自分も泣きそうになった」」と言っていた。
実は「千葉君の事件を風化させぬために、犯人逮捕につなげるために、何ができるのか」ということは、千葉君の周辺の心ある人たちが事件以来常に考えてきたことであった。発起人で今回漫画を執筆した「男性講師」はもちろんやまだの同僚であるから、お名前は存じ上げている。しかし彼は早くから、売名でもないし「誰が描いたか」はことの本質からすれば重要ではないと、自分の名前は非公開にすると言い、それを通している。もちろん現役のプロの漫画家の方で、名前を挙げずとも絵を見れば漫画好きな人ならすぐお判りであろう人だ。忙しい仕事と大学での教鞭の合間の執筆であり、本当に立派なことだと思う。
今だからもう言ってもいいと思うが、この漫画のネームは完成前に同僚であるやまだの元にも届いた。何か意見があれば忌憚なく言って欲しいということだった。俺も、拝見した。一応、漫画の編集にずっと関わってきた人間なので、意見があればということだった。一読した感想は「これが漫画の力だ」というものだった。
ともすれば過剰な犯人への攻撃へ、あるいは他人から見れば「お涙頂戴」ととられてしまうような方向へ傾きがちなのに、見事に(といったら失礼でさえあるのだが)「感情」に抑制がかかった作品。事件の経過と犯人の情報を事実のみ解り易く図解し、そして千葉君の人となりを説明する。先入観や感情、そうしたものの他人への押し付けを一切排除することで、結果的にはこの事件がいかに悲惨であることが浮かび上がってくる。何より、純朴な漫画青年であった千葉君の人となりがよく解り、だからこそ、彼の無念さと犯人への怒りが改めて喚起され、そのことが人びとの本件へのふたたびの関心を呼び起こす。そしてこういったことが少しでも犯人逮捕へと結びつくのなら、近づくのなら…という思いが筆致からひしひしと伝わってくる、静かに。これが「漫画の底力」である。
俺も切に願うし、訴えたい。犯人逮捕にご協力ください!と。
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シラトリチカオ

Author:シラトリチカオ
白取千夏雄/編集者。1965年函館市宝来町生まれ。元青林堂「ガロ」副編集長、97年よりフリー編集者・ライター・Web構築・管理他なんでも屋と、専門学校・大学講師など。
2005年夏、白血病告知・余命宣告を受けるが「慢性リンパ性白血病」に近いタイプと判明、無治療・対処療法、2014年より抗癌剤治療、巨脾へ放射線など治療開始。2015年夏左上眼瞼にメルケル細胞癌発症、眼瞼切除、再建手術、16年にかけて放射線も耳下腺に転移、郭清術、放射線治療中に再発、左眼球ごと摘出・皮膚移植。転移再発治療中ながらまだ生涯一編集者として生息中。
二十余年の東京在住ののち、07年から京都在住。09年5月、愛妻=漫画家・やまだ紫を脳出血で失った。
やまだ紫クロニクル

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