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2005-03-27(Sun)

「出版不況」--細く長〜く…ではダメか? 補2 復刻ものが面白い

 かつての名作漫画の復刻ブーム…というか、発掘ブームが相変わらず続いていて面白い。
 特に嶋中書店では、「アイランド・コミックス」シリーズとしてコンビニ売りの廉価版からスタートし、今では同シリーズ約130タイトルに書店売りの「Special」「Select」が加わってラインナップがより充実し、そのセレクションもなかなかマニア心をくすぐるものになっている。
 こうした復刻ブームについてはチラと前に「出版不況」--細く長〜く…ではダメか? その6でも触れたとおり、『あえて悪い言い方をすれば「早い者勝ち」』でのタイトル争いの様相を呈している。それでいい、と思っている。
 例えばアイランド・コミックスPrimo Selectの最新刊は『サインはV!』(神保史郎作・望月あきら画)だけど、現行で読めるのは今のところ今回の嶋中書店版だけだ。
 中央公論社から98年に出た藤子不二雄Aのマンガ黒澤明時代劇『用心棒』も、このシリーズで読める。かつての名作の復刻、というと『サインはV!』のような作品をイメージしがちだけど、本のサイクルが短くなり、買おう買おうと思っていたらつい…なんて間にすぐ「品切れ」になっちまうような時代になって、このような復刻は実にありがたい。最近ではこのPrimoシリーズであの名作『T・P(タイム・パトロール)ぼん』(藤子・F・不二雄)が全5巻で復刻されたのが嬉しかった。ビッグネームの埋もれた名作もいいが、俺たちにしてみればもっとビッグネームでさえある水木しげる御大やつげ義春作品まで入っているのにも感心。自分も関連のお仕事いただいたりしたので余計ヨイショ気味(笑)だけど。
 復刻は、誰もが知っているビッグな作品という道が一つ。誰もが知っているビッグな作家のビッグな作品は現行商品で入手できる場合が多いけれど、失礼ながら「一発屋」気味の作家さんのビッグな作品は意外と見落とされていたりすることがある。
 次はビッグな作家の、知られざる名作。藤子F先生の『T・Pぼん』なんかはこれに当たるかも知れない。藤子F先生は『ドラえもん』で知らない人はいないだろうが、この作品自体は若い人は知らないだろう。だが実に面白い、今読んでも。
 さて、ビッグネームではない作家の一発当ててもいない、けれど名作と言うにふさわしい作品。ここが狙いどころだ。ここを発掘するのが一番難しいのではないか。具体的に名前や作品を挙げるとビッグじゃないとか言って失礼なのでアレですが(笑)、ここは宝の山ですぜ旦那。誰に言ってるよ俺。
 けれど、片端から復刻すりゃあいいってもんじゃない。「出版不況」シリーズでつらつらと考えてきたように、「何を今の読者に提示するか」つまり「何を読み継がれるべき作品として復刻するのか」の選定は、その版元や編集のセンスにかかっている。
『ブラック・ジャック』のような誰もが認める名作=ビッグネームのビッグな作品は、版元も質にも責任を持って出せるし、商売を考えても今の数多あるコミックと比べてもガチンコで戦えるから、途切れずに出し続けていられる。要するに言い方は悪いが「安全牌」だ。
 復刻ものを担当しているある版元さんの編集さんと話したことがあるが、実はこうした復刻もの、売上データにえらくシビアだという。作品をセレクトする場合に、安全牌作品ではないもの、つまり編集が独自にそのセンスと嗅覚で「発掘」し企画を上げ、復刻にこぎつけたようなものは、ギャンブルに近いという。そしてその結果は100%、数字で評価される。「あんまり売れなかったけど、いい仕事したよ」なんて言葉はかけられることは全くなく、「お前がいいって言うから出したら売れねぇじゃねえか、もっと売れるの見つけてこい!」だ。
 ビッグな「安全牌」を持たぬ、言ってみれば隙間を狙う版元ほど、こうした復刻の選定に命運がかかっている、というか売上の依存度・比重がかかるから、それはそれは数字にシビアなのである。
 ただ読む側からすれば、「今」この瞬間に巷に溢れている同時進行ものの漫画作品だけではなく、同時代に読むことができなかったさまざまな作品を読めるのは嬉しいこと。知らなかった名作に触れるということだけでなく、意外なところに好きな作品のルーツを発見したり、違う側面を発見したり、楽しみは多い。
 残念なのは、この復刻ものも、その「寿命」が短いことだ…。
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コメント

いつもどうも

「エースをねらえ!」、中学生の頃にハマってました(笑)。よく岡ひろみを模写して、とクラスメートに頼まれて描いたりしてました。
「続」の方は、後に山本鈴美香先生が宗教方面へ行くのが何となく解るような、そんな雰囲気が感じられますね。宗方コーチの親友の大悟が僧侶だったり。スポ根少女漫画の王道的な正編からのギャップは確かに大きかったけど、あれはあれで凄くいい作品だったと思う。いろいろ考えさせられたしなあ…。

注文しちゃいました

「サインはV!」を思わず。。。
嶋中書店版はサイトを見ると、表紙デザインがいい感じですね。あの表紙を見るとやっぱり読みたくなっちゃいます。

最近の昔マンガで面白かったのは、「エースをねらえ!」と続編です。正編は王道ものなんだけど、続編の方は物凄く深いですね。切ないというか。。。
岡ひろみを抱きしめてやりたくなります。「岡ひろみ萌え~」になったらどうしようとマジで心配しちゃいました、自分を。

復刻もの

絵が古臭いとか直球すぎる、みたいな批判を昔の漫画に向ける人がたまにいますが、そうした先達があって、少しずつ漫画表現は切り拓かれてきたはずですよね。ルーツや時々のエポックとなる名作の数々は、時代を経ても読み継がれるべきだと思います。
嶋中書店さんでいうと「サインはV!」ですが、やっぱ面白いっすね(笑)。

いいですね

復刻漫画で昔の名作を勉強してます。
今の大手が出している漫画、もちろん面白いものもありますが、定型化しているというか、「構図」が昔とおんなじなんですよね。わたしがこどもの頃読んでいたものとどっか似てるっていうか。
キャラが変わっただけっていうか、モチーフ(っていうのかな)が変わっただけっていうか。マーケティングとかいうことで漫画の方向性を決めてるだけだから、結局変わらないんでしょうね。
その時代、その人じゃないとできない表現っていうのをもっと見たい気がします。
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シラトリチカオ

Author:シラトリチカオ
白取千夏雄/編集者。1965年函館市宝来町生まれ。元青林堂「ガロ」副編集長、97年よりフリー編集者・ライター・Web構築・管理他なんでも屋と、専門学校・大学講師など。
2005年夏、白血病告知・余命宣告を受けるが「慢性リンパ性白血病」に近いタイプと判明、無治療・対処療法、2014年より抗癌剤治療、巨脾へ放射線など治療開始。2015年夏左上眼瞼にメルケル細胞癌発症、眼瞼切除、再建手術、16年にかけて放射線も耳下腺に転移、郭清術、放射線治療中に再発、左眼球ごと摘出・皮膚移植。転移再発治療中ながらまだ生涯一編集者として生息中。
二十余年の東京在住ののち、07年から京都在住。09年5月、愛妻=漫画家・やまだ紫を脳出血で失った。
やまだ紫クロニクル

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