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2005-03-30(Wed)

■辛いものファッショ

 最近なんでこう何でもかんでも辛くするんだろうか。
 カプサイシンに痩身効果があるとか聞いた女子高生が唐辛子を持ち歩くようになった、というニュースを目にしてもうずいぶん経つわけだが、自分たちが好きで辛くする分には勝手にやってもらえればいいので、文句はない。
 それと、最初から辛いものが普通である料理に文句を言う気はない。例えば韓国料理に多い唐辛子系のもの、キムチやチゲ鍋など。さらには中華の担々麺や、辛いのが当たり前の四川料理のものなど。こういうものに対して「辛いじゃないか!」と文句を言うのは脳がちょっとアレな人だと思うし、そもそもその料理が辛くて当たり前なので苦手なら頼まなければよろしい。100倍激辛カレーなんてものに挑戦しといて「辛くて死にそうだ」とカンカンに怒る人はおるまい。

 俺が言ってるのは、そもそも辛い味がデフォルトではないもの、日本料理に多いそうしたものにまで「最初から有無を言わせず」香辛料が入っているものに、腹が立つということだ。うどんやそばは、出汁の味を楽しむものだろう。それに最初から七味がドカッとかけてあったり、頼んでもいないのに勝手に鍋物のつけ汁に「もみじおろし」が入っていたり。
 そもそも調味料は、個人が自分の好みで、好きなだけ「調味」できるように置かれている。カラシやわさび、七味といった香辛料は繊細な味をより深めることも、台無しにすることもできる。その文字通り匙加減を、食べる人の好みで行えるように、別に盛り付けたり、客の手元に好きなだけふりかけられるように置いてあるものだろう。
 先日、連れ合いの調子が悪いのでデパートの地下で夕飯用のお惣菜を何点か買った。肉じゃがと餃子。肉じゃがを家で暖めて器によそって食べると、舌がひりひりする。見ると七味が入っていた。肉じゃがって料理には、唐辛子が入っているのが当たり前だったか? 別な店で買った餃子に醤油をつけて食べると、ラー油も使っていないのにピリピリと辛い。見ると具に唐辛子が練りこんであった。拷問に近かったが腹が減っていたので我慢して食った。もう何度もこんな経験をしている。
どん兵衛
 極めつけはカップ麺の「どん兵衛」。今(2005年冬現在)中居君が宣伝している定番のアレだが、天そばを作って食ったら粉末スープにたっぷり唐辛子が入っていた。辛くて食えねえ。宣伝では中居君がうまそうにすすっているスープには、赤い粒は一切浮かんでいない。だが作ってみたらたっぷり…というわけで、二度と買うまいと思った。貧乏性なので勿体ないと思い唐辛子の粒をよけながら食ったが、汗だの涙だの鼻汁だの、顔から変な水がたくさん出てきて往生したよ全く。ちなみに「赤いきつね」はちゃんと粉末スープと七味が別に分けてある。普通そうだろう、蕎麦屋に入って普通のそばを頼んで、最初からスープに七味がいっぱい浮いていたら店主呼びつけて叱るだろうが。

 何でそんな程度の辛さに目くじらを立てるのか、と思われるだろう。実は俺も十年くらい前までは辛いものは全然平気で、というより辛いものが大好きだった。家族がカレーを食べる時も、自分の分だけ辛みを強くしたのを別に作ってもらったほどだ。キムチもわざわざ近所の朝鮮人のアジュマが作っているのを買ってきて、白いご飯に残り汁まで垂らしてバクバク食っていたし、焼肉屋では締めにユッケジャンを食っていた。
 どういうわけだか知らないけれども、十年くらい前から舌の粘膜が弱くなり、今ではたった一粒の七味唐辛子が載っただけでひどい痛みを受けるほどになった。十年くらいの間に少しずつだったので、気がついた時には辛みに物凄く弱い人間になっていたのだった。わさびや和がらしも唐辛子ほどではないものの、それでも昔と比べると耐性が極端に悪くなっている。原因は解らない。何軒かの皮膚科や内科などにも通ったが、それぞれ言われることが違い、それぞれ結局治すこともできず原因も解らなかった。曰く「肝機能が衰えたのが皮膚に出た」曰く「歯の詰め物の金属が末端に蓄積したのでは」曰く「体質が変わったんでしょう」…いいから解決してくれ、と思ったがな〜んの解決にもならず今に至る。ま、医学なんてそんな程度のもんだが。
 とにかく舌に限らず粘膜が弱くなったのは事実で、薄曇りくらいの日でもまぶしさを感じて目がショボショボするため、度つきサングラスが欠かせなくなった。そればかりか手や足の表面の皮も薄く、赤くなった。とりわけ舌の方は困ったことに、辛いものに極端に弱くなってしまった。ほんのひとかけらの唐辛子が舌についただけで舌に痛みが走り、知らずに食べた時は激痛が走り大量の汗が出る。もちろん嚥下し舌の上から唐辛子が消えた後は何でもないし、そのほかの味覚にはむしろ敏感になったくらいで、障害はない。
 実は人間の味覚に「辛み」などない。「辛い」というのは、要するに「痛み」だそうだ。痛さに鈍感でなければ、あれほど大量の唐辛子で真っ赤になったものなどとても食えない。わさびや和からし、山椒などの辛さは唐辛子のものとは性質が違うらしく、あれほど唐辛子を好む朝鮮の人たちも、意外と性質の違うこうしたものの辛さには弱いと聞いた。自分の場合は唐辛子の「痛み」に極端に弱いらしい。

 繰り返しになるが、別に辛いものを好んで食べる人の趣味趣向には何の文句もない。辛いと知り、辛さを望んでいるわけだから、個人の自由意志による選択だ。だが世の中には辛いものを好まない(食べたくても食べられない)人もいる。その「調味」のために調味料がある。香さも香辛料によってお好みで調節できるようになっていた。それがいつの間にか、少しずつ世の中が大雑把になり、最初からブチ込んじまえ、という方向になっているような気がする。気がする、というより実感している。
 牛丼屋に入ると、若い人が信じられないくらいの七味を20振りくらいかけているのをよく見る。牛丼の上は真っ赤っ赤。別な店では定食の味噌汁に七味を大量に入れる人を見たこともある。日本料理って唐辛子がデフォルトでかかっているようなもん、あったっけ? …ともかく辛いものが苦手な人もいる、という簡単なことを忘れないで欲しいし、料理を作る側にそういうことまで考えられない大雑把な人間が増えていることが情けない気がする昨今である。
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シラトリチカオ

Author:シラトリチカオ
白取千夏雄/編集者。1965年函館市宝来町生まれ。元青林堂「ガロ」副編集長、97年よりフリー編集者・ライター・Web構築・管理他なんでも屋と、専門学校・大学講師など。
2005年夏、白血病告知・余命宣告を受けるが「慢性リンパ性白血病」に近いタイプと判明、無治療・対処療法、2014年より抗癌剤治療、巨脾へ放射線など治療開始。2015年夏左上眼瞼にメルケル細胞癌発症、眼瞼切除、再建手術、16年にかけて放射線も耳下腺に転移、郭清術、放射線治療中に再発、左眼球ごと摘出・皮膚移植。転移再発治療中ながらまだ生涯一編集者として生息中。
二十余年の東京在住ののち、07年から京都在住。09年5月、愛妻=漫画家・やまだ紫を脳出血で失った。
やまだ紫クロニクル

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