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2009-09-05(Sat)

月命日と、誕生日

9月5日(土)

本当ならば、今日は三津子の61回目の誕生日のはずだった。
たぶん、生きていればお昼は何か食べたいものがないかと聞いて、それを食べに出かけて、散歩がてら買い物へ三条あたりまで歩いたりして、プレゼントを買う。そしてあちこち歩いた後、ちょっと一休みで喫茶店へ行くか、はたまたパチンコなんかちょっと弾いたりして、夕方には明青さんで一杯…。
きっとこんな感じで普通にお祝いをし、過ごしたことだろう。

夕べはなかなか寝られず、2時過ぎにようやく寝られた。今朝は8時前には目が醒めていたが、朦朧とした感じで、結局10時過ぎまでベッドにいた。
下へ降りて朝のことを済ませ、パソコンを立ち上げる。夜に寝られずに更新したブログを見る。夜に書く文章は経験上、恥ずかしいものが多い。もう一度ブログを読み返すと、やっぱりこっ恥ずかしいことを書いている。でも本気で思ったことでもあるので、そのままにする。

朝飯を食べる前に、まず下のI内科クリニックへ行く。もうレンドルミンが切れてしまうからだ。買い物もあるので、自転車の空気入れを持って行き、自転車置き場の自分の自転車の脇に置いてからクリニックへ入る。
患者さんが2人居たが、一人は会計待ちの人で、もう一人女性が待っていたが、なぜか俺の方が呼ばれたので、診察室へ。
I先生に「お変わりありませんか」と言われ「はい、おかげさまで…ただ、夜寝られないことが多くなりまして」と相談。
今、寝る前にレンドルミンを2錠飲んでいるが、それでも明け方あたりで目が醒めてしまって、悶々とそのまま寝られないことが多い。
こないだはあまりに苦痛なので思わずロヒプノールが残っていたので併せて飲んだら8時過ぎまでほとんど切れ目なく寝られた、と報告。
I先生は「ロヒプノールかあ…! あれはちょっとなあ…」と言われる。「強いんですよね」と言うと「そうですねえ、ちょっとお奨めしませんねえ」とのこと。
「薬というものはね、だんだんと耐性がつくと言うか、効かなくなってくるものなんですよ。だからといってね、じゃあ次はこれ、次は…って強くしたり増やして行くと、それこそマイケル・ジャクソンみたいなことになるわけでね」と言われる。

ていうか、基本的に自分に処方された薬剤以外を飲んではいけないのだし、普通の先生なら「そんなもん飲んじゃあかんやろ!」と怒られても不思議ではない。
I先生は俺の状況を良く知っておられるのと、優しい方なので、「じゃあ、追加ということでベンザリンというのを出しておきましょう」ということにしていただいた。
それから最近、朝に痰が絡むことがあるというと、聴診器で肺の音などを聞いていただいて、去痰薬も処方していただく。
めまいは幸い、夏の間は治まってくれていることが多く、薬がまだ残っているので今回は無し。「かかりつけ医」が同じマンションにおられるというのは、本当に心強い。
慢性疾患というか、自分のようなとんでもない病気を持っていると、日常色々と不安もあるものだ。増して連れ合いを亡くした後は、寝られなくなったりもした。寝られないどころか、一週間ほどほとんどモノが食べられなかった。
しかし「不眠」というのは、運動などをして体を適度に疲れさせ、自然に寝られるのが一番いいということ。けれど俺の場合は重大な病気を持っているので、健康な人のように外で運動するのは危険でもある。何せこれだけ巨大化した脾臓では何かがぶつかったり、あるいは転倒しただけでも大出血の怖れがある。
こういう「諸事情」をご理解いただいているのが、心強い。

白血病という病気になってから、自分の病気がどういうもので、出ている症状がどうで、どういうことになるとまずいのか…等々、とにかくヒマさえあれば徹底的に調べて勉強した時期があった。あれからもう4年になる。
医学は日々進化しており、例えば脾臓も、近年までその役割の全てがよく解っておらず、不要な臓器とさえ思われていた時代もあった。しかし、近年は免疫に関係する「らしい」ということが解り始め、「Science」誌の7月31日号では、マウスの実験で、脾臓には血液よりも多くの単球が貯蔵されていることが判明し、体の免疫力、修復力に極めて重要な役割を持っていることがほぼ、確実となった。

つまり、単球とは白血球細胞の一種だが、これまでは(俺の癌が巣くっている)「骨髄」の中で生成されて、体内を循環している(循環しながら保存されている)と考えられていたのが、実はその血液の十倍以上の単球が脾臓に貯蔵されているというのだ。
簡単に言うと、これ=脾臓を取ってしまうと、手術などからの「回復力が大幅に落ちる」という言い方が出来る。
脾臓はもし破れたり切れたりしても、修復が極めて難しい臓器であることは、従来から解っていた。
以前手術の際に執刀していただいた京大病院のO准教授(肝・胆・膵・移植外科)からお聞きしたのだが、もし傷つけてしまった場合、脾臓自体を縫合すること=つまり針に糸をくくって臓器をちくちくと通常のように縫い合わせることが出来ないのだ。
脾臓が切れたり破けたりすると、血がじわじわ沸いてくる。普通はそこへ向かう血管をとめ、縫合して止血する。けれど脾臓は大きな血管が通りたくさんの血液が循環している、スポンジの塊のような臓器だから、完全な止血自体が困難。縫合するために針を入れると、またそこから新たに出血する。だから、ボクサーが打たれて…とか交通事故などで脾臓が損傷を受けると「即、摘出」となるのはそういうことだ。
脾臓が腎臓の左上あたり、通常なら肋骨に守られているのは、やはりそういう「ダメージに弱いから」ということもあるのかも知れない。人間の体はちゃんと、大切で弱いものは肋骨で囲んで守るように出来ている。
ナショナル・ジオグラフィックによると、こういう発見は例えば「盲腸」つまり虫垂が役割不明の時代、役立たずと言われていたのに、実は「食料の消化を助ける善玉菌の貴重な貯蔵庫だった」ことが判明した例を挙げて
「虫垂は、非衛生的で寄生虫の多い環境に合わせて進化した結果だ。下痢性疾患が当たり前のように広がる地域では、病後の腸内善玉菌の回復に虫垂が欠かせない」というデューク大学医療センターの助教授の話を紹介している。
脾臓も、免疫力に関係している「らしい」ということまでは、30年も前から第二次大戦の帰還兵の調査で判明していた。脾臓の有無で心臓病や肺炎にかかるリスクを調べたら、無い場合が何と二倍以上高かったという。
自分の場合、脾臓が肋骨に守られるどころか骨盤に至るまで巨大化してしまったので、もはや摘出術そのものが命に関わる重大事となる。なので、考えたら日常腹部を保護するアメフトや剣道のような「防具」をつけて暮らした方がいいくらいだ。自転車だって衝突や転倒は危ないし、怖い。

繰り返しになるが、I先生は簡単に「眠れないから睡眠薬を出しましょう」と言って下さっているのではなく、あくまでも、こういう俺の病気のことをご理解いただいているので、そういう対処をいただいている、ということはご理解されたい。
メンタルケアという意味でも「配偶者の死」はストレスでは最も高い状態で、それによる不眠は他の病気の元にもなりかねない。アタマでにわか仕込みの勉強をした理解があっても、それでも、俺も彼女の死をまだ乗り越えられていない。
白血病で免疫力が低下している、脾臓は信じられないほど巨大化している、配偶者の死で不眠状態にあるが、健康な人のように運動で快眠というわけにはいかない…という特殊な事情を鑑みて、ということなので、くれぐれも医者に言えば簡単に薬が貰えるという「誤解」のないよう、お願いしたい。

I先生に御礼を言って、会計を終えてそのまま並びの薬局に向かう。処方箋を渡すとレンドルミンが足りないそうで、取り寄せたらポストへ入れておいてもらうようにした。I内科、調剤薬局ともにマンションの玄関から「数歩」のところにあるので、もの凄く有り難い。

自転車置き場で自転車の後輪と前輪に空気を入れてから、ポストに入っていた新聞と村上知彦さんからのハガキを持って、いったん部屋に戻る。空気入れと薬などを置いて、改めて買い物に出た。
自転車はこのところタイヤの空気が抜けてどうにもペダルが重かったが、空気を入れてサドルをちょいと高くしただけで、もの凄い快適に走るので爽快。とはいえ衝突や転倒は自分の場合死に直結するおそれがあるので、交差点などは慎重に確認しつつ漕ぐ。

一乗寺にあるスーパーで、いつものように今日〜明日のものを買った。
今日は三津子の月命日、生きていれば誕生日なので、何かおいしいものはないかと探す。すると生さんまでいいのがあったので、一匹買うことにした。さんまは目を見れば新鮮かどうかすぐに解るのだが、赤くなっておらず透明で、油ものっている。これを焼いて食べようね、と心の中で思う。総菜類と、彼女が好きだったこし餡の小さなまんじゅう、花も買った。
この頃になるともう外はけっこう陽射しが強く、汗だくになるかと思ったが、自転車が軽快なので汗をかく前にさーっとマンションに到着。それにやはり、徐々に秋が近付いているという空気も感じる。

今日村上知彦さんから届いていた残暑見舞いのハガキは、過日こちらがお出ししたものへの返信。こちらが出した時、遺品を整理していたら、やまだと近藤ようこ、村上さんたちが数人で「交換日記」をしていたのが見つかった、と書き添えた。今日届いたハガキでは、
「見つかったということは、読めということかも知れませんね。お手数ですが送って下さい」とあったので、3〜4冊出て来たのをまとめて送るように、手紙も添えて梱包する。
若い頃の日記って人に見られたら絶対に死にたくなるようなものだろうけれど、「交換日記」とは人に見られることを前提としたものなので、今で言えばチャットやSNSみたいなものだ。なので、村上さんも懐かしく読まれることと思い、お知らせした次第。

夜は三津子に旬の焼きさんまやご馳走を陰膳して、晩酌。
月命日と誕生日
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シラトリチカオ

Author:シラトリチカオ
白取千夏雄/編集者。1965年函館市宝来町生まれ。元青林堂「ガロ」副編集長、97年よりフリー編集者・ライター・Web構築・管理他なんでも屋と、専門学校・大学講師など。
2005年夏、白血病告知・余命宣告を受けるが「慢性リンパ性白血病」に近いタイプと判明、無治療・対処療法、2014年より抗癌剤治療、巨脾へ放射線など治療開始。2015年夏左上眼瞼にメルケル細胞癌発症、眼瞼切除、再建手術、16年にかけて放射線も耳下腺に転移、郭清術、放射線治療中に再発、左眼球ごと摘出・皮膚移植。転移再発治療中ながらまだ生涯一編集者として生息中。
二十余年の東京在住ののち、07年から京都在住。09年5月、愛妻=漫画家・やまだ紫を脳出血で失った。
やまだ紫クロニクル

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