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2009-09-26(Sat)

「カムイ外伝」映画化・白土先生の鼎談

9月26日(土)

最近は12時過ぎには寝て、朝方5時前後に目が醒め、あとは薄く眠って8時あたりで起きる…というパターンがほぼ定着している。規則正しいと言えばまあそうとも言えるかも知れない。

朝、目が醒めてどこも痛くない。普通に起きられる。
こんな何でもないことが、有り難いと感じられるのは、間違いなく「病気のおかげ」だ。自分の病気もあるのだが、連れ合い…三津子もここ十年ほどはずっと、病気に苦しめられてきたこともある。

自分には何も誇れるものも成し遂げたこともなく、連れ合いに先立たれてしまっては何を目標に生きるのか。そう自問自答する日々が続いたし、今でもそういう気持ちが時おり頭をよぎるけれども、結局は
「生きているのではなく、生かされていること」
に感謝することへ帰着する。
つまり、まあ生きていられるということそのものが、生きるということでもあるということだ。禅問答のようなこういうことを、ベッドの上で半身を起こして考える。
毎朝目を醒まし体を起こすと、松ヶ崎の山肌に浮き上がる「法」の字と、東北にそびえる比叡山の山頂を見ることが出来る。癌に冒されていようが、朝無事に目が醒めてこうした環境に居られることに、感謝以外の何があろうかというものだ。

朝のことはいつも通り済ませて、買ってあった明太子のおにぎりとお茶。今日は仕事が空いているので久々に読書というか、雑誌を読む。

シマちゃん「文藝春秋」10月号、『カムイ外伝』映画化にちなんで白土三平先生が崔洋一監督、田中優子法政大教授と鼎談をしている。
内容よりも何も、白土先生がお元気でおられることに感激した。導入で「俺がそこの海で捕ったタコの刺身です」なんてテーブルを指さして話されている箇所など、自分が伺った時のことと鮮明にダブる。
白土先生は俺が「ガロ」時代に当時の山中社長とインタビューにご自宅へお伺いした際も、実は時おりダイビング雑誌に登場するなどのご壮健ぶりであった。
その時は「これは俺がそこで潜って捕ってきたトコブシですよ」と、やはりこの鼎談の冒頭のように奥さんが煮付けてくれたトコブシその他の海産物をふるまって下さった。それからビールを飲みながら、カムイ伝の話や当時はまだ健在だった長井さんとの思い出話から、夢のような時間を過ごしたことを思い出す。
この鼎談でも語られているように、白土先生は「付け焼き刃」と謙遜されているが、「カムイ伝」にしても忍術ものにしても、時代ものを描くにあたって、もの凄い勉強をされていたことが印象に残っている。当然ながら漢文体で書かれた資料を読んだり、文献を大変な苦労をして調べ、作品を作り上げたというお話は、今でもその迫力ある、文字通りこちらの胸に響くようなお声と共に、記憶に刻まれている。
崔さんや田中さんら、学生運動を経験した人たちが白土先生を勝手に「左翼」と誤解していた話も、やはり当時白土先生から「皆から勝手に誤解されていた」とお聞きした覚えがある。
例えばこの鼎談中でも、北小路敏(中核派の指導者)が突然白土先生のアパートを訪ねてきた時に、
「てめえらみたいにケンカばっかしで、殺し合いやっててもしょうがないじゃないか」と言って追い返した話などは興味深い。
イデオロギーがどうだ、左翼だ右翼だということではなく、「真理」の強さがそこにある。学歴など関係ない、無学だろうが何だろうが、こうした「解っている人」には、そういった真理を語る強い「ことば」がある。
そういう部分に読む者がそれぞれ、時々の「自分」を重ね、何かを読み取って影響を受けたり、感動したりするわけだ。
ご本人はいたって普通に、謙虚に接して下さる方だし、別段「これからいいことを言うぞ」的な構えで言葉を発するわけではない。
だから鈍感な人間ならば気付かない場合もあるだろうが、時代を超えて残るべき「作品」を生み出す優れた「作家」には、こうした共通する「凄み」がある。
そう、やまだ紫もそうであったように。

…にしても、とうとう「カムイ外伝」である。永島先生の「黄色い涙」といい、よほどのバカの手にかからない限り、「ガロ」や「COM」時代の名作の実写映画化は「原作レイプ」的結果にはならないと思うが、松山ケンイチの「カムイ」は白土先生のお墨付きだ。
白土先生はマツケンを一目見た時に「彼は、カムイだ」と直感したという。役者としてこれほど力になることはないだろう。何と言ってもマツケンの演技力は若手俳優ではちょっと数段階次元の違う高みに一人立っている、という印象だ。久々に楽しみな映画ができた。

昼は冷凍ご飯を温めてレトルトカレー。テレビは見ないことにする、(つい先日書いたように)唐突にムチャクチャな映像を見せられるおそれがあるからだ。

その後本を読みつつ音楽を聴いたり猫トイレを掃除したりあれこれをやっていたら、アッという間に夕方になった。
6時前、青空と夕焼けが溶けるように混じり合う。
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シラトリチカオ

Author:シラトリチカオ
白取千夏雄/編集者。1965年函館市宝来町生まれ。元青林堂「ガロ」副編集長、97年よりフリー編集者・ライター・Web構築・管理他なんでも屋と、専門学校・大学講師など。
2005年夏、白血病告知・余命宣告を受けるが「慢性リンパ性白血病」に近いタイプと判明、無治療・対処療法、2014年より抗癌剤治療、巨脾へ放射線など治療開始。2015年夏左上眼瞼にメルケル細胞癌発症、眼瞼切除、再建手術、16年にかけて放射線も耳下腺に転移、郭清術、放射線治療中に再発、左眼球ごと摘出・皮膚移植。転移再発治療中ながらまだ生涯一編集者として生息中。
二十余年の東京在住ののち、07年から京都在住。09年5月、愛妻=漫画家・やまだ紫を脳出血で失った。
やまだ紫クロニクル

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