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2009-10-31(Sat)

入院2日目・決死の一時帰宅

入院2日目・10月31日(土)

昨日から夏のような暑さで、とにかく病室も暑くて仕方が無い。バイタルで熱を測るが、37度台と俺にしては高めながら熱があるわけでもない。
入院荷物も何も携帯すら無いままなので、下着は使い捨ての大人用オムツ、パジャマも洗濯のことを考えて病院から借りることにした。病院から借りると一日70円。一ヶ月入っていても2000円ちょいと、まあ洗濯の手間を考えたら仕方が無い感じ。たった一人で家族もいないと、こうして病気をした時にたちまち何もかも不便で困ることになる。
今日は予報では25度だというのを見て、自分の体感の方が正しいのだと安心。窓が開けられないのが辛い。といっても体を動かすたびに激痛が走るので、なるべくベッドの上にただじっとしているだけだから、窓の外の景色を見る余裕もないが。
テレビもずっと首だけを右に傾げて見るから、時おり左へ傾げて緊張をほぐしたりと、不便なことこの上ない。

テレビといえば、唯一財布以外に持っていた保険証に、去年手術で入院した時のテレビカードが2枚ずっと入ったままだった。その間何度も何度も病院へ来たというのに、とうとう清算せずに再び使うことになってしまった。
縁起が悪い、とよく言う。
こういうのは、スパッと清算しておかないと、こうして使うことになっちまうのかな…と考えたが、買い物にすら動けない今、このテレビカードがあって本当に助かったというのも本音で、複雑。

ガーゼ交換前にケロイド部分を洗浄しなければならないので、シャワーをすることになる。ベッド上で体を半身起こすのさえ、手すりにつかまって命がけでエイヤと激痛に耐えてやってるのに、シャワーまで行って、あまつさえ傷を洗うなんて考えただけで失神しそうだ。
と、今日の日勤担当ナースのN本さんに伝えると、じゃあ痛み止めを落として、効いてきたところで行ってみましょうとのこと。今のところ、ロキソニンでは完全に痛みを封じ込められていない。そのロキソニンも、6時間置かねば使えないという。
しかし昨日劇的に効いたソセゴンは一日2回まで使ってもいいそうなので、じゃあ半分ほど入れてもらい、効いて来たところでシャワーをし、残りを入れて、それが効いているうちにタクシーで自宅へ荷物を取りに行きたいと伝える。
ぶっちゃけて言えば、どうせ今日・明日は土日で先生がたも居ないから、患者が外出出来れば、それは医師が許可すれば何ら問題ない。
確認を取って貰うとOKが取れたので、ソセゴンを投入。4分の3ほど落ちたところで効いて来たので、起き上がる。
ベッド上にエイヤと半身起こせれば、痛み止めが効いてるということだ。効いてないと、手すりにガクガクつかまってまず左を下に転がるように体勢をかえ、そうして腕力だけで半身を起こさねばならない。
今のうちとばかり、病院のタオルを数枚借りて風呂場へ。

ガーゼを剥がす時にやはり痛かったし、シャワーも直接湯をあてるのは無理で、首のあたりから垂らしかけるように湯を廻していく感じながら。
風呂道具も何もないので、病院から借りたタオルに病室にあった手洗い用の洗剤を伸ばして、疱疹部分以外のところを流し、頭も洗う。完全ではないものの、久々に他の部分もさっぱりした。
脱衣所で体を拭き、紙おむつを半ケツまで上げたところでN本さんが「どうですか?」と聞いてくれたので、「大丈夫です」と答えてガーゼ交換してもらう。
昨日巻いて貰ったのを外したガーゼには、複数箇所から血膿が出ていて、自分の体に巻いてあったものとはいえ気色のいいものではない。発作的に小松左京の小説「件の母」を思い出した。
N本さんは外したガーゼを見て「ああ、けっこう出てますねえ…痛そうですね」と言いつつ、大きいガーゼを拡げてパイプ椅子の上でアズノールを滅菌された木へらで伸ばしていく。
ガーゼの表面にまんべんなく軟膏が伸ばされたのを、傷に背中から充て、こちらが抑えてる間にもう一枚同じものを作り、腹の方へつなげて行く。ここで一回テープで止めて、中くらいのガーゼに同じように軟膏を拡げたのを右の尻たぶと、臍の上あたりに被せて、全体をずれないようにテープで止める。これでガーゼ交換完了。
病室にある透明ビニール袋に脱いだ紙おむつと外したガーゼを別々に入れたのと、脱いだパジャマ、さらに軟膏など処置道具を持ってN本さんは「はい、お疲れ様でしたー」と先に出ていった。
いつもいつも思うが、本当に病院で働く看護師さんたちは大変だと思う。重労働だし、忍耐もいるし、精神的にも肉体的にも過酷な職場だと思う。誰でも患者になってみると、心底ありがたいと思うようになるだろう。

病室に戻り、いったんパジャマで4分の1ほど残ったソセゴンを落としきって貰う。それから点滴を再び外して貰って、病院に来た時の服に着替えて、財布を持ってそろりそろりとエレベータへ。
何とか行けるかも知れない。
ちょっと気のせいか目眩がするが、俺が行かねば誰も何もしてくれないし、そもそも入院していることすら誰も知らないのだ。
何とか正面玄関までたどりつき、タクシー中腰でまず家の近くの家電量販店まで行く。そこで入院中の仕事のため、e-mobileを契約して端末を受け取らねばならない。
週末なので店内は混んでいたが、係を呼び事情を説明し「すぐUSBの通信端末を契約して持って帰りたい」と伝え、契約の用紙などを書く。「設定に15分くらいかかりますが」と言われたので、マンションまで行って戻ってきて受け取ろうかと思ったが、薬が切れたらとても立っていられない。帰りここに寄れないおそれもある。モバイル通信環境がないと、仕事に穴を開けてしまうから、絶対にこちらは落とせない。なので店内でそのまま待つことにする。
いい天気というか陽気で人の出も良く、店内も忙しそうだ。こちらは暑くて汗が出て来るし、痛み止めのせいかアタマもぼーっとする。椅子に座ったまま、朦朧として15分から20分くらい経ってようやく「お客様、商品の準備が終わりましたので」と言われた。まるで1時間にも感じられるほど長く、辛かった。

とにかく痛み止めが効いているうち…と焦るものの、早足では歩けない。気持ちだけジリジリしながらようやくマンションまでたどり着き、まず猫たちのご飯を通常のご飯皿以外にボウルを出してたっぷり盛る。それから水もたっぷり3箇所ほどに用意。
そうして休む間もなく、クローゼット部屋からキャスター付のキャリーバッグを出し、バスタオル数枚、普通のタオル、前から用意してある「入院セット」(歯ブラシやコップ、箸やスプーン、筆記用具や鏡に爪切り、耳栓など)などを詰め込んでいく。
それから肝心のUMPC(ウルトラモバイルノートパソコン)とACアダプタ、マウス、USBハブなどをタオルにくるんで突っ込み、さっき受け取ったばかりのモバイル端末を箱から出してそれも入れる。脂汗が垂れる。
あと何かあったはずだ、ああ、そろそろ切れてきた! 痛みが強くなってきた。やばい、携帯だ! そう思って携帯と充電器を突っ込むのがもうやっと。それらを入れたキャリーバッグを転がし、最後に玄関に置いてある予備の鍵を持って、施錠して出る。
携帯には着信とメールが来ていて、俺に連絡がつかないと心配するゆうちゃんと、明青のおかあさんからだった。
もう入院の間のことは、明青のおかあさんにお願いする以外にない。友人も知人も身内も親戚も、誰もいない土地にたった一人なのを思い知らされた。
とにかく早く病院へ戻らないと、路上で動けなくなる。冗談抜きで、それほど痛みは強い。

すぐにタクシーが来たので手を挙げ、病院へ戻って貰った。病室へ戻り、持って来たものをてきぱきとセッティング。疱疹部分は全体が焼けるように痛み、腹部の皮膚を剥がした傷と、背中と脇腹の水疱を潰したところがズキンズキンと痛み出した。1時間も経たずに戻ったことになるが、ギリギリセーフという感じだった。
夜中、痛みで目を醒ましたくないので、寝る前にソセゴンを落として貰い、レンドルミンを飲んで寝る。
しかし結局この夜の睡眠時間は3時間ほどだった。
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シラトリチカオ

Author:シラトリチカオ
白取千夏雄/編集者。1965年函館市宝来町生まれ。元青林堂「ガロ」副編集長、97年よりフリー編集者・ライター・Web構築・管理他なんでも屋と、専門学校・大学講師など。
2005年夏、白血病告知・余命宣告を受けるが「慢性リンパ性白血病」に近いタイプと判明、無治療・対処療法、2014年より抗癌剤治療、巨脾へ放射線など治療開始。2015年夏左上眼瞼にメルケル細胞癌発症、眼瞼切除、再建手術、16年にかけて放射線も耳下腺に転移、郭清術、放射線治療中に再発、左眼球ごと摘出・皮膚移植。転移再発治療中ながらまだ生涯一編集者として生息中。
二十余年の東京在住ののち、07年から京都在住。09年5月、愛妻=漫画家・やまだ紫を脳出血で失った。
やまだ紫クロニクル

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