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2009-11-04(Wed)

入院6日目

11月4日(水)

前の晩は激痛のあとは汗びっしょりになり、夜中も寒くて3時間ほどしか寝られず。意地を張らずに布団を貰えば良かった。しかし病院内、日中は暑い。
朝は5時半に起きて、まずトイレへ行く。これがまだ重労働。何せ痛いので起き上がるのに一苦労、さらにベッドから降りて廊下を歩いてトイレへ行くのも重労働。戻ってきて寝る体勢に戻るのも、もう全てが大変。

外は快晴。テレビをつけると、この朝はこの冬一番の寒さだったという。なるほど寒かったのは汗をかいただけではなかったのか。というかもう季節は冬になったんだから、病室とはいえふとんも何もかけずに寝ている方がおかしいのか。しかし日中は気温が上がるという予報で、結局布団は貰わないことにした。
シャワーは午前中に浴びる人が少なく、ゆっくりできるそうなので、急遽9時からの点滴を落とした後、10:30〜11:30と1時間取ってもらい、ゆっくり入っていいですよということになる。
俺の場合30分だと、体を洗ってからナースにガーゼ交換をしてもらう時間を考えると30分だとかなりきつい。なのでいつも15分くらいでちゃちゃっと洗って出て来ていたのだが、1時間取ってもらえると有り難い。
今日はゆっくり洗えて、20分以上経ってあがる。風呂には湯が張ってあるが、共用なので誰が入ったか解らないし、そもそもこの傷だと湯に浸かることは到底無理だが。
担当はTさんで、ガーゼ交換の処置もスムースに終了、部屋で落ち着く。

それにしても困るのは洗濯だ。下着類など毎日替えるものは、仕方が無いので使い捨ての紙おむつにした。けれどバスタオル、フェイスタオルは洗わねばならない。かといってトイレへの往復でも重労働なのに、タオル一、二枚くらいで洗濯室へ行って洗濯乾燥機を使うのも面倒だ。顔を拭くタオル、風呂で体を洗うタオルは毎日洗って干しておくが、バスタオルを洗うのがしんどい。
毎日掃除に来る係の人は病室の洗面台、蛇口なども綺麗に洗ってくれる。その後を見計らい、洗面台でバスタオルに手洗いの洗剤を染みこませて水でエッチラ洗う。それから絞るのが大変な作業。細くヒモ状にしてから、編み込むようにひねっていくと、水が絞り出されていく。蛇口のところへひっかけてぐいぐいひねっていくが、ある一定以上の力が痛みで出せない。限界まで何とか絞って、あとは仕方が無いのでパイプ椅子に拡げてかぶせるようにして乾かす。病室は乾燥しているから、これで翌日の風呂までには乾くのだ。
家のことをお願いしている明青のおかあさんは「洗濯物とかあったら言ってよ、そんなん一緒に洗えば済むことやし」と言ってくれるのだけど、この上そんなことをお願いするのは申し訳ないと思ってしまう。

その後データが来るのを待ち、昼を挟んで仕事をする。パソコンに正対して作業を出来ないから、脇の台に置いて開いたパソコンから、モバイル用のマウスを限界まで伸ばし、ベッドに仰向けに寝て右手も伸ばしたままのかたちで、首だけを傾げてマウスで操作する。
幸いこの日の作業はほとんどデータ変換とftpだったので、苦労しつつも2時からの点滴前には終了した。
途中、医師団のうち男性N先生が来て「やはりソセゴンは強いので効きますが、依存性と副作用を考えるとやめた方がいいと思います。今日の夜から薬を変えましょう」と言われる。
俺としては今のところ、もっとも痛みを和らげてくれるのはソセゴンなので、代わりのものが効いてくれるかは不安だったが、医師にそう言われては仕方が無い。
新しい薬というのはモルヒネの錠剤で、オキシコンチンという。もちろん麻薬扱いなので、使う量によってはソセゴンよりも一段上の効果が期待できる。そして俺のように「常に痛い」状態にある人には、その痛みをカバーし続ける底上げ的な使い方が出来るので、使ってみましょう、という。で頓服にはモルヒネの粉薬もあるので、痛みが強い時は出しますから、併せて使ってみてください、とのこと。
とにかく今はヘルペスウィルスを完全に駆逐し、ズタボロにされた皮膚表面の「糜爛」のケアが最優先。そして痛みは薬で抑えつけておくしかない。体表部の傷が治って安心しても、俺たちのような免疫力が低下している人の場合、抗ウィルス剤をやめた途端に再びウィルスが暴れ出して帯状疱疹を再発させることも多いそうだ。

水疱瘡を小さい頃にやる、その時のヘルペスウィルスは抗体で抑え込まれ神経の中で大人しくしている。それがだいたい20年ほど経つと抗体が薄れてくるが、その頃は体は一番元気な頃だから、普通のひとは余り帯状疱疹を発症したりはしない。中年以降に体が弱くなってくると発症したりする。で、水疱瘡をやった人がそうして大人になってから帯状疱疹を発症した人は、それが治るとほとんどの人はそれで終了だ。けれど10人に1人くらいは2度目があるという。しかし3度4度と繰り返す人はほとんどいない。
俺のような血液の病気や、糖尿などで免疫が低下している人、さらには抗癌剤治療中で免疫抑制下にある人は抗ウィルス剤の服用をやめた途端にウィルスが暴れ出し何度でも発症する場合がある。
まとめるとそのようなことです。

その後、お袋から明青さんにお礼に海産物を送ったよ、とメールが来たので返信したり。
猫たちは主がいなくなった部屋で日がな一日諦めて寝て暮らしているのか。時おりご飯と水を替えに来てくれるご夫婦に、俺かもと思って出て行ったシマは違うと知って二階へ駆け上がって隠れて震えているのだろう。そう思うと不憫で、じーんとくる。一度気分が落ち込むと鬱症状が出る。
ベッドの上で点滴につながれながら三津子のことを考えてしまう。彼女が何度も何度も入退院を繰り返していた頃は、個室へ入っていたことは手術の時以外はほとんどなかった。ほとんどが4人や6人といった相部屋で、彼女はよく同室の誰それさんがうるさいとか、食事中にわざとおまるで用を足すとか、ナースに文句を言ったら意地悪をされたとか、しょっちゅう不満を訴えてきた。
たった2人の相部屋でさえ、相手が合わない人だと、一挙手一投足が不快なストレス源となる。冗談抜きで、頭がおかしくなりそうなほど、ストレスを感じることもある。
彼女を差額ベッド代の高い個室へ入れてあげることがなかなか出来なくて、本当に可哀想なことをしたと思う。つくづく、相手の身になって理解してあげることが出来ず、済まなかった…。色々思い出したら泣けてきた。ごめんなあ。悪かった。君がどれほど辛く寂しい思いをしていたか、俺は今たった一人になってそれを噛みしめている。
情けない、自分が不甲斐ない。体を清潔に保ち、弱い免疫力を何とかこれ以上落とさず、俺が一日も長く生きることを祈ってくれていた今は亡き三津子の気持ちに報いることが、俺の使命じゃないか。
なのにダラダラとこんなことになってしまって、情けない。申し訳ない。
昨夜の地獄のような経験は、きっとそのことを戒めていたのだろう。知らしめてくれたに違いない。
病室で一人、涙が止まらない。
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シラトリチカオ

Author:シラトリチカオ
白取千夏雄/編集者。1965年函館市宝来町生まれ。元青林堂「ガロ」副編集長、97年よりフリー編集者・ライター・Web構築・管理他なんでも屋と、専門学校・大学講師など。
2005年夏、白血病告知・余命宣告を受けるが「慢性リンパ性白血病」に近いタイプと判明、無治療・対処療法、2014年より抗癌剤治療、巨脾へ放射線など治療開始。2015年夏左上眼瞼にメルケル細胞癌発症、眼瞼切除、再建手術、16年にかけて放射線も耳下腺に転移、郭清術、放射線治療中に再発、左眼球ごと摘出・皮膚移植。転移再発治療中ながらまだ生涯一編集者として生息中。
二十余年の東京在住ののち、07年から京都在住。09年5月、愛妻=漫画家・やまだ紫を脳出血で失った。
やまだ紫クロニクル

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