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2009-11-15(Sun)

入院17日目

11月15日(日)

もうすっかり外は秋が深まっている。いや、いる様子なのが見てとれる。
気がつけばもう入院してから半月以上が過ぎた。もう消灯時間をまわったので暗い二人部屋のベッドの上でUMPCを打っている。
入院してからこれまでの記録は全てボールペンと紙、クスリの袋、買い物に行けるようになってから買った大学ノートなどに取ってある。信じられないような帯状疱疹の「激症化」のさなかでさえ、記録魔としては何とか残しておこうと必死でそこらの紙に脂汗を垂らしながら走り書きをしていた。
ここ数日はもっぱらノートにボールペンだが、自分がもう筆記用具で長く自筆モノを書くという行為さえ重労働になってしまったことに愕然としている。
入院してからのこと、疱疹の経過などは日付を遡って時系列にいずれアップしようと思っている。今のところ、リアルタイムで当ブログをアップしたのは入院以降この記事が初めてだ。

とはいえ別段何を書くわけでもないのだけど、まあ、生きてますよ、あと日に日にちょっとずつだけど良くはなってますよ、というご報告。
こう見えても(?)本当にたくさんの人が「大丈夫ですか」「その後いかがですか」とメールなどで聞いたり心配して下さる。
俺は「書くこと」によって生きられて来た人間だし、記録をやめる、書くことをやめる時は恐らく生きる気力や体力が、そして生命そのものが無くなった時だと思うから、こうして記録は出来るだけ残そうと思っている。

病院というところは病気になってしまい、入院加療が必要と判断された人たちが否応無しに入っているところだ(、普通は)。だから誰も長く入っていたいとは思わないし、そもそも日常から切り離されて病室という異空間に居なければならないことが、「病気」に次ぐか、あるいはそれ以上のストレスになっている場合が多い。
例えばこのような「相部屋」だと、全く関係なかった人たちがいきなり本人同志の意思確認も何もなく突然、寝食を共にせよと強制的に狭い空間に押し込められることになる。
誰でもどんな人でも、パーソナルスペースというものをぼんやりと持っていて、大小の幅はあれどそれを他人に侵されたり共有させられたりするのは不快なものだ。しかも病気というストレスを抱えた上に、さらにそのストレスが加えられるのだから、溜まったものではない。
こんなことでもなければ一生付き合うことのないだろう、わがままなクレーマーのごとき人間や、食事の際にくっちゃくっちゃ咀嚼音を響かせる人、ゲアッとかウグファッとか口から発しているとは思えぬ音をたてながら飯を食う人、さらには本当に口ではなく尻の穴から大きく長いガスを音をたてて発する人さえ、いる。飯を食いながら、だ。
これらはコントでも何でもなく実際の話であり、こういうことを気にすれば「神経質すぎる」「そんなんじゃどこ行っても暮らしていけないよ」とこっちが悪いかのように言われるのがオチである。大前提が間違っているような気がするのだが、そもそもそういったおおざっぱな言動を是とする人たちにとっては、マナーとか公共のなんちゃらとか、まあそういった意識がハナから欠落しているから、最初からかみ合っていないだけなのだ。
かみ合わせようとするから、齟齬が生じる。
夜は耳栓をし、普段はヘッドフォンでテレビか音楽で外の音を一切遮断する。ナースや医師が用事があって来る場合は呼ばれるから解る。それ以外は基本的にどうでもいいか関係ない情報なので遮断するのが一番だ。

考えてみれば今回、俺は連れ合いであった三津子がかつて罹患したために、すぐに自己診断で「帯状疱疹」であると解った。
解ってすぐ医師の診察を受け、投薬も受けた。
つまり「普通の人間ならこれで万全」であるという対処はしたものの、そこで欠落していたのは「俺が普通の人間ではなかった」という当たり前の認識であった。
免疫力が抑制とまではいかずとも、かなり低下していた自分にとって、ヘルペス=水疱瘡のウィルスは強敵なのであった。即刻入院し点滴で強力な抗ウィルス剤をブチ込んでいればここまで悪化することは無かっただろうが、そんなことを全く考えなかったこちらが無知すぎた。
どなたかが書いて下さったが、5月に最愛の連れ合いを亡くし、人生でもっとも辛く苦しい、悲しみと喪失感の中にずっと一人で居た。そこから何とか這い上がろうとして、毎日彼女に花と陰膳と線香を欠かさず、そのことを自分も何とか日々を乗り切るモチベーションとした。
もう一つは、彼女の大切な素晴らしい作品を世に残す手伝いをすることだった。これも原稿を一から全て整理し、打ち合わせを重ね、色々な算段をした。その他にも色々、本当に自分でも頑張りすぎたと思う。
帯状疱疹が発症したのが、まさしくその復刊第一弾である「性悪猫」刊行のさなかであったことが、象徴的であったと今は思う。
「白取さん、無理してたんだよやっぱり」
そう言ってくださる人はたくさんいるし、実際そうだと思う。
だがしかし、俺以外に誰が無理をし、誰が手伝って、誰がまっとうしてくれるのか?
だとすればこれは必定で、偶然なんてものはなく、流れの中で避けられなかったことの一つであろう。であればこのあまりにひどい仕打ち…痛み、苦しみ、ストレスの責め苦にも何かしらまた意味があるらしい。

生きるって本当に、面倒くさい。
心が折れそうになったことは一度や二度ではない。
そうしては誰かしらに励まされ、何とかふらふらとまた立ち上がる。
生きるってそんなことの連続なのか。だったらやっぱり、面倒くせえ。
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コメント

信田様

コメントありがとうございます。
「性悪猫」はじめ、やまだ紫作品に新たに触れる方が一人でも多くなってくれれば、こちらも嬉しい限りです。
先日共同通信でやまだ作品の復刊についてコラムが配信されましたが(地方紙などに掲載されました)、時代に媚びない分、古びないこういった作品を、もっともっと正当に評価して欲しいし、そういう世の中になって欲しいと切に願います。
もっとも、やまだ本人は「せけんなど どうでもいいのです」と思っているでしょうけど。
「漫画家になりたい人へ」はある意味自分の漫画編集者としての遺言みたいなものです。
やまだ作品をまっとうに評価できない漫画界、個性よりも売れてナンボ的な方向でしか評価できない世界にもう絶望に近いものを感じているのも事実です。

漫画を志しておられるのでしたら、自分の描きたいものとは何か、自分でなければいけない理由は何か、そういうものを探すのが、「作家」であると確信しています。
創作も、頑張ってくださいね。

はじめまして

前々からこちらのブログを拝見していました。
入院なされてからはtwitterのほうを覗いていたのですが
徐々に増えるつぶやきに回復のきざしを見て安心しています。

性悪猫はアマゾンのほうで購入させていただきました。短いページ台詞の中に濃密な何かを感じます。(私がまだ未熟なため上手く言葉にできないのですが・・・)
長い時間をかけてその何かを探っていこうと思います。

後、去年から漫画を描いています。白取さんの【漫画家になりたい人へ】の記事の言葉はとても参考になりました。ありがとうございます。

しんきらりも楽しみにしています。
はやく退院できるようお祈りします。

山田知恵子様

こんなことになってもまだ、生きていよと言うことは、「生きることそのこと」に意味があるのでしょうね、きっと。
猫たちの世話は、夫婦でお世話になっていた下鴨高木町の「明青」さんの渡辺さんご夫婦にお任せしています。
水やご飯をあげて下さるだけでなく、やまだに花や水を換えてくれたりしていただき、本当に有り難く思っています。
もうそれも3週間になりますので、火曜日の退院前の連休は外出許可を貰って、せめてご負担を前倒しで終えていただこうと思って申請中です。

頑張って下さい

以前鴨沢さんの情報を調べていて白鳥さんのHPに辿りつき、以来ずっと拝見させて頂いています。やまだ紫さんへの愛情がとても切ないまでに伝わってきて、陰ながら応援しています。
彼女が必ず守ってくれると思いますよ!
愛猫ちゃん達はどうしているのかしら。。
元気になられることを心から祈っています!

うてな様

ありがとうございます。
病気がストレスでその上入院生活もストレス、という構図がしんどいというのは事実ですね・・・。
こればっかりは格好つけても偉そうなこと言っても、「静養」とか「隠遁」で豪華な個室におかれて周囲に傅かれている状況でもない限り、嫌なものです、普通の感性なら。
で「普通の感性」じゃない連中もこれまた多くおりまして(笑)、それがまたストレッサーとして幅をきかせているのも、やはり社会の縮図なんですね。。。

はじめまして

以前よりこちらの記事を拝見しておりました

更新が途絶え心配していましたが
入院されていたとの事で、大変な状況にあったのですね
お身体の具合はいかがでしょうか?

生きる事は何かと面倒ではありますね
入院生活でのストレスも辛いでしょう

少しでも心穏やかな入院生活が過ごせますように、そして1日でも早く退院ができますように
陰ながら祈っております

たみ様

コメントありがとうございます。
病院に限らず、普段から口を開けたままモノを喰ったり、喰いながら大口をあけて喋る人が苦手です。他人のにっちゃくっちゃぺっちゃぴっちゃ音を肴に飯を食いたくはないものです。こういうことを言うと、言う方がまるで過敏である神経質過ぎる異常者であると見なされることが多いのですが、そのことにも驚きますね。

「性悪猫」はAmazonでも購入できますよ。それから「しんきらり」もそろそろ、発売となるはずです。またここでご案内させていただきます。よろしくお願いいたします。

Unknown

やぶからぼうに失礼致します。

自分も他人の「無神経な咀嚼音」にかなり弱いタチでして、
思わず書き込みをしてしまいました。
咀嚼音その他にも、町に氾濫する無神経な音にかなり弱く、
外出時はたいてい耳詮が欠かせません。

ただでさえ、体調のお悪い中、
そのストレス、はかりしれません。
早く良くなられますよう、
お祈り申し上げます。

「性悪猫」「しんきらり」大好きです。
古本屋の多い町に住んでおりますゆえ、
こまめに他の作品を探すのですが、
持ってらっしゃる方は、大事に、手放さないのでしょう。
まだお目にはかかれません。


どうぞお大事になさってくださいませ。
いきなりの書き込み、失礼致しました。
返信のお気遣い、無用でございます。


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シラトリチカオ

Author:シラトリチカオ
白取千夏雄/編集者。1965年函館市宝来町生まれ。元青林堂「ガロ」副編集長、97年よりフリー編集者・ライター・Web構築・管理他なんでも屋と、専門学校・大学講師など。
2005年夏、白血病告知・余命宣告を受けるが「慢性リンパ性白血病」に近いタイプと判明、無治療・対処療法、2014年より抗癌剤治療、巨脾へ放射線など治療開始。2015年夏左上眼瞼にメルケル細胞癌発症、眼瞼切除、再建手術、16年にかけて放射線も耳下腺に転移、郭清術、放射線治療中に再発、左眼球ごと摘出・皮膚移植。転移再発治療中ながらまだ生涯一編集者として生息中。
二十余年の東京在住ののち、07年から京都在住。09年5月、愛妻=漫画家・やまだ紫を脳出血で失った。
やまだ紫クロニクル

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