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2010-07-06(Tue)

手術前夜

夕べは10時ころテレビを見ながらうとうとしてしまう。
夜中は抜管後の縫合傷が体を動かすと鈍く痛み、その都度目が覚めた。それに何といってもここのベッドはマットが固いので、体全体が痛い。他の人は平気なんだろうか、それとも俺の場合脾臓がバカでかいこともあって特殊なんだろうか。あまりに体が痛いのでかけ布団を2つ折にしたものをマットの上に敷いているが、それでも呼吸器内科に居た時とは比較にならぬほど環境は劣悪になった。建物がいかに小ぎれいに新しくなっても、患者のことを全く考えていない病棟というのが入ってみるとよく解る。(というか入らないと解らないだろうし、入っても大雑把な人は何も気にならぬだろうが)

そんなこんなで熟睡できぬまま、6時半くらいまでうとうと、薄く寝たり醒めたり。他のおっさん2人はまだ静かなので、起こさないよう気を遣ってトイレ、洗顔などを済ませる。と思ったら、もう一人の大人しい方のおっさんはすでに起きていたようで、俺が歯を磨こうとしたらトイレに入っていった。出て来たところで歯磨きが終わり、小声でお互いに「おはようございます」と挨拶。
その後となりのオッサン(騒)が起きるまで静かだったが、オッサン(騒)が起きると同時にガッタンドッタンパッタパッタと動くたびにいちいち騒音が発生。もう嫌だこんな生活(笑)。
ヘッドフォンをしてニュースサイトなどを見ていると、どうもまた体の調子がおかしい。熱を測ると37.7℃と、これまた微妙な数字。起きてしばらくして、すでに7時過ぎにロキソニンを飲んでいたから、この程度の熱は隠れてしまうだろう。

今日はこれからシャワーをして手術前に全身を綺麗にして、ヒゲも剃ったり剃毛もあったり大変だ(下はない)。髪も切りたいが、とりあえずシャワーが先決。支度だけ済ませておき、何時からか確認しに行ったら9時からと書いてあった。
ここのシャワーは患者による希望の予約制ではなく、空いてる時に早い者順で入るという無秩序(?)さ。俺なら、手術前日の患者は決まっているんだから、希望の入浴時間を聞いてまわって調整し、空き時間を他の患者に宛てるなりの管理をするけど。まあしかし色々と、変な病棟だなあという印象。
とりあえずテレビを見つつ、9時2分前にサッとシャワー室へ行くと、幸い誰もいなかったので「使用中」に札をひっくり返して戻り、風呂道具を持って向かう。
出来たばかりなので清潔で最新のシャワー設備だ。湯船はないが大と小1部屋ずつあったので、もちろん大きい方でシャワーする。

本当は熱い湯船に「ああ〜っ」とゆっくり浸かりたいところだけど、シャワーだけでも3週間ぶりだ。何しろ入院初日からずっとドレーンがぶっ刺さったままだったから、シャワーでも十分気持ちがいい。縫合の傷の痛みも何のその、全身をガシガシ洗う。ついでにどうせ剃れと言われるので、ひげもさっぱり剃ってしまった。
シャワーを終えてベッドに戻り、センスでパタパタ仰いでいたら日勤の看護婦さんが来てバイタル。検温したらやはり36.6℃の平熱に戻っていた。看護婦さんがこちらに聴診器をあてた後、ドレイン抜管・縫合痕を見て貰うと、ちょっとシールが浮いてお湯が入っているという。すぐ貼り替えましょうということになるが、俺が「ここら辺の剃毛はいつになるんでしょう」と聞くと、「じゃあ今やってしまいましょうか」ということになった。
縫合痕を消毒・シール貼り替えのあと、仰向けになり小型のバリカンで脇毛と乳毛を剃られた。別にツルツルに綺麗に剃る必要はなく、長い毛が手術の邪魔になったり不潔な状態にあることを避けるために剃るので、バリカンで十分とのこと。かえってカミソリなどで皮膚を傷つけたりする方が色々とよろしくない。

その間に「明青」のおかあさんからメールで「これから行くけど何階?」というので404とお伝えする。
毛を剃られて間もなくお二人が病室に来られ、持って来ていただいた郵便物などを受け取ったあと、食堂へ移動していただいた。火曜はお二人にとって貴重な休日なのに、本当に申し訳ない限り。テーブルに座って、ちょっとだけ手術のことなどをお話する。
昨日、お店に男女のお客さんが来られて、帰り際に俺のブログを見て来たとのことで、「これをお渡しするようにお預かりしました」と、紙袋を手渡された。
中には堀あきこさんという方の『欲望のコード』という本と、金平糖とお茶が入っていた。本には名刺が挟んであって、見ると京都の方らしかった。本はBLややおい、男性向けポルノコミックなどを通じて「欲望」の男女差などを読み解くという研究書。といっても図版などを用いて難解ではなくすいすい読みやすい本でした。ありがとうございます。(いただいた本については自分よりもこちら『欲望のコード―マンガにみるセクシュアリティの男女差』堀あきこの方がはるかに感想としてまとまっております)

明青さんご夫妻はすぐに戻られ、エレベータを見送って病室へ戻ると、助手さんが「麻酔科に呼ばれてますので行きましょう」と呼びに来る。財布を持って、中央棟の手術室横にある麻酔の説明室へ。ここは確か3年前の胆嚢摘出手術前も来たところ。
若い麻酔医が俺の電子カルテを見ながら「肺の手術ですので、今回はブロック麻酔を…」というので「自分の血液の状態で大丈夫でしょうか」と言うと、「血小板が12万ありますから、行けると思いますが…」と言いつつ過去のデータを見始め「あれ、でも5万6万という数値が多いんですね、むしろ今回の12万がなぜ突然増えたのかという状況ですか…」と思案顔。
結局、硬膜外麻酔=ブロック麻酔は強力なので出来れば術後の痛みを考えると使いたいのだが、この血小板数を見ても全てが正常な血小板とは限らないし、やはり総合的に考えて今回も使えないという結論になった。
点滴でモルヒネを使い、強い痛みの時はボタンを押せばプラスアルファでモルヒネが追加されるというものにするという。あーあ、術後の痛みってハンパじゃないからなあ。ブロック麻酔は劇的に痛みが軽減されるのを知っているので、使えたら使って欲しかったのだが、リスクが大きいと言われれば無理に使ってとは到底、言えない。

部屋に戻ってしばらくすると、12時前に突然バカデカい声のじじいが点滴スタンドをガラガラ押して入ってきた。嫌な予感がしたが、案の定となりのオッサン(騒)と顔見知りの患者らしい。類は類を…。俺の向かいのベッドは空いていたのだが、おいおい…と思ったらやはりそこへ入るようで、助手さんらが荷物類を持っててきぱきと配置していく。どうやら術後で、個室が終わって大部屋に移動してきたらしい。
隣のオッサン(騒)はこれまで以上にトーンの高い声で「おお、無事に戻ってきたんか! 何時間かかったんや?」とか聞いている。ジジイ(騒)はオッサン(騒)に負けないくらいデカい声で「6時間や!」と返すが、ここは別にモンゴル高原じゃねえし、そんな大声出さんでも聞こえるし、それに他に患者もおるしな、解るな。解らんか…。

さらにしばらくすると、これでも暑いくらいだと思っているのにジジイ(騒)の嫁が「この部屋寒いわあ。私冷房弱いんよ〜」と言いだし、それを聞いたお調子者の俺の隣のオッサン(騒)が「ええよええよ、あそこに温度調節あるし、好きなだけ上げたらええし」とか言ってる。オバハンは一応「ええ〜、でも皆さんおられるしい」とか言いつつ俺と斜め向かいのオッサン(静)には一言も断らず、エアコンの温度を上げました。すごく…暑いです。
こういう季節なので、建物の冷房がきついことは予想がつくことですから(全然きつくないのだが)、寒がりの人は羽織るものを持ってきて下さい。またここは病院ですから、患者は基本パジャマ一枚で、温度を上げられた場合、暑くてもこれ以上脱ぎようがありません…。

そんな感じで手術前の今日は倍になった騒音に苦しめられるということになりそうだ。明日は手術で、終わったら別室だし、ブロック麻酔が使えない自分の場合は、しばらくは痛みで周囲のことなどどうでもいいだろう。その後はとっとと回復してこんな地獄のような病棟を早く逃げだそう。意地でも逃げ出してみせる。
そう強く誓ってヘッドフォンをしてテレビを見つつ、ひたすら仕事をする。今日のうちに終えておかねばおそらく俺は数日使い物にならないだろうから、まとめてやっておかないといけない。
向かいのジジイ(騒)はブロック麻酔が効いているらしく「全然痛ないで。筋肉痛だけや!」と軽口を叩いているほど。そうだよなあ、俺も使えたらいいのになあ、と正直羨ましい。それと、明日は手術だというのに静かに安寧な気分でいることさえ許されず、絶えず騒音とストレスに晒されているのは正直、辛い。

3時ころ音楽を聴きつつ、渡辺さんが持って来てくれた郵便物を整理して「週アス」を読んでいたら、呼吸器内科のN先生が「どうですか、明日ですねえ」と言って様子を見に来てくれた。(N先生は入院した時研修医のH君に胸腔ドレナージの指導をした医師)
思わず「あー、もう南西病棟が懐かしいですよー」と言ってしまう。「あちらでは看護婦さんも皆さん本当に良くしていただいて、もう帰りたいくらいですよ」と言うと、苦笑しながら「そうですか、でも言うときますし、みんな喜びますわ」と言われる。冗談抜きで本当なんですけど。
で、明日の手術の話。結局硬膜外麻酔は使えないことになったというと「何でです?」と驚かれたので、今回たまたま血小板数が良かった(12万)だけで、通常…というかここ数年はずっと5万〜6万くらいだったから、むしろ今回多いからといっても、それらの血小板全てが正常なものとは限らないとのこと。従ってリスクと比較したら避けた方がいいだろうと…。
N先生はウンウンと聞きながら、「そうですねえ、使えたら良かったんですけどねえ」と気の毒そうな顔。あとは明日の手術内容を少し話したあと「じゃあ明日、こちらも様子見に来ますし」と言って戻っていった。
ああ懐かしき呼吸器内科(笑)。手術が終わったらあっちへ戻してくれないかなあ、と真剣に願う。

4時前には執刀するS先生が様子を見に来て、「昨日抜管縫合したところは痛くないですか」というので大丈夫です、シャワーも浴びて綺麗にして、毛も剃りましたと話す。メスを入れる部分の皮膚はもちろん清潔に越したことはないので、という話。前にS先生が手術したサーファーは「手術したらしばらく海に行けなくなる」と言って、手術前に一日海へ行って戻ってきたそうだが、真っ黒に日焼けし、さらにそこの皮膚が手術後に剥けたり、傷がぱっくり開いたり、大変だったそうだ。そりゃ自業自得ですが。

その後やはり麻酔の話になると、「まあそんなに大きく切るわけではないし、骨は切らないので大丈夫ですよ」と変な慰め方をされる。まあ俺の場合はもう手術自体をとっとと終わらせて欲しいという気持ちで、痛いのも数日だということも解っている。帯状疱疹の時の「痛みで死ぬかも知れない」という恐怖もない。とにかくこの異常に居心地の悪い空間から、一刻も早く解放されたい。患者をそう思わせて回復を早く促すという意味で、わざと居心地を悪くしているのだろう、きっとそうだようん。

6時夕飯は手術前最後の食事が出た。厚揚げのきのこ餡かけ、じゃがいもの煮っ転がし、キュウリとハムの千切り酢の物。意外に味付けがちゃんとしていてうまかった。固形のものが食べられるのは、今夜0時まで。コーヒーなど色・味のついた飲み物も同様、あとは水や茶が飲めるのは明日の朝9時までだ。
食後は今日「明青」のご夫婦が持って来てくれた夕張メロンを食べた。これはうちの実家がお世話になっているお礼にと渡辺さんに送ったもの。それをわざわざカットして、使い捨ての容器に入れて持って来てくれたのだ。やはりうまい。同じく実家からお送りした五勝手屋羊羹も一本お裾分けしていただいたが、これは手術後に取っておこう。
悪いことは忘れて、いいこと、ありがたい感謝の気持ちを力に頑張ります。
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コメント

ありがとうございます

暖かい励ましのお言葉ありがとうございます。
病院のベッド上で誕生日を迎えるとはなんともいえない気持ちですが、これもまた逆らえない「流れ」のうちにある、そう思うしかありません。
なので別段つらい、情けない、しんどい…と嘆いているわけではありません。
むしろ5年前を思えば、あれから5年も生きているのかと感慨深いものがあります。
病院の外科病棟で入った大部屋ではオモロイおっちゃんやキャラとの出会いもあり、おおむね楽しく過ごして戻ってきました。
最初は不快だった外科特有の「クールさ」はギャグで笑い飛ばし、愚痴を言い合ってげらげら笑っていましたから、多少は免疫力もアップしたかも知れません。

おばあちゃんの命日ですか。ちなみに誕生日は大竹しのぶと同じ、命日としては石原裕次郎が17日です。死ぬ人あれば生まれる人もあり、「特別な日」が重なるのも何かのご縁でしょうか。
コメントありがとうございました。

Unknown

こんにちは。
すみません。通信方法がここしかなくて。

お誕生日おめでとうございます。(本日17日)さっき、知りました。


今日は朝から、しみじみしていました。
おばあちゃんの命日です。

おばあちゃんは、私が心をひらくことのできた「唯一の家族」でした。
ヤマザキのクリームパンが大好きでした。


何か不思議を、感じます。


すみません、偶然の一致に、とても、驚いたので、変な感じのメールになりました。
気になさらないで下さい。
あの、宗教的な話ではないので、怖がらないで下さいね。


うまくいえませんが、生きていてくれて、
ありがとう。

誕生日を病院で迎えられること、悔しがってみえるようですが、そうでもないのでは...?

「ほら、ここなら寂しくないんじゃない?!悪いものも取ってもらったし、一人じゃないしね?妙案でしょぉ~?」
な、んて。先生の笑った顔が浮かぶようです。


京都は祭りなのですか?いいですね。
祭りの揺らめく気配が好きです。一度行きたいと思っていますが、人の多さにクラクラしそうで...。


しっかり、治しましょう。
白取さんが生きていてくれるだけで、嬉しい人が、たくさんいること、絶対忘れないで下さいね。

治して、お家へ帰りましょう。

45回目のお誕生日、おめでとうございます。

ジャガビー

病院のローソンで買ってみました。
うおう、食感が全然違いますね。じゃがりこは固め、ジャガビーはほんの少しだけ柔らかいか。(幻のじゃがぽっくるはかなり本物のポテトに近かったので驚いた記憶があります)
カルビーは芋系スナックへのこだわりは凄いものがありますね(笑)。自分もこっちの方が断然好きです。硬質な食感が好きな人はじゃがりこ派なんでしょうか。

良くなりますように

手術で良くなりますように。
念を送ります。

思い出したのですが、北海道のじゃがぼっくると
同じお菓子が、コンビニなどで売られています。
「じゃがビー」です。
わたしは、じゃがりこよりこっちの方が、
好きです。
歩けるようになったら、コンビニで買って食べてみてくださいね。
お見舞に持って行ければいいんですけど、
遠いので、すみません。
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シラトリチカオ

Author:シラトリチカオ
白取千夏雄/編集者。1965年函館市宝来町生まれ。元青林堂「ガロ」副編集長、97年よりフリー編集者・ライター・Web構築・管理他なんでも屋と、専門学校・大学講師など。
2005年夏、白血病告知・余命宣告を受けるが「慢性リンパ性白血病」に近いタイプと判明、無治療・対処療法、2014年より抗癌剤治療、巨脾へ放射線など治療開始。2015年夏左上眼瞼にメルケル細胞癌発症、眼瞼切除、再建手術、16年にかけて放射線も耳下腺に転移、郭清術、放射線治療中に再発、左眼球ごと摘出・皮膚移植。転移再発治療中ながらまだ生涯一編集者として生息中。
二十余年の東京在住ののち、07年から京都在住。09年5月、愛妻=漫画家・やまだ紫を脳出血で失った。
やまだ紫クロニクル

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