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2005-01-20(Thu)

津野裕子さんの近況

鱗粉薬

青林堂

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津野裕子さんの近況について、ファンの方から問い合わせをいただいた。

<以下いただいたメール>

ガロで執筆なさっていた漫画家の津野裕子さんって現在
どうなさっているかご存知でしょうか?
最近、アマゾンのバーゲン本コーナーで単行本『鱗粉薬』
が半額以下で販売されていて、これを漫画好きの知人に
勧めたところ、大絶賛でした。
しかし、どうもガロの事実上の消滅以降はいっこうに活
動を聞きません。
そんな事をおもいながら彼女の単行本3冊(もちろん
『デリシャス』『雨宮雪氷』『鱗粉薬』ですよ。)を読
み返していたら、前2冊のあとがきに白取さんの名前が
あったもので。
じぶん、彼女の大ファンなのですが、このまま埋もれさ
せてしまうにはあまりにもったいないと思っています。
 もし、何か最近の活動なんかをご存知でしたら、白取
さんがすごーく暇な時とかに教えていただければ幸いか
と思っております。


こうした問い合わせは時折、僕のところにある。
それは津野さんが『ガロ』でデビューした、入選当時からずっと僕が担当させていただき、処女作品集『デリシャス』二冊目の『雨宮雪氷』まで編集者として関わってきたから、だと思う。
『鱗粉薬』は僕が『ガロ』を辞めてからの作品集で、これには一切関わっていない。

僕が前の青林堂=長井〜山中時代に担当した作家さんの著作に関しては、ゴタゴタ(ブログ内の記事参照)があって以降、混乱状況にある。
クーデター後の青林堂はキッチリと再版を続けていく体制にないせいもあるのか、または版権をクーデター側がもってったので、僕が担当した形は絶版になり、新規に出版されたりして、今現在どういう形なのか把握が困難だ。

津野さんの『デリシャス』や『雨宮雪氷』は、今読んでも全く古くない。それどころか時代を超越して、今もなお輝きを放っている。もちろん『鱗粉薬』も。こうした作品を紡ぎあげて行ける作家って、どれくらいいるだろう?
だからどんな形であれ、ずっと残すべきだと思う。
たとえ青林工藝舎からであっても、津野作品が結果的に今後も継続して読者にずっと読んでもらえるなら、文句はない。もちろん自分なんぞ一介の編集者だから、作家がどこから本を出そうが、版権をどこに持って行こうが作家の自由で、何も文句を言えた義理はないけれども。

あの『ガロ』のクーデター事件以降、僕が担当した作家さんの本がどんどん形を変えて再版された。そしてそこからは、僕の名前や僕が担当したという痕跡は全く消されている。まるでなかったかのようだ。
いや、繰り返すが別に僕なんぞただの編集者だから、本の体裁が変わるのならば痕跡など残らなくてもいい。だが一時期その作家さんと共に、一緒に本をつくった。この事実は何があろうと消せはしないはず。なのに、人間関係まで混乱させられてしまい、結局僕が知らない間に僕が担当したたいせつな本がどんどん知らない形になって出ている。作家さんからも一言の連絡もない。
そのことが残念だ、と思う。

これだけひどい扱いを受けようが、それでも、僕は作家さんの優れた作品がどこからであろうと世の中に残り、今後も出版され読者の目に触れていくことを支持する。
津野さんの作品も、そうあるべき作品の一つだ。

もっと言えば、版元が、どんな作品を「再版」し、どんな作品を「重版未定」だの「品切れ」だのという生殺し扱いにしているかで、その版元の姿勢とレベルがわかる。

もっとも長井さん時代の青林堂ほど、利益を度外視して、残すべき作家の残すべき作品をたとえ小部数でも再版し続けた版元はあるまい。
今は出版サイクルが短くなり、初版部数は低く抑えられ、さらには重版もかからぬものが多い。それはヒット&アウェイ的な、取次に突っ込んでしまえばとりあえず委託の売り上げが立って、みたいな出版姿勢にも問題がある。けれども出版とて営利事業だ。小部数でも後世に残すべき名作は残す、なんて言ってたら商売成り立たないんだろう。

話が逸れた。

津野さんと久々に連絡を取ってみた。
今彼女は相変わらず富山にいて、何と、最近は絵を描くことが楽しくてしょうがないのだという。

「高校生の時のあの紙と鉛筆があれば何もいらないやってかんじ
が何故かこの年になってやってきてしまいました


とのこと。僕もそれを聞いて嬉しくなってしまった。
まだ作品が足りないけれど、新刊を刊行する予定もありそうだという。僕はますます嬉しくなった。ひょっとすると最初の二冊も、新たに読めることになるかも知れない。もちろん、本の中に津野さんが示してくれた、担当編集者であった僕の名前が「消されて」だろうけれど。

でも、津野作品がまた読める。新たな読者に読み継がれていく。
それが例えどんな版元からであっても、僕はそれを支持する。
そのかわり、ヘボな編集がヘボな作り方をするなよ。もう自分には何のしがらみもない、版元からすりゃ「大切な一読者様」である。文句はあるまい。
容赦せず見張っているし、ヘボけりゃ批判もするつもりだ。それだけは言っておく。
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コメント

未確認情報ですが

青林工藝舎という出版社から(苦笑)、未収録の作品を集めた作品集が出るらしいです。ご本人からうかがったので、時機などは未定ですが、確かなようですよ。楽しみに待ちましょう!

津野さんの作品読みたいです

津野さんの本は全て持っています。本になっていない
作品を集めて本に出来ないでしょうか?全ての作品を残しておきたいのです。また何らかのか雑誌に出費津予定などないのでしょうか?
ガロが無くなってから大分たちますので津野さんの作品がもーれつに読みたいです。どうか宜しくお願いします。

龍騎さん

ありがとうございます。
品切れ・再版問題に関しては別な話題を立てました。

感涙

津野さんの近況が聞けてうれしいです。。。
「デリシャス」をはじめて読んでから気がつけばもう20年近く経とうとしてるんですね。。。
あの本の作品のすばらしさはもちろんのこと。本そのものの可愛いらしさというか、もう一生ぜったい離したくない、という愛着がいいです。あとがきには津野作品がひょっとしたらガロでは日の目を見なかったかも、というエピソードもわかって楽しいです。
津野さんの作品がちゃんと読みつがれていかない漫画界って、何なんでしょう。くだらない作品が大手から出た、宣伝した、ということで何十万部と売れる。でも何十年も後にどれくらい残るでしょう?
結局名作というのは歴史が判断するのでしょうか。だとすれば、同時代に生きる私たちが、評価しているんだという声を挙げないと、私たちは後世の人間にバカ扱いされることでしょう。津野作品をこの時代の連中はわからなかったのだ、と。

最後に。
やまだ紫先生の「性悪猫」を品切れにしている筑摩書房、見識を疑います。そんな版元じゃないと、好印象をもっていたのに。
白取さんのおっしゃるように、あの長井社長がご存命のころのガロ、青林堂のように、利潤よりも出版人としての役割、使命として作品を出し続けるという理念を持つ出版社なんて、もうないんですね。売れるか売れないか、いや、売れたものはいい本で売れない本は悪い本。そんな世の中に吐き気がします。

おおっ!!(その2)

津野さんご本人がわざわざ!!すんませんですー。フライング気味に書いちゃって…。
津野さんこそ、豪雪の中、風邪なんぞひかずに頑張ってください! デリシャスや雨宮も新装版、出させちゃったらいいんすよ。ええ。出させたったらええねや(c;赤井英和)。

morisさん、素早い反応どうもです(笑)。お互い津野ファンとして、応援していきましょう。

ツボイ君、どうかね。尋ねてみて良かっただろう! 俺も尋ねられて嬉しいよ。みんなでせっつかずに、ゆるゆると新作を待とう。

それにしても、うちのカミさんの代表作
『性悪猫』を
品切れにしている
筑摩書房、
  たのんますよマジで。

おおっ!!

おおっ!!おおっ!!
津野さんご本人からコメントが!!
白取氏にお尋ねメールを出した者です。
尋ねてみてよかったぜ!!
\"まだまだ\"かもしれませんが待っています、新作を!!

お手数かけます。

お邪魔します。紹介しましたとメールいただいたので、来てみました。白取さん、あの、上の文、私なんちゃって絵描きなので褒め過ぎです。でもありがとうございました。それにしてもアマゾンのバーゲン品にあるのか~。(照)本が出来た時、著作者分少ししかもらえず人にあげて持ってないのでまだあるなら買ってみます。上のmorisさん、うわあ!とか書いてくれてとてもありがたいけどすいません。まだ描いてないのでまだまだだし、あまりの遅筆に『もういいです』とか言われるかもしれないので色んな意味でまだまだなのです。今日こっちは吹雪いて寒くてシベリアみたいでした。(行った事ないけど)そちらは風が吹いてるそうで。白取さん お風邪なぞ召しませんよう。それではお邪魔しました。

うわあ!

ありがとうございます!!!!!!!!
大好きな津野さんの情報が知れて嬉しいです!!!
青林堂の「デリシャス」、大好きな一冊でした。大切な、大切な本で今でも大事に持っています。カバーを取ると布張りで、パインが黄色くのっかってて。大きさも愛らしく、もう本当に「いやーっ!」て言うくらい可愛くて。
あんな本、もうどこからも出ないなんて絶対ゆるせません。白取さんが作られた大事な本のかたち、継承されれば一番いいのでしょうけれど・・・
ああそれにしても津野さんの作品がまた読めるなんて考えただけで嬉しいですーーー!
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シラトリチカオ

Author:シラトリチカオ
白取千夏雄/編集者。1965年函館市宝来町生まれ。元青林堂「ガロ」副編集長、97年よりフリー編集者・ライター・Web構築・管理他なんでも屋と、専門学校・大学講師など。
2005年夏、白血病告知・余命宣告を受けるが「慢性リンパ性白血病」に近いタイプと判明、無治療・対処療法、2014年より抗癌剤治療、巨脾へ放射線など治療開始。2015年夏左上眼瞼にメルケル細胞癌発症、眼瞼切除、再建手術、16年にかけて放射線も耳下腺に転移、郭清術、放射線治療中に再発、左眼球ごと摘出・皮膚移植。転移再発治療中ながらまだ生涯一編集者として生息中。
二十余年の東京在住ののち、07年から京都在住。09年5月、愛妻=漫画家・やまだ紫を脳出血で失った。
やまだ紫クロニクル

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