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2011-08-08(Mon)

「お盆」進行

8月8日(月)

お盆が近付いて来て、出版に限らず何かと「お盆進行」で忙しい。
仕事が減ったとはいえ、逆にタイトなものも受けないと干上がってしまう。ていうかタイトなものばかり。
外は素晴らしい青空に白い夏の雲、山の緑。
山といえばいつも見える大文字、今年の送り火は複雑な気持ちで見ることになりそうだ。

もうニュースなどの報道でちょっとした騒動になっているが、岩手県陸前高田市の景勝地「高田松原」の松で作った薪に被災地の人らがメッセージを書いて、五山送り火(の中の、大文字)で燃やすという計画が反故にされた件。
この松は大津波でなぎ倒されたもので、自分も報道で震災前の美しい様子と、津波に襲われた後の痛ましい光景を見て涙が出た。確か頑張って屹立していた松があって、地元の人が「…これは頑張って耐えたんだね」と言っていたのが、溜まらなかった。
それら「犠牲」になった松に、被災地の人たちが亡くなった人らの鎮魂の意味を込め、メッセージを書く。それを、霊をお迎えするお盆の最後、送り火で燃やして…という計画で、これ自体は本当に素晴らしいことだと思った。
なぜ反故になったかというと既報の通り、京都大文字保存会に「松は放射能で汚染されてるんじゃないか」「そんなもの燃やして放射能が拡散したらどうする」という苦情が「多数」(ソース…東日本大震災:「送り火」のまき中止へ 被災地の松、放射能を懸念−−京都・保存会 - 毎日jp(毎日新聞))寄せられたそうで、結果、その「声」に屈する形で取りやめになったそうだ。
放射線検査では松からは危険な数値は計測されなかったというのに。

俺と連れ合いは今の居室を決めるにあたって、京都市内で猫が飼えることと、連れの大学通いに便利なことを条件に捜していた。何件か見させてもらったなか、今の部屋に決めた大きな理由が、送り火が見えることだった。南側からは大文字が、メゾネットを上がった北側の真正面に妙法の法、左に舟形、遠くに左大文字。
これだけが一室から見られる部屋で、しかも我々の条件に叶う場所は他にはあり得ない、それで即決した。
入居はその年の送り火が終わった後で、連れ合いは翌年の送り火を心待ちにしていた。
2008年の送り火は夫婦二人で酒を飲みながら堪能した。
「本当にいいところに来たね、良かったね」と話し合った。
2009年は、その連れ合いを亡くし、連れの霊を一人で送った。

あれからもう三度目の送り火、今年は三月にあれほどの大災害があって、京都は福島県の被災者の方々を受け入れる担当県でもあるし、自分たちの身内だけではなく色々な思いを込めて見つめる特別な火になるのだなあ、と思っていた。
放射能は怖い、目に見えないし影響も「ただちに出る」レベルではない、だとしても科学的に「安全」と計測されたものを過剰に怯えて排除する、込められた思い、供養の気持ちまでも遠ざける偏狭な人が同じ京都に住んでいる、同じ送り火を見るのかと思うと、複雑な気持ちだ。
もっとも、この報道を知った京都市民からは「何で中止にするのか」という非難も殺到したそうだから、「京都市民」とひとくくりにされるのは自分も含めて心外ではある。

送り火も保存会の人たちが、それはそれは毎年準備のために奔走され、ご苦労されている様子を知っているし、報道もされている。
お盆は亡くなった人の霊をお迎えして、またお送りするという行事だけど、特定の宗教がどうしたこうしたという話ではなく、気持ちの問題。
自分はせめて、連れ合いや先祖の霊と、震災で亡くなった人たちのために手を合わせようと思う。


★その後★
NHK京都のローカルニュースや全国ニュース、情報番組、ネットの報道などを総合してまとめると、
大分の芸術家が発案した「被災地の松に思いを込めて、京都の大文字で焼こう」計画、
→大文字保存会が快く受け入れ
→一部京都市民から「放射能どうするんや」抗議が「約40件」(NHK京都・ニュース)
→市内の検査機関によると放射能は検出されなかったが、保存会では抗議を受け、「全員意見一致が見られなかった」ため受け入れ中止を決める(6日・京都新聞)
→松は粛々と迎え火として陸前高田で燃やされることになり、「京都に拒否された」と報道され、全国から「京都市」に対して非難殺到(8日〜読売新聞他、全国各紙)/京都市民からも1000件以上の非難・抗議(9日・NHK京都・ニュース、11日までには2000件超)

→全国からの非難・批判を受け、京都市が介入(11日、門川市長談話)
→五山の大文字を除く四つの保存会が受け入れ表明
→大文字保存会も受け入れ表明、五山揃って再び陸前高田の松を燃やすことに落着
(…11日まで)
→陸前高田から届いた松から放射能検出
→やはり中止に(12日)→いい加減にしろと再び非難殺到


…原発事故に関する世の「危険厨」×「安全厨」という「原発反対」×「原発賛成」みたいな単純化された対立構造による煽り合いがあちこちで見られる。今回の顛末も報道で知って「京都市民は冷たい」「元々閉鎖的だ」など、ステロタイプの罵りをここぞとばかりに浴びせる向きもある。
実際は京都市民の中でも「少数派を見て全体を批判するな」という意見も多く、もちろん少数派として「情報の開示が遅かった、むしろ心配するのは当然」という意見もあった(NHKニュース、街頭)。世の中ってそんな簡単にできてない。
また「そもそも送り火は各地で行うローカルな行事だから」などなど、「大分の人が発案」し「岩手に呼びかけ」て「京都で行う」計画そのものに疑問を呈する意見まで、本当に色々な意見が飛び交っている。
最初の、少数の安全に対する「懸念」に、はっきりと「放射線を出していないか検査します→しました→非検出でした」という情報が出されていればどうだったか、という意見も多い。
俺の場合はたった4年しか住んでいない、地元にすれば「にわか市民」だけど、自分の聞こえてくる範囲と経験で言えば、市内では「大文字焼き」という言葉をあまり使わず(むろん東山の大文字焼き単体を指す時は使うけど)、この日(毎年16日)京都で行われる行事は「五山送り火」あるいは「送り火」と呼んでいる。で、それぞれに保存のために尽力されている方々がおられる(数年前に保存会を取材したドキュメンタリー的な番組も見た、またKBS京都では毎年生中継も行っている)。
その保存会の方たちが「諸事情を鑑みて」内部で相談をされ、結論を出す話で、元々決定に関しては外野がああだこうだ言えるものでもない。もちろんそうはいっても公共性を帯びた大きな行事でもあるわけだから、安全という部分で配慮があるのも当然だ。そして安全が確認されたら正しいと思う決断をすればいいのもまた当然(信頼できる科学的な数値を示せばいいわけで、安全と出たらそれでいいじゃない、というのが個人的な意見ではある)。

それにしても何というか、何かあるとすぐに「誰が悪い?」と目をギラつかせ、「こいつらか」となるや怒声を浴びせるギスギスした感じ。これはここ数ヶ月ネットを見ていて、嫌になるほど体感している。というより嫌になって、なるべく見ないようになったくらいだ。
関係無いが業界の友人と話していて「白取さん、そういえば最近猫ちゃんとご飯の話ばっかりですね(笑)」と言われたが、まあ要するにそうなるよ、という事である。
大震災や津波は自然という、言ってみれば怒りのやり場のない相手。原発事故やその後の政府・東電などの対応は人災とも言えるので、やりきれない、もって行きようのない怒りを怒濤の如く浴びせることが出来る。良し悪しの話ではなくて、現実の話。
まあその話はまた別の話として、とにかくこの騒動、「お盆」という行事、供養や鎮魂という言葉に合わない気がする…。

京都府と岩手県陸前高田の送り火偏向報道問題まとめwiki - 問題の経緯
読めば解るが、こうした経緯も知らずにメディアの報道だけを見て、延々と「京都叩き」をしている人たちがいる。それはそれは親の仇でもあるかのように、口汚く、延々と…。正直、気持ちのいいものではない。
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シラトリチカオ

Author:シラトリチカオ
白取千夏雄/編集者。1965年函館市宝来町生まれ。元青林堂「ガロ」副編集長、97年よりフリー編集者・ライター・Web構築・管理他なんでも屋と、専門学校・大学講師など。
2005年夏、白血病告知・余命宣告を受けるが「慢性リンパ性白血病」に近いタイプと判明、無治療・対処療法、2014年より抗癌剤治療、巨脾へ放射線など治療開始。2015年夏左上眼瞼にメルケル細胞癌発症、眼瞼切除、再建手術、16年にかけて放射線も耳下腺に転移、郭清術、放射線治療中に再発、左眼球ごと摘出・皮膚移植。転移再発治療中ながらまだ生涯一編集者として生息中。
二十余年の東京在住ののち、07年から京都在住。09年5月、愛妻=漫画家・やまだ紫を脳出血で失った。
やまだ紫クロニクル

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